表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
没落王女、お好きにバトる!  作者: タイガー大賀


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/70

第32話 思惑通りに運んでいる様で、思惑を超えてるのかも知れません。多分…

「ただいま戻りました~っ♪」


 やたら元気にミーナさんがドアを開けて飛び込んでくる。


「ミハエルさんとの調査は順調ですか? とりあえず、現時点で判明している事を報告して下さい♪」


 マニエルさん達からも手紙で報告は受けているが、(ナマ)の意見も大事だからな。


「は~いっ♪ 次期国王候補の2人ですが、どちらが国王になっても同じ様な感じですね。勿論、今の段階では、です。引き続き兄が調査を進めてますので、私も卒業式が終わり次第王都(アドル)に向かいます。ところで(ひと)つ問題がありまして…」


「まぁ、調査を始めて数日で戻ってきてるワケですから、情報は(ほとん)ど無くて当然ですよね… で? ()()と言うのは?」


 私が(うなが)すと、ミーナさんは身を乗り出して言う。


「物価ですっ!」


「は? 物価?」


「そうです! 王都の物価は高いんです! この街なら小銀貨1枚で買える串焼きが、小銀貨2枚もするんです! 単純に考えて、渡された資金では予定の半分の日程しか活動できません! ジェニファー様! しっかりとした調査を続ける為にも、追加の資金をお願いしますっ!」


 テーブルに()()して懇願するミーナさん。


「なるほどねぇ… ジェニファーって金銭感覚が無いモンねぇ… まぁ、仕方無いわよ。必要な物はお父様やお母様に言うか、でなければ侍女やメイドに言えば手に入ったんだから…」


 いつの間にか現れたジュリア姉様が(たん)(たん)と語る。

 ()っといてくれ。

 お小遣いが貰える様になるのは学園に入ってからって事だったし、学園に入った()(たん)に戦争が始まって、それどころじゃ無かったし…

 だから、この世界の貨幣価値を知らないんだよ!

 まぁ、今回の事で勉強にはなったな。

 今後は気を付けるか…


「…それは申し訳ありませんでした。では、これなら足りるでしょうか?」


 言って私は(ふところ)から3枚の金貨を取り出す。

 最初に渡したのが金貨1枚だったから、3枚追加したら大丈夫だろ。


「こ… こんなに…! これだけあれば、当初の予定の倍は調査できます! いや、調査を日程通り進めて()いなら、毎日()()しい物を好きなだけ食べられるのねぇえええええっ!!!!」


無駄(むだ)(づか)いする前提(ぜんてい)で考えるなぁあああああっ!!!!」


 私はテーブルを飛び越え、ミーナさんの顔面に全力の飛び蹴りを炸裂(さくれつ)させたのだった。





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





(フム… 長男と次男では、次男の方が()い感じだな… ジェニファー様がクーデターを起こす大義名分を得るには、次男が王位を継いだ方が都合が()い様だ… 問題は、どうやって長男の方を(しっ)(きゃく)させるかだな…)


 ミーナが王都を離れて数日、それが調査を続けていたミハエルの出した結論だった。

 長男の方は、次男に比べて侵略した国家に対して(わず)かだが柔軟な姿勢を見せていた。

 現国王の方針は、少なくとも侵略した国の王族には最低限の生活と費用を保証し、元貴族に対しても職業を(あっ)(せん)する(など)便(べん)()(はか)っていた。

 長男の考えは、王族も職業を(あっ)(せん)する(など)して、元王族だからと特別扱いは()めるべきとの考えだった。

 次男の考えは更に厳しく、侵略した国家の王族も貴族も等しく我が国の平民として扱い、職業の(あっ)(せん)すらも()めるべきとの考えだった。

 ジェニファーがクーデターを起こす大義名分を得るには、次男が王位を継いだ方が都合が良いのは明らかだった。


(こりゃ、ミーナが戻っても調査を続ける必要は無くなったかな? (あと)は、()()にして次男が王位を継げる様に()(ろん)(せん)(どう)するかかな…?)


 一応の結論に達したミハエルだったが、それでもミーナが戻るまでは調査を続ける気でいた。

 長男と次男の気が変わるかも知れないし、長男の方が次男より厳しい考えに変わる可能性もあるとの思いからだった。


(それにしても、親と子で考えが違い過ぎるよな… 真逆と言っても()い考え方なんて、どんな教育してたんだよ…?)


