新たな仲間
アリュゼルンの故郷イムロヴィンを目指して旅立った俺とアリュゼルンは、オイストに出会う前に通った森の中を走り抜けていた。
悠記「なぁアリュゼルン、コイツの名前を決めておかないか?」
アリュゼルン「オイストさんからいただいたこの生き物のことですか?いいですね!出会ったばかりとはいえ、この子も今は私たちの仲間みたいなものですから、名前があった方が親しみやすいですよね!」
悠記「うん、問題はどんな名前にするかだけど...」
アリュゼルン「オイストさん曰く、私たちは名前をつける才能がないみたいですからね...。」
悠記「そんなことないと思うんだけどな〜。そういえばアリュゼルンはこの生き物の元の名前は知らないの?」
アリュゼルン「私はイムロヴィンの王宮がある中心都市に住んでいたのですが、都市の周辺は常に安全が確保されていたので、昨日悠記さんが仕留めた“イブマブ”などの小柄で本当におとなしそうな草食動物しか見たことがありません。この生き物は初めて見ました。」
悠記「イブマブ...あのシカみたいなやつのことか。確かにアイツらと比べるとコイツはかなり屈強な体つきをしてるからな。かっこいい名前がいいかもな。」
アリュゼルン「あ!それじゃあ“○○マン”みたいな感じにしましょうよ!」
悠記「マン..........?」
アリュゼルン「だってかっこいいじゃないですか!ヒーローの名前みたいだと思いませんか?」
そういえば俺のことも最初“色欲マン”って呼んでたんだよな。
じゃあ一応俺に対する印象もヒーロー要素が多少は入っていたということかな。
まあ、だとしても色欲ヒーローであることには変わりないから複雑ではあるが。
悠記「あ、そうだ!じゃあ“シングマン”はどう?」
アリュゼルン「シングマン…?」
悠記「アリュゼルンは名前がわかるまで俺のことを“色欲マン”って呼んでたんだよな?俺はアリュゼルンのことを“寝具ちゃん”って呼んでた。じゃあ2つ合わせて“シングマン”だ。どう?よくない?かっこいいじゃん?」
アリュゼルン「なるほど!いいですね!いいと思います!」
悠記「そういえば見た目で勝手にかっこいい名前を意識しちゃったけど、こいつオスとメスどっちだ...?」
アリュゼルン「オス...でした...。」
悠記「そっか!ならよかった!え、てかどうやって見分けるの?メスは角が小さいとか?」
アリュゼルン「ついてました...」
悠記「あっ......」
アリュゼルン「た、たまたま見えただけですので...」
悠記「うん...わかってるよ...」
アリュゼルン「................。」
悠記「................あ、俺が気失ってる時...体洗ってくれてありがと...」
アリュゼルン「......!なんで今言うんですかっ!」
こうして俺たちの愛すべき仲間、シングマンは誕生した。
シングマンのおかげで、若干トラウマの残る森の中を難なく通り抜けた俺たちは、ついに俺とアリュゼルンが出会った草原へと戻ってきた。
アリュゼルン「ついにここへ戻ってきましたね。」
悠記「あぁ、俺たちここで出会ったんだよな。」
アリュゼルン「ここを真っ直ぐ行くとまた森に入ります。その森を抜けるとイムロヴィンの領土になります。」
悠記「お、領土自体はわりと近いんだな。でもテックテックキルスみたいに、アリュゼルンの住んでた中心都市ってのはもっと中央にあるんだよな?」
アリュゼルン「はい。ですが、中心都市には行きません。目的地はもっと手前にある村です。」
悠記「村...。帰らなくていいの?」
アリュゼルン「はい。それはまた今度です。悠記さんに見せたいものはその村に行けばあるので。」
イムロヴィンに着いたら話すと言っていたが、アリュゼルンは何か自分に関する重要なことを隠しているようだ。
イムロヴィンでアリュゼルンは俺に何を見せようとしているのか。
イムロヴィンと俺の存在にはどういう関係があるのか。
アリュゼルンが語らない以上この疑問が解消されることはないが、とにかくイムロヴィンに行ってみるしかないだろう。
イムロヴィンがあるという方角に向かって止まることなく真っ直ぐに進んでいると、再び大きな森が姿を現した。
