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稲穂祭と予言者 その陸

 それから、新島は自宅に向かった。新島は八坂中学校のすぐ近くの赤色のマンションの206号室に住んでいる。つまり、二階だ。マンションの隣りには砂利道があり、昔は川が流れていたようだ。

 新島は家に帰って早々に部屋に()もった。と言っても、家には新島しかいない。

「スマホ、スマホ......」

 新島はスマホを手に取ると、気になっていることを調べ始めた。どうやら、事故が起こる原因に心当たりがあるらしい。スマホを片手にベットに潜り込んだ。


 稲穂祭二日目。新島は確実に七不思議の一番目の正体をつかんでいた。

 新島が部室で待っていると、高田が来た。

「よっ! 新島」

「高田、話したいことがある」

「何?」

「事故は意図的に起こされていた」

「は?」

「学校が意図的に事故を起こしていた」

「はぁ!?」

「七不思議は八坂中学校の私情のせいで起こっているんだ」

「どこからの情報だ?」

「鈴木真美からだ」

「はぁ!?」

「つまり、七不思議を全て解決すると八坂中学校の秘密がわかるらしい」

「秘密って?」

「さあ。汚職か忖度(そんたく)か。まあ、そのあたりだろ」

「なるほど。で、一番目は解決出来たということか?」

「ああ。七不思議の一番目は学校の私利私欲が関わっている。トリックも完璧に理解した」

「私利私欲? んだよ、それ」

「ああ。先輩が来たら話すことにしようか」

「わかった」

 その十分後。土方は部室にやってきた。

「二人とも、どうした?」

「先輩、座ってくれ。話があるんだ」

「どうした?」

「事故の原因がわかった」

「ほぉ? 気になるね」

 土方はソファで横になって、毛布に包まった。

 新島はその後、二人に全てを話した。

「まさか、昨日そんなことが......」

「しかも、事故の原因が......」

「まず、軽音楽部に行こう」

 新島は急いでカバンを持つと、部室を出た。二人も新島を追った。


「あの、鈴木真美さんはいますか」

「おや、新島君じゃないか」

「どうも。あなたは七不思議の一番目を解いているんでしょう?」

「もちろん」

「なら、ライブを中止してください」

「本当に仕掛けがわかったようね」

「ええ」

「なら、今ここにいる軽音楽部部員に説明しないと」

「わかってます」

 新島はマイクをつかんで声を張り上げた。

「ライブを、中止しろ!」

 周囲が固まった。新島が続けた。

「ライブで流れている曲は全て六十BPMを超えるテンポです。六十BPMを超えるテンポの曲を聴くと、心拍数と血圧が上がります。つまり、興奮状態になる。そんな曲を運転中に聴くと、事故を起こしやすくなります。事故を起こした車は全て、窓が開いていました。

 ライブを中止してください! 事故が、また起こります!」

 鈴木は拍手した。

「新島君。よくやった。皆! ライブは中止だと伝えておこう」

「わかりました」

 ライブは鈴木の働きによって、中止された。

 鈴木は新島の元にやってきた。

「学校が六十BPMの曲しか演奏させない理由はわかる? その理由が七不思議の一番目の学校の私情だ」

「演劇部の劇を失敗させることですよね?」

「そこまで理解しているのね」

「ええ」

「では、これから四人で演劇部の劇を見に行こう」

「ええ。土方先輩、高田! 行くぞ」

「あ、ちょっと」

 演劇部は劇の真っ最中だった。四人は席に着いた。

「新島君。なんで劇を失敗させたいかはわかっているよね?」

「演劇部の部室を移すこと、です」

「そうよ。演劇部の部室があるのは学校で一番広い部屋。そこは有効活用ができるかは、部活には渡したくなかった。だから、六十BPMの曲を劇中に役者に聴かせることで、興奮状態にさせて劇を失敗させる。それを口実に部室を移す。これが学校の私情」

「ひどい話ですよ」

「平成十八年にも、演劇部の部室を移させたかったからこの方法を八坂中学校が使った。結果、事故につながったんだよ」

「......」

 四人は静かに劇を見ていた。

 演劇部の劇は学校の策略で大失敗した。それから部室を移ることになった。演劇部の今の部室は狭く、劇の練習が難しいようだ。体育館を使えるのは週に一度。部の存続も怪しくなってきたのだ。

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