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第1章 第1話 「バスクラリネット」との出会い

吹奏楽。

ツヤツヤと輝く「金管楽器」や、繊細に音を響かせる「木管楽器」。

それから、多種多様な楽器を扱う「打楽器」。


これらの楽器が音を合わせ美しい音楽を奏でる。

それが“吹奏楽”である。


現在の日本の吹奏楽人口は約500万人と言われており、日本人口の約25%が

吹奏楽をやっているという計算になる。


ここ数年、中学校の部活動廃止が進んでいる中、吹奏楽の人気は衰えることを

知らずどんどん注目を集めている。


そんな私も、吹奏楽に惹かれた人のうちの一人だ。


中学の頃、なんとなくで吹奏楽を始め、なんとなくでクラリネットになった。


しかし、私にはクラリネットの才がなかった。

クラリネットの指が回らず、楽譜も読めず、その上指が変形をしているせいでクラリネットの穴がふさがらず、音が出ない始末である。


そのせいで先輩方を悩ませてしまっていたし、私が苦戦しているその間にも他のクラリネットの子は上手くなって行った。


正直な話をすると、すごく焦っていた。

あの子はできてる。でも私はできてない。その事実が私を苦しめ、どんどん吹奏楽が嫌いになった。


合奏の度、自分の力不足を実感する。

1人で吹いて、と言われる度足が震える。怖い。


周りの子が何か言ってる。

でもそんな物は私にはすべて悪口に聞こえて仕方なくて。


耳を塞いでしまいたかった。

その合奏から逃げたかった。


そんな恐怖を抱えながら、吹奏楽のいちばん大切な時期。

「夏」が来た。


汗でセーラー服が張り付くような蒸し暑さの中、私は退部届を出そうと思ってポケットに退部届の入った封筒を持ち、部活に行った。


いつも通り合奏が終わり、楽器を片付けようとすると顧問の先生に呼ばれた。


私が何かやらかしたのだろうか。

一瞬そう思ったが、私以外にもクラリネットの子達が呼ばれていたのでなにかした訳ではなさそうだ。


つい最近もパートリーダー(クラリネット全員をまとめる人。各パート事にいる。)に個人練習中に話すなと怒られたばっかりなので怒られるのは嫌だった。


まぁ、怒られる訳ではなさそうでよかった。

そう安堵しながら、パートリーダーについていく。

そうして連れていかれたのは、楽器庫。


楽器庫にはエアコンが付いておらず、夏になるとサウナのごとく熱気で溢れかえっている。

楽器を置いているのだから、エアコンつければいいのに。


そんな暑苦しい楽器庫の扉をパートリーダーが開くと、そこにはクラリネットから派生した派生楽器の「バスクラリネット」があった。


見た目としては、サクソフォンとクラリネットを混ぜたような形をしていて、長さはクラリネットの約2倍もある。


メロディラインを担当するクラリネットとは違い、バスクラリネットは低音を担当することが多く、パート練もクラリネットでやったり低音でやったりと色々だ。


なので、私は今まで「バスクラリネット」にはあまり関わったことがなかった。


大した興味もなかったし、一生やることもないと思っていたのだ。


そんなこの頃の私は、思ってもいなかっただろう。


この「バスクラリネット」がこれからの私の人生を狂わせることとなるのだ。と___



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