アリュゼルン「あ、見えてきました!あの森を抜ければイムロヴィンの領土ですよ!」
悠記「かなり大きな森みたいだけど、シングマンがいれば数十分で抜けられそうだな!よし!行こう!」
俺たちは意気揚々と森の中に飛び込んだ。
森の中は相変わらずだった。さっき通ってきた森とほとんど同じ。
聞こえてくるのは木々のざわめきと生き物の鳴き声、そして力強いシングマンの足音だけだった。
唯一違うのは生き物の鳴き声の種類ぐらいだろうか。至って平穏な森の中だがやはり少し緊張する。アリュゼルンも同じ気持ちなのか口数が極端に少なくなった。
しばらく何事もなく森の中を進み続けていた俺たちだったが、アリュゼルンが突如シングマンを止めた。
悠記「ど、どうしたの......?」
アリュゼルン「悠記さん、前方を見てください。」
そう言われて前方に目をやると、遠くの木々の隙間から大きな獣のような姿が見えた。正確にはわからないが、俺の知る馬よりも一回りくらい大きいシングマンよりも大きく見える。
悠記「アリュゼルン、あいつは…?」
アリュゼルン「私にもわかりません。悠記さんと出会う前にここを通った時はあんなのは見ていません。ですが、バレてはいけないような気がします。ここは迂回してゆっくり進みましょう。」
アリュゼルンが手綱を軽く緩めると、停止していたシングマンはゆっくりと歩き出した。俺たちは生態のわからないその生物にとりあえずバレないように息を潜め、その生物の50メートルくらい横を迂回して歩いた。というより歩いてもらった。
遠目で見ていた時はわからなかったが、その生物はどうやらイノシシのような見た目をしていた。ブタのような鼻に2本の大きな牙が生えていた。
ただ俺の知る地球のイノシシと違って、大きな2本の牙はサーベルタイガーのように下向きに生えており、後脚に比べて前脚が大きく太く発達していた。明らかに戦闘狂みたいな見た目だが、今はおとなしく地面の匂いを嗅ぎ回っている。
そういえば、御歌ちゃんもいつかのブログでイノシシみたいなモンスターの話をしてたっけ。確か二足歩行でめちゃめちゃ速いって話だったような気がするが、アイツはそれなんだろうか。見た感じ四足歩行のようだが、まあバレなければ問題ないだろう。
それはそうと、アリュゼルンの手綱捌きが見事と言わざるを得ない。この上ないほど慎重に、それでも着実に歩み続けるようにシングマンを操っている。
シングマンの種は初見のようだったが、乗馬的なことは日常的にしていたのかもな。
順調に例の“明らかヤバイノシシ”を通過していく俺たちに、突如災厄は降りかかった。まるで俺たちを見下ろす神々が「つまらん」とでも言っているようだった。
俺たちの進行方向からとても聞き覚えのある鳴き声と共に、あの懐かしきトサカ野郎が4匹こちらに向かって走ってきたのだった。
俺は頭が真っ白になった。アリュゼルンもかなり動揺したと思う。おそらくトサカ野郎の鳴き声であの“明らかヤバイノシシ”に俺たちの存在もバレてしまっただろう。
しかし、俺は“明らかヤバイノシシ”の様子を確認する余裕もなく、すぐに「アリュゼルンッ!!」と叫んだ。
が、俺が名前を呼び終わるよりも先にアリュゼルンはシングマンを全速力で走らせた。
強い慣性で体が後ろに持っていかれそうになったが、俺はなんとかアリュゼルンにしがみついた。
しかし、バランスを取り戻したのも束の間、今度はあのトサカ野郎たちが目前まで迫っていた。
俺は咄嗟にオイストから貰ったSDGUNsを取り出そうとしたが、アリュゼルンが「悠記さん!腰を浮かせてください!」と大きな声で叫んだ。
慌てて俺は慣れないながらも精一杯腰を浮かせたがその瞬間、俺たちの体はギュンと浮かび上がった。
シングマンが向かってきていたトサカ野郎たちを飛び越えたのだ。
シングマンは確かに逞しい肉体を持っているが、それでも俺たち2人を乗せての大ジャンプは見事なものだった。
あっという間にトサカ野郎たちの頭上を通り過ぎ、最後尾にいたトサカ野郎よりも3メートル程離れたところに着地した後、シングマンは再び全力で駆け出した。
シングマンの脅威の身体能力に呆気に取られつつも少し余裕を感じた俺は、すぐさま後方の様子を確認した。
