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七不思議の四番目、漏水の怪 その弐

 その後、休憩もしながら探していたが水を抜くための機械らしきものは見つからなかった。

「どうするんだよ、新島」

「どうするって......。なんで水を抜いたか、動機を探ってみるしかないだろ」

「動機か。テニス部に練習させないためとか?」

「テニス部に練習させない理由がないな」

「そうだよな」

「そういえば」三島は何かを思い出すように頭に手を当てた。「明日、明後日くらいにテニス部のテニスコートで他校と練習試合があるはずです。ですが、確かその他校のテニス部が強豪でした」

「それが動機か」新島はため息をついた。「学校はむちゃくちゃするな」

「つまり、学校側はテニス部に負けさせるのが嫌だったからということか? なんか、違う気がする」

「まあ、少しはこじつけがましいな」

「だろ? だって、他のテニスコート使っても練習試合は出来るからな」

「じゃあ、どんな動機があったっていうんだ?」

「わからんな」

「じゃあ、これからどうするんだ?」

「プールの水を抜くための仕掛けを考えればいいだろ」

「バケツで水を抜いたんじゃないか?」

「やってみるか? この四人でバケツ持って、何時間でプールの水を抜けるか」

「プールに水は今は張ってないぞ」

「確かにそうだな。だったら、計算すればいいんだ」

「どうやって?」

「八坂中学校のプールの大きさは、縦25メートル。横は12.5メートル、水深が1.35メートル」新島は紙に書いて計算を始めた。一分ほど経ってから、新島は顔を上げた。「計算すると、容積は421.875立法メートル。リットルに直すと約422000リットル。バケツは6リットルとすると、四人でやるから一回で24リットルが抜ける。──つまり、17583.333333333回でプール一杯分の約422000リットが抜けるはずだ。

 四人が6リットルバケツを持って、一回で24リットルのプールの水が抜ける。で、約17582回で一回にかかる時間を0.5分にする。すると、8791分かかる。だから、146時間31分か」

「結構、時間かかるな」

「バケツで水を抜く方法は没でいいか?」

「没でいい」

「よし。じゃあ、どうする?」

「どうするって......帰るか?」

「高田にしては名案だ。すでに五時半。部活を切り上げようか」

「賛成だ」

 四人は戸締まりをしっかりして、家に帰っていった。


 次の日、新島は昨日の労働で筋肉痛になった体を動かしながら三年三組の教室に入った。男子生徒は、さすが十五歳という目つきで女生徒を見つめている人物もちらほら見受けられる。新島は苦笑しつつ自分の席に座った。

「新島!」

「高田か。どうした? 寂しいのか?」

「お前、酷いな」

「そうか? で、どうした?」

「七不思議の四番目の件だ」

「朝からめんどうだな」

「仕方ないだろ」

「昨日、家帰って調べていたらもしかしてって思った水を抜くトリックを考えついちゃった」

「......言ってみな」

「プールの水はただ栓を抜いただけだ」

「それだと、テニスコートに水が漏水しないだろ」

「だから、テニスコートの前に水道の蛇口がいくつかあるだろ?」

「ああ、確か美術室のところだったな」

「その蛇口をテニスコートに向けて、水を出したってことは考えられないか?」

「なるほど。かなりいいトリックを思いついたな」

「だろ?」

「今日、実験してみよう」

「だな」高田は頬を掻いた。

「それより、もうすぐホームルームだぞ!」

「あ、本当だ」

「席に座っとけ」

「わかってるよ」

 高田が自席に座ると、担任の八代が入ってきた。三年になっても担任は替わらなかったのだ。


 放課後、高田は鼻歌を歌いながら新島に近づいた。

「実験するぞ!」

「おい、高田。急過ぎるんだよ! ちょっと待てよ」

「わかったよ」

 新島は立腹して、椅子から立ち上がった。

「そう怒るなよ。新島は怒らない方が格好がいいぞ」

「煽てているつもりか?」

「ま、まさか......ハハハハハハ」

 二人は文芸部の部室に寄らず、テニスコートに向かった。

 校舎の裏側だが、太陽がある向きだ。だから、ジメジメとはしていない。新島はテニスコートの近くの水道の蛇口に近寄った。

「高田! 蛇口の先をテニスコートに向けたぞ!」

「なら、水を放出しろ!」

「わかった!」

 新島は蛇口のノブをひねった。その途端、水が一斉に飛び出してきた。水が向かったのは目の前のテニスコート。地面に水が直撃し、四方八方に飛び散る。

 他の蛇口のノブもひねり、水の量が一気に増えた。高田は離れたところから高みの見物をしている。新島の服が水浸しなった光景を見ていた高田は吹き出してしまっていた。

 一五分程度待っていると、テニスコートは浅瀬と化していた。

「高田! これくらいで蛇口を止めるか?」

「そうだな。止めよう」

 新島は蛇口を止めた。

「これで決まりだな。プールの水はフェイクだった」

「ああ。高田の言うとおりだ」

「じゃあ、部室に帰るぞ」

「何言ってんだ? テニスコートを綺麗にするから、スポンジを持て」

「はあ!? マジで言ってんの?」

「うん。マジだ」

 高田はため息をついてから、スポンジを持った。

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