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日常探偵団1 八坂中学校の七不思議  作者: 髙橋朔也
キーボードの秘密
23/62

愛のメッセージ その弐

 新島は椅子に座るとすぐに、

「まず、もう少しくわしく話してください」

「わかった」

 山中は涙をこらえながら、話し始めた。

「おにいちゃんが中古で安く買ってくれたパソコンを使って、チャットチャットで美海と話していたんだ。パソコンは中古なのに綺麗で傷一つないものだったよ。だから、あんまりお金を使わずに美海とメールが出来た。まあ、スマホを買えば良いんだが、親は反対なんだよ。僕に言わせれば、スマホとパソコンの違いなんてないけどね。だって、電子機器としては同じだからな」

 話しがどんどん違う方向に脱線していく。これではまずいと思った新島は話しを(さえぎ)って、気になることを聞いた。

「ちょっと待ってください」

「?」

「パソコンは中古なんですか?」

「ああ、そうだ。高いのは駄目だって怒られたからね」

「それと、家にはお兄さんがいた...」

「いたね」

「なるほど」

 新島は足と腕を同時に組んで、目を閉じた。高田は唖然として、その光景を見つめていた。

 少しして、新島は目を開くと椅子から立ち上がった。

「二人とも、着いてきてください」

 山中と高田は言われるままに新島の後に続いた。新島は階段を降りて一階に行くと、左に曲がってまっすぐコンピューター室に向かった。

「ここの中の一つのパソコンを使って実験をします」

 新島はキーボードを少しいじって、それから山中をそのキーボードの前にある椅子に座らせた。キーボードはパソコン本体に繫がっている。

「先輩」

「なんだ?」

「そのキーボードを使ってパソコンで『好き』と打ってください」

「わ、わかった」

 パソコンを起動して、ワードを開いた。それから、『S』『U』『K』『I』のそれぞれのボタンを押した。

「何だ!?」

 山中はパソコンの画面を見た。ワードには『しね』と打ち込まれていた。

「学校のパソコンは古いです。このキーボードも古い...。つまり、個々のボタンが外れるんです」

 新島はボタンを外して見せた。

「先輩のパソコンのキーボードも外れるなら、『S』『U』『K』『I』がアルファベット四文字で相手を(けな)す単語に変えられていたはずです。さっきみたいに、『S』『I』『N』『E』と変えられていたかもしれない」

「だが、誰がやったんだ?」

「お兄さん、でしょう。ちょっとした悪戯(イタズラ)のはずです」

「でも、僕が『好き』とメッセージを送ることはわからないじゃないか」

「山中先輩はメッセージの返事が淡泊のはずです。お兄さんもそれを知っていたから『好き』と送信すると読んでいたのでしょう」

「な、なるほど」

「家に帰って、お兄さんに確かめるのが一番いいですよ」

「わかった! ありがとう。助かった」

 山中は急いでコンピューター室を飛び出した。高田は山中が行くのを見送ってから、口を開いた。

「よくわかったな」

「キーボードのボタンが外れることは知っていたからな」

「だが、履歴が残らないチャットなんか使うからややこしくなるんだ。履歴さえあったらキーボードのボタンが変えられていたことは簡単にわかるはずだ」

「だな」

「じゃあ、部室戻って七不思議の二番目の話しをしよう」

「さっきの続きか」

「ああ、その通りだ」

 二人は部室に戻った。

「やけに解決が早かったわね」

「まあ、一応...」

「それより、七不思議の二番目の話の方が重要っすよ」

「二番目?」

「そうっす! 七不思議の二番目、ポルターガイスト!」

「ポルターガイスト?」

 高田は土方に二番目のことを話した。

「そんな七不思議があったのか」

「そうなんすよ」

「いや、だから東野圭吾の『騒霊(さわ)ぐ』では──」

「新島。その話しは廊下で聞いた」

「言ったけど──」

「聞いた」

「あぁん?」

「んだあ? こらぁ!?」

 新島と高田は頭を打ちつけ合った。

「やめろ、二人とも。それより、高田。ポルターガイストの話しをしてくれ」

「はいっす!」

 高田は椅子に座った。

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