第101話 闇×風
ズドン。
ズドン。
石の巨兵が街の中心へ進む。
一歩踏み出すたびに。
瓦礫が崩れ。
建物が砕ける。
勇士の一人が叫ぶ。
「止めろ!」
斧が振り下ろされる。
ガン!!
石が割れる。
だが。
巨兵は止まらない。
ズドン。
ズドン。
まるで――
山が歩いているようだった。
リーナが叫ぶ。
「ルーク!」
ルークは走る。
風の刃。
ドン!!
脚部を斬る。
石が砕ける。
だが。
ほんのわずか。
巨兵は止まらない。
勇士が歯を食いしばる。
「削れてるのかこれ!?」
ミカサが呟く。
「効いとるようには見えへんな……」
そして目を細めた。
「なんかさっきから」
「削ったところ再生してるようにみえる」
ルークも理解していた。
普通の攻撃では。
時間が経てば。
巨兵は再生してくる。
足りない。
圧倒的に。
足りない。
ルークは巨兵を見上げた。
巨大な腹部。
厚い石。
まるで岩山。
その時。
ルークの表情が変わる。
何かを思い出したように。
手をかざした。
風が集まる。
手のひらの上。
小さな風の渦。
そこへ――
黒い魔力が混ざる。
闇魔法。
リーナが気付く。
「それ……」
ルークは答えない。
風を圧縮する。
ギュッ。
空気が潰れる。
さらに圧縮。
闇魔法で封じる。
膨張。
圧縮。
膨張。
圧縮。
何度も繰り返す。
空気が悲鳴を上げる。
小さな風の球。
だが。
内部は異常だった。
圧縮された空気。
摩擦。
温度が上がる。
数百度。
千度。
さらに上昇する。
ミカサが呟く。
「なんやそれ……」
ルークが低く言う。
「まだだ」
さらに圧縮。
闇魔法が押さえ込む。
空気が震える。
そして――
風の球が完成した。
手のひらサイズ。
だが。
内部は。
数千度を超えている。
ルークが呟く。
「……行く」
地面を蹴る。
風を纏う。
一瞬で距離を詰める。
巨兵の腹。
石の巨体。
ルークが手を突き出した。
「――!」
風の球を叩き込む。
次の瞬間。
闇魔法が解ける。
圧縮された空気が。
一気に解放された。
ドォォォォォン!!
凄まじい爆発。
衝撃波。
風が街を吹き抜ける。
瓦礫が舞う。
勇士が叫ぶ。
「なんだ今の!」
煙が晴れる。
巨兵の腹部。
そこには――
黒い跡。
石が。
溶けていた。
高温。
岩が。
硝子化している。
リーナが息を呑む。
「……効いてる」
そして。
異変。
割れた石が。
再生しない。
ルークが呟く。
「やっぱりだ」
ミカサが叫ぶ。
「なんやったんやいまの!?」
ルークは頷いた。
「小さい頃にテレビで」
「科学の実験でやってた」
ミカサが首をかしげる。
「テレビ??科学??」
ルークは苦笑いした。
そして。
目つきが変わる。
「さあ」
「ここから反撃開始だ」
ルークは巨兵を見上げる。
狙いは。
脚。
「足を止める」
ルークが言う。
「街を守る」
そして。
再び風が集まる。
巨兵の脚へ向けて。
新たな圧縮風弾が生まれた。
戦いは――
まだ終わらない。