4体のトサカ野郎は諦めることなく俺たちを追って来ていた。しかし、身軽そうなヤツらでも全速力のシングマンのスピードには敵わないのか、なかなか距離は縮まらなかった。
このまま引き離せるのではないかと思わず笑みが溢れたその時、俺の視界の端に何かが映った。恐る恐るその何かに目をやると、案の定あの“明らかヤバイノシシ”だった。
ヤツもトサカ野郎たちの斜め後ろから一心不乱に俺たちを追いかけてきているようだった。あまりにも絶望的な状況のようだが、俺はとても落ち着いていた。
というのも、例の“明らかヤバイノシシ”は俺たちどころかトサカ野郎たちにさえ、なかなか追いつけずにいたからだ。
あの大きく発達しすぎた前脚は強そうに見えるものの、後脚とのバランスが悪く走りにくいのかもしれない。
まともに戦えばきっと危なかっただろうが、シングマンに乗る俺たちにはかなりのアドバンテージがあるように思えた。
危険を冒さずしてヤツらから逃げ切れる、そんな希望が脳内に立ち込めてきた矢先、アンバランスな前脚と後脚で走っていた“明らかヤバイノシシ”は突如その大きな前脚を持ち上げて、小さな後脚だけの二足歩行で走り出した。
その時ようやく俺はヤツの前脚に付いているのが大きな蹄ではなく、黒くて大きな手だったことを知った。
明らかヤバイノシシはさっきまで俺が前脚だと思っていた大きな腕を後ろにやり、全速力で走ってきた。
あれはナ◯ト走りってやつだ。
正直かっこよかったが、二足歩行になった途端、ヤツは信じられないくらい速くなった。
ほんの数秒でトサカ野郎の集団に追いつき、一番端にいたやつを大きな左腕でぶっ飛ばした。
そのまま残りのトサカ野郎たちを追い抜き、明らかヤバイノシシは全速力で俺たちに追いつこうとしていた。
シングマンは速かったが、二足歩行の明らかヤバイノシシはさらに速かった。
俺たちと明らかヤバイノシシとの間には結構な距離があったが、その距離もじわじわと詰められていた。
このままでは俺たちもあのトサカ野郎のようにヤツの極太の腕の餌食になるだろう。
俺は今度こそSDGUNsを取り出し、明らかヤバイノシシに向かって4発込めていた石をすべて撃ち込んだ。
それなりの巨体を持つ明らかヤバイノシシにこのSDGUNsは相性が良いらしく、俺が撃った石は4発とも明らかヤバイノシシに命中した。
全速力の中、俺の射撃によってバランスを崩した明らかヤバイノシシは、猛スピードで走る車のドアが外れた時のようにすごい勢いで後ろに飛んでいった。
明らかヤバイノシシの後ろを追いかけてきていたトサカ野郎たちは、ボーリングのピンの如く突如飛んできた明らかヤバイノシシの巨体に巻き込まれた。
再び独走状態となった俺たちだったが、明らかヤバイノシシの巨体にSDGUNsは致命傷とならなかったらしく、体勢を立て直した明らかヤバイノシシはまたすぐに俺たちを追い始めた。
もうSDGUNsは弾切れだ。今度こそ追いつかれてしまう。これはかなりまずい状況だ。
しかし、明らかヤバイノシシの二足歩行と異常なスピードを見たことで、アイツも帝攻略本に掲載済みの生き物だということがたった今はっきりとわかった。
問題は御歌ちゃんはアイツの弱点的なことにも言及していたような気がするが、俺がそれを覚えていないということだ。
御歌ちゃんがあの明らかヤバイノシシについて触れたブログを見つけられれば、この状況を打開することができるかもしれない。
思い立った俺はすぐにスマホを取り出し、アポノのオフィシャルサイトを開いた。
御歌ちゃんは同じアポノメンバーの澄笛ちゃんと違って結構マメにブログを書くタイプだが、御歌ちゃんが活動を再開してから2ヶ月ちょっとぐらいだから目当てのブログはすぐに見つかるはずだ。
明らかヤバイノシシは再びじわじわと距離を縮めてきている。
「やっほ〜みんな今日もお疲れ様♡今日食べたメロンパンめっちゃ美味しかったー」
いや、これじゃないな。これはつい最近の近況報告中心のやつだな。
「やっほ〜みんな今日もお疲れ様♡この間帰り道に紫陽花が咲いてたの めっちゃ綺麗だった!」
違う、これでもない。
そもそも御歌ちゃん、どういう流れでイノシシの話してたんだっけ?
