わたしが馬鹿でした。
わたくしがこのエッセイを執筆しだした時期は、日本人感染者が出始めたばかりで、まだ日本人の死者も居なかった時分です。黒死病然り、天然痘然り、驚異的な感染症とは国・社会・経済・文化を終わらせる破壊力があることなど、散々に習ってきたというのに、わたくしの頭は悉く平和ボケしていたようです。
感染症の恐ろしさは黒死病・スペイン風邪の歴史を繙けばわかりやすいですが、〝感染による死者〟への打撃もそうですが、医療崩壊・経済崩壊という大厄災を伴うものです。
流石に今の時代、プロレタリア文学にあるような〝病気でも関係なく裁縫工房に詰め込まれ、女性の死者が工場の真ん中で、縫い物半分で横たわっていました〟なんてことはないでしょうが、これだけ【濃厚接触は危険】と言われているのに、出勤の朝乗る地下鉄や電車は満員で動く隙間もありませんし、仕事にしても政府が推奨するテレワークなど、ほとんどの方には夢のまた夢ではないでしょうか?
筆者は看護師ですが、自宅からでは湿布の一枚も患者に貼れません。
自粛・自粛と上は言います。最近では某格闘技団体が開催を決行して猛バッシングを受けていましたよね。筆者は無責任に叩く気にはなれませんでした。もちろん防疫面で見れば、開催などふざけた話ですし、止めろと言う識者の意見に異論はありません。
……あくまで防疫面で考えればです。何処も同じでしょうが、興行だって商売です。選手やスタッフにメシを食わせなければなりません。その保証を中止を要請した政府はしてくれるのでしょうか?
極論〝家から一歩も出るな、仕事も買い物もするな、飢えて死ね〟と言われているようなものです。病気の恐ろしさは痛いほど解りました。では、私たちは税金を納めている身として、【政府は何をしてくれるのか】に動向を払うべきでしょう。