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七不思議の六番目、幽霊の怪 その参

 新島も高田を追いかけるように、階段を猛スピードで上がっていく。高田は屋上まで逃げていた。新島はため息をもらして高田を呼び止める。

「高田! 絵画は追いかけてこないから安心しろ」

「ほ、本当か?」

「本当だ。たが、まさか音楽室以外の絵画の目も動くとは。まあ、八坂中学校が俺達を脅すためにやったことだろうな」

「何でだ?」

「昨日、俺達が忍びこんだことはすでにバレている。割った窓ガラスも元通りになってるし、音楽室で七不思議の六番目が起こった時点でこういうことは予想していた」

「文芸部は八坂中学校のブラックリストに入ったのか」

「まあ、だからと言って以前はホワイトリストだったわけでもないんだけど......」

 高田が落ち着いてきたところで、新島は部室に向かって歩き始めた。

 部室には三島一人しかいなかった。新島は三島に、新田がどこにいるか尋ねた。

「私が来たときには、すでに新田はいませんでした」

「そうか......。音楽室に行きたかったんだが、新田が来るまで待つか」

 新島は本棚から本を取り出して読み始めた。高田は本棚から漫画本を抜き出した。

「高田、小説読めよ」

「漫画の方がサクサク読めるんだよ」

「別に、読んでも読まなくても好きにしていい。だが、教職員に見つからないようにしろ。文芸部が存続出来なくなる。気をつけろ」

「へいへい。わかってるって......」

 数十分待っていると、新田が部室に顔を出した。

「どうした、新田。今日は遅かったな」

「ごめんなさい、部長。少し補習を受けていました」

「それくらいで謝らなくてもいい。文芸部の活動は今の時期はないから、俺達は非公式活動をしているようなもんだ。一応、公式ではあるが」

「はい」

「新田も来たし、音楽室に行くぞ」

 新島と高田は元気いっぱいという感じだったが、三島と新田はお互いにくっついて身震いしていた。彼女らは、そういうホラー的なことは苦手らしい。しかし、新島は何とか説得して四人で音楽まで歩き出した。

 まだ午後三時なのだが、これから音楽室に行くとなると辺りが暗く感じられる。どこから幽霊が出てもおかしくない状況だ。生徒のほとんどは帰宅していて、静かすぎる校舎。微かな物音にすら反応してしまう。ゆっくりと四人でまとまって歩き、やっと音楽室に到着した。新島が代表して扉を開き、足を踏み入れた。

「大丈夫だ。絵画の目はまだ動いてない」

 他の三人も、おそるおそる音楽室に入った。物は散乱してなく、絵画の目はまだ動いていない。新島は絵画に近づいて、目の部分を観察した。

「やっぱり、目の部分に何か細工されているようには見えないんだよな......」

「本物の幽霊の仕業なんじゃないか?」

「幽霊は存在しない。少なくとも、おれは信じていない」

 新島は次に窓へと歩み寄り、しっかりと施錠されていることを確かめた。窓から離れると、一度、音楽室を歩いて回った。

「現段階では幻覚としか結論がつかないな。高田はどう思う?」

「織れに聞かれてもなぁ。プロジェクションマッピングとか? くらいしか思いつかない」

「プロジェクションマッピングか。地味だし、おそらく間違いだろう。あの夜は暗かったし、プロジェクションマッピングだったらすぐに光線に気づくはずだ」

「もっともだな」

 新島はまた絵画に目を向けた。眼鏡が邪魔だなあ、と思いつつ黒目と目を合わせた。指で黒目を潰したり、デコピンもしてみた。反応はなかった。

「帰るか」

「もう帰るのか?」

「まだトリックはわからないが、特別棟の青い幽霊の方も調べてみたいんだ」

 階段を降りると外履きを履いて、外から特別棟に行った。特別棟周辺は太陽光が当たっていて明るい。幽霊が出るとは思えない。新島はある近くにある看板に目をつけた。

「見ろ、高田。おそらく、青い幽霊はこの看板だ」

「まさか、そんなことはないな。その看板は目立たないから幽霊とは見間違えないよ」

 その看板の主な色は青色で、形は長方形だ。危険ドラッグを取り締まる看板だ。

「そのまさかだと俺は考えている。『プルキンエ現象』というものがある」

「プルキンエ現象?」

「そう、プルキンエ現象。別名は『プルキニェ現象』とか『プルキニエ現象』とか言うらしい。

 プルキンエ現象とは、人の眼球で認識しやすい色は明暗によって変わるという奴なんだ。簡単に言うと、周囲が明るいと赤色が明るく見えて青色が暗く見えるが周囲が暗いと赤色が暗く見えて青色が明るく見えるんだ。つまり、昼間はこの看板は目立たないが暗くなると目立って、絵画の目が動いたことによる動揺もあったために幽霊と見間違えたんだろう」

「ということは、特別棟の青い幽霊は偶然生まれたってことか?」

「そういうことだ」

「まさか、そんな看板だったとは......」

「これで残るは絵画の目だけだな」

 新島は手で持った青い看板を、元の位置に戻した。長く外に置かれていたから、色あせて青いというか青白くなっている。この青白いことも、幽霊と見間違えた原因の一つかもしれない。

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