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第113話 鉄と火の国へ

トリビエンの港。


 


 朝。


 


 水面が静かに揺れている。


 


 大型の船が停泊していた。


 


 積み荷。


 


 商人。


 


 船員。


 


 活気に満ちている。


 


「……海、久しぶり」


 


 リーナが呟く。


 


 風が髪を揺らす。


 


 少しだけ気持ちが軽くなるような声だった。


 


 船に乗り込む。


 


 出航。


 


 数時間後。


 


 海は穏やかだった。


 


 青。


 


 水平線。


 


 順調な航海。


 


 ――のはずだった。


 


 雲行きが変わる。


 


 波が揺れる。


 


 船員の顔が険しくなる。


 


「……なにかが来る!!」


 


 次の瞬間。


 


 ザバァッ!!


 


 海面が弾ける。


 


 現れた。


 


 細長い影。


 


 4メートルほどの巨体。


 


 ウツボのような魔獣。


 


 鋭い歯。


 


 群れ。


 


「シーストーカーだ!」


 


「最悪だ!」


 


「船をかじるぞ!」


 


 実際に。


 


 船底へ食らいつく影。


 


 ギギギギ……


 


 木材が軋む。


 


「まずい、転覆させる気だ!」


 


 ルークが動く。


 


「リーナ」


 


「ここ頼む」


 


「うん!」


 


 風を纏う。


 


 一気に跳ぶ。


 


 空中へ。


 


 そのままマストの上へ。


 


 


 船を囲む影。


 


 10以上。


 


 


(群れか)


 


 右手にライフル銃が現れる。


 


 構える。


 


 水面。


 


 


「……魔弾」


 


 


 ドォン!!


 


 


 一発。一発。


 


 正確に撃ち抜く。


 


 頭部。


 


 破裂。


 


 


 続けて。


 


 ドォン!!


 ドォン!!


 ドォン!!


 


 


 沈む。


 


 だが――


 


 まだ多い。


 


 


「チッ……」


 


 


(まとめていきたい)



(そうだ)


ルークが少し何かを想像し捻り出している。



 


 構えが変わる。


 


 銃の形状が変化する。


 


 


 短く。


 

 ショットガンのような形に変わる



 


 照準器越しに敵を認知し。


 


 


 ロックオン。


 


 


 引き金を引く。


 


 


 ドンッ!!


 


 


 複数の弾が一斉に放たれる。


 


 


 追尾弾が


 


 水面をなぞる。


 


 


 次々に――


 


 着弾する。


 


 


 ドン!


 ドン!


 ドン!


 


 


 爆ぜるほどではない。


 


 だが確実に仕留める威力はある。


 


 


 数が一気に減る。


 


 残りは散る。


 


 逃げる。


 


 海が静まる。


 


 ルークは銃を下ろす。


 


 そのまま――


 


 形が消える。


 


 甲板へ戻る。


 


 リーナが駆け寄る。


 


「すごい……」


 


「ぶっつけだけど、なんとかなったよ」


 


 ルークは軽く言う。


 


「想像以上だったよ」


「追尾型の玉が出せたことはよかった」


 


 ミカサが呆れ笑いで。


 


「ほんま規格外やな」


 


 再び航海。


 


 それからは何も起きずに落ち着いた航海になった。


 


 数日。


 


 海を越え。


 


 そして――


 


 見えてきた。


 


 岩山。


 


 煙。


 


 黒い影。


 


 


「……なんだあれ」


 


 


 ミカサの目が光る。


 


「来たで〜」


 


「商売の匂いや」


 


 港に降り立つ。


 


 空気が違う。


 


 熱。


 


 鉄の匂い。


 


 油。


 


 そして――


 


 


 カン!!


 


 カン!!


 


 カン!!


 


 


 音が響く。


 


「すご……」


 


 リーナが目を見開く。


 


 


 工房。


 


 煙突。


 


 火。


 


 職人。


 


 


 小さな工場が。


 


 無数に並んでいた。


 


「ここが」


 


 ルークが言う。


 


「ドワーフの国か」


 


 ミカサが頷く。


 


「せや」


 


「全部ここが一番や」


 


 通りを歩く。


 


 歯車。


 


 装置。


 


 煙。


 


 


「……日本でも見たことないな」


 


 ルークが呟く。


 


「蒸気も使ってるのか」


 


「他の街と全然違う」


 


「おい、そこの人間」


 


 低い声。


 


 振り向く。


 


 ドワーフ。


 


 


「見学ならいいが」


 


「邪魔すんなよ」


 


 ミカサが一歩出る。


 


「邪魔はせえへん」


 


「むしろ――」


 


 ニヤリ。


 


「話、聞かせてもらえへんか?」


 


「……商人か」


 


「せや」


 


「ええもんは金に変えるで」


 


 


 空気が変わる。


 


 交渉の場。


 


 ルークはそれを見る。


 


(始まったな)


 


 


 リーナが小さく言う。


 


「楽しそう」


 


「本気だな」


 


 火。


 


 鉄。


 


 音。


 


 


 この国には。


 


 


 戦いとは別の強さがあった。


 


 ルークは空を見上げる。


 


 煙。


 


 火の粉。


 


 


(ここなら)


 


 


 変われるかもしれない。


 


 その頃。


 


 街の奥。


 


 


 わずかに。


 


 空気が歪む。


 


 


 一瞬。


 


 


 何かが“圧縮”された。


 


 鉄の国。


 


 ドワーフの領域。


 


 


 新たな可能性と。


 


 新たな違和感が。


 


 


 静かに動き始めていた。

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