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【駅】ホラー2020

回送電車

作者: 鷹野 進


よくあること。





『――回送電車が通過いたします』


 八月の、午後六時四十九分。

 夕方といっても、空はまだ明るい。


『――危ないですから、黄色い線までお下がりください』


 バイトを終えて、家まで帰る。

 今日も疲れた。

 世の中は勤労男子学生に厳しい。重い商品の品出しは、だいたい自分に任される。レジ打ちもあるし。


「時給上げてほしーなー」


 ホームでぼうっとしていたら、ライトを点けた銀色の車体が見えた。オレンジ色の行先表示は回送。この電車に乗れたら、十分早く家に帰れるのに。


 パァン、と警笛を鳴らし、電車が速度を落とした。目の前を通過する。


 十両編成の四番目。

 乗客の一人の男と目が合った。

 にたぁ、と男が笑う。

 気持ち悪いやつだな、と思った。

 ホームを完全に通過するまで、ずっとこっちを見ていた。


 風を巻き起こし、電車が通り過ぎる。

 遠く小さくなっていく、最終車両のオレンジ色の表示が目に入る。

 行先は回送。

 ぞっと背筋が凍った。



『回送電車』



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― 新着の感想 ―
[良い点] 文字数少なくても綺麗にまとまっていて、楽しんで拝読♪ にたぁ、という表情と、回送ってところがやっぱりぞくっとして楽しかったです!
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