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第十四話 拠点という名の奇跡

夜の森は重い。


 静寂の中に、殺意だけが混じっている。


(来るなら来い)


 ルークは闇を見据えた。


 次の瞬間――


 音が、消えた。


 背後。


 影が滑る。


 刃が閃く。


 だが――遅い。


 闇属性の魔力が刃に絡みつく。


 踏み込み。


 受け流し。


 反転。


 斬撃。


 黒装束の影が崩れ落ちた。


 わずか数秒。


 緊張に満ちた戦いだったが、決着はあまりにも呆気なかった。


「……終わりか」


 息を整える。


 脅威は、消えた。


「一旦、今日は休もう」


 静かな夜が戻った。


 翌朝。


「きゃあっ!」


 エリシアの悲鳴。


 ルークは即座に目を開き、剣を掴む。


 周囲を確認し、冷静に声の方向へ駆ける。


 そこにあったのは――


 昨日倒した暗殺者の死体。


 朝露に濡れた黒装束。


 エリシアは顔を青くしていた。


「ごめん、説明してなかった」


 ルークは昨夜の戦いを簡潔に話す。


 事情を聞いたエリシアは、ようやく息を吐いた。


「今日から少し、ここで腰を落ち着けよう」


「追われ続けるより、安全な場所を作った方がいい」


「レベルも上げたいし」


「……はい」


 エリシアはすぐに頷いた。


「ここなら、安心できそうです」


 二人は朝食を簡単に済ませ、周囲を探索する。


 少し歩いた先に、小高い丘があった。


 木々に囲まれながら中央は平らに開け、見通しもいい。


 背後は森。


 水源と木の実も近い。


「……ここ、いいな」


「よし、ここにしよう」


 ルークはアイテムを取り出す。


 ――簡易建築キット。


 地面に置いた瞬間、光が走った。


 木材が組み上がり、壁が立ち、屋根が形を成す。


 木造の建物が、一瞬で完成する。


「ええええ!?」


「建ちました!?」


「これは……奇跡ですか?」


 ルークは少し照れながら笑った。


「神様の贈り物だよ」


 中に入った瞬間、エリシアは言葉を失う。


 簡素ながら2DK。


 寝室が二つ。


 居間と簡易キッチン。


 さらに――


「お風呂……?」


 この世界で風呂は屋敷レベルの贅沢だ。


 庶民は桶に水を張り、布で体を拭く程度。


「トイレもあります……」


 だが穴も見当たらない。


 陶器でできた不思議な器。


 水を湛えたオブジェのようにも見える。


「これは……何ですか?」


 ルークはその反応に思わずクスクス笑った。


「ちゃんとしたトイレだよ」


 文明格差に目を丸くするエリシア。


 部屋の探索はまだ続く。


 ランプは勝手に灯り、火も使える。


 水は温かかった。


「原理不明なんですが……」


 そのとき視界に新たな表示。


【拠点スキル解放】


・侵入感知

・警告機能

・耐久補正

・簡易修復


「見た目以上に堅牢そうだな」


 警告機能をON。


 拠点が淡く輝いた。


 さらに――


【建築拡張可能】


 倉庫、畑、訓練場、防壁、見張り台……


「これ、町作れるやつだな」


「まだ序盤拠点だけどね」


 その瞬間。


【侵入反応あり】

【小型魔獣・複数】


 森がざわめく。


 角ウサギの群れが姿を現す。


「さっそく来たな……」


 だが拠点の周囲に淡い障壁が展開され、魔獣が弾かれた。


「すごい……!」これなら夜は落ち着いて眠れんるな。


「でも、経験値も欲しい」


 ルークは剣を抜く。


「拠点の初防衛だ」


 エリシアも隣に並ぶ。


「守りましょう」


 こうして――

 二人の拠点生活が始まった。

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