 ミハエルの疑問も当然だった。

 親である現国王は、侵略した国の(たみ)が反乱など起こさない様に(かい)(じゅう)(さく)()っていたが、次期国王候補の2人は()(あつ)する方向に(かじ)を切ろうとしていた。


(性格的なモノかも知れないけど、俺達… いや、ジェニファー様にとっては都合が()いかな…?)


 調査対象が寝室に戻った為、この日の調査を終える事にしたミハエルもマニエルの家へと帰ったのだった。





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





「…では、諸君の未来に(さち)多からん事を! 卒業、おめでとう!」


 やたら長い学園長の卒業祝いの話が終わり、精神的に疲れ()てた私は、ストレス解消の為に(れん)()(じょう)で暴れまくった。

 お(かげ)で体術鍛練用のサンドバッグ3つと剣術鍛練用の打ち込み人形──(こう)(てつ)(せい)──2つを(つぶ)したけど…


「ちょっとは手加減しなさいよ… 学園長の話が長いのはジェニファー(あんた)も知ってるでしょ? (みんな)が頑張って稼いだお金で作った鍛練用具を簡単に壊しちゃって… 弁償しなさいよ?」


 (あき)れ顔&ジト目で私を見つめるジュリア姉様。


「まぁ、これからは私もハンターとして稼げますし、この程度はご(あい)(きょう)って事で♪」


 暴れまくってスッキリした私は、姉様に最高の笑顔を向ける。


「愛敬で散財(さんざい)しないで欲しいわね… それより、きっちり(あと)(かた)()けしときなさいよ?」


 言って練武場を(あと)にするジュリア姉様。

 あ、やっぱり手伝ってはくれないか…

 仕方無がないので、私は自分が(つぶ)したサンドバッグと打ち込み人形を裏の粗大ゴミ置き場に運んだのだった。


「う~ん… ストレス解消の為とは言え、さすがにやり過ぎたなぁ… ギルドに行って、魔物か魔獣の(とう)(ばつ)依頼でも適当に探してみるかな…?」


「賛成ですわね♪ 私達もご一緒させて貰えませんかしら?」


「だな♪ 1人(ソロ)より、パーティーの方が大きな依頼が受けられるからな♪ その分、稼ぎもデカくなるぜ?」


 不意に声が掛かり振り向くと、そこにはレイチェルさんとランディさんがドヤ顔で立っていた。


「ど… どうして…!? いや… そりゃ、(うれ)しいですけど…」


 混乱する私に、2人は最高の笑顔を見せてくれる。


「俺の学園、卒業式が半月前だったんでな。終わってから急いで来たんだよ」


「私の卒業式も半月前でしたわ♪ ()ても立っても()られなくて… 大急ぎで準備して来たんですの♪」


 (かん)(きわ)まった私は、思わず2人に抱き付いたのだった。





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





「ふ~ん… 息子2人がアホなのは(わか)ったけど、どっちが王位を継いだ方が都合が()いかは微妙かぁ… なるほどねぇ…」


 ミハエルから話を聞き、考えるミーナ。


「あぁ… まだ調査を始めて1ヶ月ちょっとだからな… まだ結論を出すのは早いが、現時点では似たり寄ったりだな」


「誰が王位を継ぐかを決める会議は、再来月の半ばに開かれるそうです。候補は長男のカルロス、次男のカール… ですが、一部では娘であるカレンを()す声も聞かれる様です」


 マニエルの言葉に、ミハエルとミーナは(きょう)(がく)の表情を浮かべる。


「女帝を擁立(ようりつ)するって事ですか? それは歴史上、前例が無いのでは?」


「でも… そのカレンって娘が長男と次男を上回るアホなら、ジェニファー様にとっては都合が()いですよね? 場合に()っちゃ、カレンが王位を継げる様に世論を操作する必要も考えなきゃねぇ…」


 マニエルの呼び掛けで集まった(めん)(めん)も、ミーナの意見に黙って(うなず)く。

 その後、まだ結論を出すのは早いとのミハエルの意見を採用し、引き続き調査を続行する事に決定した。

 ちなみにミーナは、金銭感覚が欠落(けつらく)しているジェニファーから当初の予定を(はる)かに超える調査費用を受け取っていた。

 その事を知ったマニエルの意見で、その資金を使って()()(たみ)(せん)(どう)する方法も考える事になったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