あ!そうだ!
そういえばリーダーの奏音ちゃんと御歌ちゃんが一緒の仕事だった時の話じゃなかったっけ?
あれいつのブログだ?
5月のどこかだった気がするな。
アリュゼルン「悠記さん!後ろは大丈夫ですか!?」
悠記「は!え?うわっ!やべっ!」
俺が少し目を離している間に、明らかヤバイノシシは質感がわかるぐらいの距離まで追いついていた。
急げ急げ…!
これか?いや、違うな。
あ!これ!
御歌ちゃんと奏音ちゃんの2ショットで始まってるブログ!
これなんじゃないか?
「やっほ〜みんな今日もお疲れ様♡
今日仕事が一緒だったかな姉と♪
ちょっと聞いて!今日かな姉がめっちゃおもしろかったの!
私とかな姉、前の仕事が押しちゃって次の仕事現場に急いで向かったんだけど、現場の廊下を小走りしてたらかな姉が曲がりきれずに壁に激突したの笑
こっちはまさかそんなことになると思わなかったからさ、咄嗟に「イノシシか!」ってツッコんじゃったよ笑
そういえば、私が行ってた異世界にも大きいイノシシみたいなやつがいて、二足歩行でめっちゃ走るのが速いの!上半身なんて超ムキムキで腕もめっちゃ太いのに………」
これだ!見つけた!
「ブオォォォォォォォーーー!!!!」
大きな雄叫びと共に背後から凄まじい風圧を感じ振り返ると、明らかヤバイノシシはもうすぐそこまで迫っていた。
悠記「アリュゼルン、聞いてくれ…」
俺はそう言って後ろからアリュゼルンに耳打ちをした。
アリュゼルンはずっと前を見ていたため細かい表情まではわからなかったが、少し驚いたようなリアクションをした後、俺にこう言った。
アリュゼルン「わかりました…やってみます。」
悠記「頼む…」
アリュゼルン「悠記さん!しっかり掴まっていてください!」
明らかヤバイノシシの魔の手が真後ろに迫る中アリュゼルンがそう言うと、元々かなり全速力だったはずのシングマンがさらに加速したような気がした。
風を切る速さでこの木々の間を駆け抜けるのはかなりスリルがあったが、その時の俺は背後にいたそれ以上のスリルの権化に必死で、そんなことを考えている余裕はなかった。
悠記「あれにしよう!アリュゼルン!あの木で頼むっ!」
アリュゼルン「わかりました!」
俺たちの右前方に低い位置で幹が二つに大きく分かれた根本のどっしりした木が生えていた。
俺たちはシングマンをその木目掛けて猛スピードで走らせた。
明らかヤバイノシシも負けじと俺たちを追ってくる。
そしていよいよ明らかヤバイノシシが速度を落とさないまま、その大きな腕を片方ゆっくりと振り上げた。
この速度を維持したまま、あの逞しすぎる腕を振り下ろされたらきっと即死だろう。
いよいよ最悪の未来がはっきりと見え始めたその時、なんとか俺たちは目的の木に辿り着いた。
悠記「アリュゼルン!頼む!」
アリュゼルン「はいっ!悠記さん!腰を浮かせてください!」
アリュゼルンがそう叫んだ直後、シングマンは再び宙を舞った。
二つに分かれた木の幹の間を柵のように飛び越えた。
俺たちの真後ろに着いていた明らかヤバイノシシは案の定木の根元につまずき、走っていた時の勢いに翻弄されるようにシングマンよりも高く宙を舞った。
着地後シングマンはやっと速度を落とし、緩やかなスピードで前進を続けた。
明らかヤバイノシシは俺たちよりも遠くに着地…いや落下し、俺にSDGUNsで撃たれた時同様、巨体をドスドスとバウンドさせながら転がっていった。
何本も木を薙ぎ倒し、俺たちが飛び越えた木から80メートル程離れたところで明らかヤバイノシシは仰向けに倒れた。
