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第106話 核

 ズドン。


 ズドン。


 石の巨兵は、なおも動いていた。


 脚は崩れている。


 だが。


 止まらない。


 腕が振られる。


 ブォォォォン!!


 風圧。


 地面が抉れる。


 勇士たちが後退する。


「近づくな!」


「巻き込まれるぞ!」


 ミカサが叫ぶ。


「しつこすぎるやろ……!」


 リーナはルークを見る。


「まだ終わらないの……?」


 ルークは答えない。


 ただ。


 銃を構える。


 スコープ。


 透明な魔力レンズ。


 その奥に――


 巨兵の内部が、わずかに“見えた”。


「……?」


 ルークの目が細くなる。


 石の内側。


 流れるような魔力。


 その中に。


 一点だけ。


 異質な輝き。


 脈打つような光。


 ルークが呟く。


「……見える」


 リーナが聞く。


「何が?」


 ルークはスコープから目を離さない。


「核だ」


 ミカサが反応する。


「場所わかるんか!?」


 ルークが短く答える。


「……ああ」


 巨兵の胸。


 少し内側。


 中心ではない。


 ズレている。


「動いてる……」


 リーナが驚く。


「核って動くの!?」


 ルークが低く言う。


「魔力の流れに合わせて位置を変えてる」


「だから今まで見つからなかった」


 巨兵が腕を振り上げる。


 ドォォォン!!


 地面が砕ける。


 距離を詰めれば危険。


 だが――


 ルークは動かない。


 スコープ越し。


 呼吸を整える。


「……撃てる」


 ミカサが言う。


「やれるんやな?」


 ルークが答える。


「一発で決める」


 リーナが息を呑む。


「外したら……」


 ルーク


「外さない」


 短く。


 断言。


 風が集まる。


 闇が重なる。


 圧縮。


 膨張。


 圧縮。


 膨張。


 限界まで。


 押し込む。


 銃口に。


 小さな球。


 だが。


 内部は暴れている。


 ミカサが呟く。


「……やばいでそれ」


 ルークが言う。


「最大出力だ」


 スコープ。


 核を捉える。


 動く。


 追う。


 予測。


 未来位置。


 固定。


 呼吸を止める。


 世界が静かになる。


「――真空玉」


 引き金。


 ドォォォォォン!!


 空気が裂ける。


 一直線。


 圧縮された破壊。


 巨兵の胸へ。


 直撃。


 一瞬の沈黙。


 そして――


 ドゴォォォォォォン!!


 内部爆発。


 巨兵の体が膨らむ。


 亀裂。


 走る。


 黒い硝子が広がる。


 核が――


 砕けた。


 次の瞬間。


 巨兵の動きが止まる。


 ズ……


 ズドン……


 完全に沈黙。


 崩壊が始まる。


 腕が落ちる。


 脚が崩れる。


 全身に亀裂。


 そして。


 ドォォォォン!!


 巨体が完全に崩れ落ちた。


 土煙。


 衝撃。


 風が街を抜ける。


 静寂。


 誰も動かない。


 そして――


 一人の勇士が呟いた。


「……終わった」


 別の男が、その場に座り込む。


「……勝ったのか」


 ミカサが息を吐く。


「ほんまに……やりよったな」


 リーナはルークを見る。


 何も言わない。


 ただ。


 そっと手を握る。


 ルークはゆっくり息を吐いた。


 銃が消える。


 その場に立ったまま。


 空を見上げる。


「……終わったか」


 その言葉と同時に。


 体の力が抜ける。


 崩れる。


「ルーク!!」


 リーナが支える。


 ミカサが駆け寄る。


「限界やな……」


 遠く。


 崩れた巨兵の残骸。


 その中心。


 砕けた核の跡だけが。


 黒く焼けていた。


 


 こうして――


 山岳要塞都市ブロックンを襲った厄災は。


 討伐された。

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