1つ目の失敗
どうも皆さん。
僕はただの道化師であります。
今宵僕の魔法により
1人の幸福な少年と1人の不幸な少女を
救ってみせましょう…
たった一欠片ならと思えばバチが当たった。
私は今だだっ広い屋敷でよく言えばボランティア活動中である。美味しそうなパンに焼いたきれいなお姉さんが悪いといったらパンを焼いていたお姉さんは嬉しそうな顔をして掃除ぐらいで許してあげると言った。私が欲しいのは許しじゃなくて健康で過ごせる明日なんだけど。
馬鹿みたいに広いこの屋敷は1人のおぼっちゃまのために作られたとか。こんだけ広いなら私を住ませてくれと言いたいものさ。
「パン娘、次はこっちだよ。」
「え、まだ硝子につや出しさせてないんすけど。」
作庭していたおじさんはにっこり笑って
「そこまで磨いてくれたら硝子も喜ぶ。さあ、花をいじってご覧。」
私はまだ磨いてたかったんだけど。
「赤とピンクは残して、白はもう切っちゃって。」
「確かにしよってきてますね。」
白い花びらが水がついた紙のようになっているのだからもうアウトだ。
パキパキ切っていく。あ、これ楽しい。
「おじさん、切り終わりましたよ。」
「え、早いね…。」
楽しいとすぐに終わってしまうのが悲しい。
「パン娘、洗濯頼むよ。」
「あ、はい。」
あれ?そういえば掃除すれば終わるとか言ってなかったけ?まあ、いいや。
「うちのぼっちゃんってばすぐに草とか土とか持ってきて大変なのよ。」
「そうなんすか。あ、ほんとだ。」
坊ちゃんとか言われているけど服デカイな。大人サイズ。
「あ、お姉さん、それ擦るより叩いてやるといいよ。」
「あ、そうなの?ありがとう。」
洗濯は手にいい匂いが着くから好き。
あ、楽しいコレ。
「あの、終わっちゃった。」
「すっごく服が綺麗になってる。凄いねぇ、あんた。」
凄いとかじゃない。好きな仕事だから。
「おい、パン娘。命令だ、こっちに来い。」
「は?あんた誰?」
妙に上から目線な男現る。
あーこいつが噂の坊ちゃん。
「お前、名前は?」
「名乗る時は自分から、って学びません?」
この手のタイプ苦手なんだよ、どうにかしてくれ。
「あー、えー?めんどいな。」
は?名前言うのもめんどいの?
「あ、そうだ。お前、俺の嫁になれ」
「あら、面白い冗談ですね。」
冗談言うのかこいつ。
「え、じょ、冗談じゃ…ない…」
打たれ弱っ。
「すんません、私ここで働くつもりもないので…」
『働いてください!』
おじさんお姉さんの声。
『人手不足なんです。働いてください!』
「い、いや。仕事は楽しいけれどこいついるし。」
坊ちゃんが手を握った
「大丈夫、お前を惚れさせられればいいんだろ?」
「いや、私…」
お姉さんが肩を握った
「お給料高いよ…あのパンもつけるし特産のリンゴもつけるよ……。」
「え、リンゴ!?リンゴ食べられるなら働く!!」
リンゴ好物
リンゴのためなら。
「私、リンゴのために働きます。」