悠記「アリュゼルン、目だ!目をやればアイツは戦意を失うらしい!」
アリュゼルン「え、目ですか!?」
明らかヤバイノシシに追いついた俺はすぐさまシングマンから降り、オイストからもらった腕時計型のポータブル倉庫“ハレトノヴァルシェ”にオイストがあらかじめ入れておいてくれた剣を取り出した。
アリュゼルンも戸惑いながら剣を握り俺に着いてきた。
そして俺は仰向けでモゾモゾしながら唸り声を上げている明らかヤバイノシシに近づき、今はほとんど瞼に覆われているヤツの大きな目玉に剣を突き立てた。
その瞬間明らかヤバイノシシは大きな声を上げながら悶え始めたが、すかさずアリュゼルンがもう片方の目にも剣を突き刺した。
すると明らかヤバイノシシは勢いよく上体を起こし、振り落とされた俺たちは地面に尻もちをついた。
まずい、悪手だったか。
「そういえば、私が行ってた異世界にも大きいイノシシみたいなやつがいて、二足歩行でめっちゃ走るのが速いの!上半身なんて超ムキムキで腕もめっちゃ太いのにすごいスピードなの!
でも二足で走っている間は今日のかな姉みたいに急旋回ができないから、障害物とかに誘導したらぶつかっちゃうの!今日のかな姉がまったく一緒すぎてホント笑ったよー!
でね、そのイノシシみたいなやつは大きな目玉を持ってるんだけど、両目をつぶして戦意を喪失させるのが定石だったから私も条件反射でかな姉の目殴っちゃうところだった笑」
御歌ちゃんのブログにはこう書かれてたが、例外もあるのか…?
しかし、明らかヤバイノシシは起き上がってからもひとしきり悶え苦しんだ後、俺たちとはほぼ真逆の方向に進み、今度はうつ伏せに倒れ込んだ。
俺たちはしばらくの間、黙って明らかヤバイノシシを見つめていたが、ヤツは動かなかった。
アリュゼルン「動かなくなりましたね…死んだのでしょうか…」
悠記「どうだろうな。ショックで気を失ってるだけかも。まあ何はともあれ、これでもう俺たちを追いかけることはできないだろ。」
アリュゼルン「そうですね。オイストさんからの援助はかなり心強かったですが、やはりそう易々とはいきませんでしたね…ヒヤッとしました。」
悠記「うん…アリュゼルンの手綱捌きがなければとっくに追いつかれてたかもな。シングマンにも助けられた。二人ともありがとう。」
アリュゼルン「いえ、全員無事でよかったです。」
シングマンは黙ってこちらを見ている。
悠記「そういえばシングマンが鳴いてるとこ見たことないな。」
アリュゼルン「あ、確かに…どんな鳴き声なんでしょう…まあでも寡黙な方がシングマンらしくてかっこいいですね。」
悠記「まあそうだな。血の匂いを嗅ぎつけて他の生物が来るかもしれない。そろそろここを離れよう。」
アリュゼルン「はい。」
俺たちは再びイムロヴィン目指して森の中を進んでいった。
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再び歩を進める悠記たちを少し離れた木の陰から見ている者たちの姿があった。
??「まだ行くなよ。正面からぶつかっていないとはいえ、ヴァルスグァルを倒すとは。」
??「ああ。カコス様を待った方がいいだろうな。」
??「一緒にいたのはヴァリオスの者のようだが、やつがやたらとヴァリオスに精通していそうなのはそのせいか?」
??「とにかく、しばらくは様子見だ。目的地はわかっているんだ。」
最後まで読んでくれてありがとうございます!
そして申し訳ない、時間が空いてしまいました。
イムロヴィンに早く行きたいですw




