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第105話 マギアシューター

 ズドン。


 ズドン。


 石の巨兵はまだ動いていた。


 倒れている。


 だが。


 止まってはいない。


 腕が振られる。


 ブォォォォン!!


 風圧。


 瓦礫が舞う。


 勇士が吹き飛ぶ。


「まだ動くのかよ……!」


 ミカサが歯を食いしばる。


「しつこすぎるやろ……」


 リーナはルークを支えていた。


「無理しないで……」


 ルークは立っていた。


 左腕はない。


 だが。


 目は死んでいない。


 巨兵を見る。


 脚。


 硝子化した部分。


 再生していない。


 だが。


 倒しきれない。


「……足りない」


 ルークが呟く。


 魔力も。


 火力も。


 すべてが。


 足りない。


 その時だった。


 視界に浮かぶ。


 半透明の表示。


 UI。


 センス変更可能


 現在:魔剣士


 状態:使用不可(身体条件不足)


 その下に。


 新しい表示。


 新規センス検出


 マギアシューター(魔弾使い)


 ルークが目を細める。


「……なんだこれ」


 説明が流れ込む。


 魔力変換。


 弾生成。


 射出。


 圧縮。


 解放。


 ルークは理解した。


「……そういうことか」


 剣を見る。


 そして。


 静かに捨てた。


 リーナが叫ぶ。


「ルーク!?」


 ルークは言う。


「もうこれは使えない」


 次の瞬間。


 手の中に現れた。


 黒い武器。


 細長い銃身。


 無駄のない直線的な形状。


 先端へ向かうほど絞られている。


 まるで槍のように長い。


 そして――


 上部には透明な魔力のレンズ。


 空間に固定された照準器。


 スコープ。


 ミカサが目を見開く。


「なんやそれ……!」


 ルークは構える。


 片腕。


 だが。


 銃は微動だにしない。


 風が絡みつく。


 見えない支点。


 魔力が銃身を支えている。


「新しい戦い方だ」


 巨兵を見る。


 巨大な脚。


 狙いは。


 そこだけ。


 ルークが呟く。


「……魔弾」


 スコープ越し。


 硝子化した脚部。


 一点に照準を合わせる。


 呼吸を止める。


 引き金。


 ドォン!!


 圧縮された空気弾。


 一直線に突き刺さる。


 ドン!!


 石が砕ける。


 リーナが息を呑む。


「……何それ」


 ルークは答えない。


 撃つ。


 ドォン!!


 撃つ。


 ドォン!!


 連射。


 魔力が弾となる。


 止まらない。


 巨兵の脚。


 確実に削れる。


 ミカサが叫ぶ。


「効いとる!」


 ルークは集中する。


 風。


 闇。


 圧縮。


 今までよりも速い。


 精度も高い。


「これなら……」


 巨兵が腕を振る。


 ブォォォォン!!


 風圧。


 瓦礫が跳ね上がる。


 だが。


 ルークは動かない。


 スコープ。


 照準固定。


「……真空玉」


 銃口に集まる。


 圧縮された風。


 闇で封じる。


 球体が震える。


 限界まで押し込む。


 スコープ越しに狙う。


 一点。


 誤差ゼロ。


 引き金。


 ドォォォォォン!!


 爆発。


 巨兵の脚を抉る。


 石が溶ける。


 黒い硝子。


 再生はない。


 巨兵の体が揺れる。


 ズドン……


 さらに崩れる。


 勇士が叫ぶ。


「いける!!」


 ルークは息を吐く。


 魔力が削られていく。


 だが。


 止まらない。


 ルークが言う。


「これで終わらせる」


 銃を構える。


 目は――


 完全に獲物を捉えていた。


 


 その姿を見た勇士の一人が、思わず呟いた。


「……なんだよあれ」


「片腕で、あの化け物相手に……」


 


 別の男が、震えた声で言う。


「まるで……死神だ」


 


 その言葉は、静かに広がっていく。


 


 ――片腕の死神。


 


 後にそう呼ばれる男が、この場にいた。

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