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昔の女  作者: ももここ
7/14

夫婦

# 青い封筒


ある日俺宛に一通の手紙が来た


差出人は


ギャラリー 青池康子


ご挨拶のような事と


電話番号が記してある


地方都市の消印が押されている


ギャラリーに心当たりはない


きちんと書かれた


手書きの宛名の俺の名前が


手紙に不可解な印象を


漂わせている


青池康子


女の名前が


今は独り身の俺にとって


妙に艶っぽく感じる


妻が亡くなってもう五年経つ


遠い記憶に一人の若い女の顔が


思い浮かんだ



# 夫婦


妻は五年前に亡くなった


今の時代なら若過ぎる


ほとんどの男は妻に看取られ


先に逝くんだろうなぁ


と漠然と思ってると思う


俺もそうだった


色々あっても


(最後の女)とか思って


多少の窮屈を感じても


妻の懐の中で


安らかに終わるんだろうなぁと


日頃苦労をかけている妻に対する


それが愛情だろうと


切っても切れない


愛着


俺が悪い夫だからそう思うんであって


ほんとに仲良く生涯を共に暮らす


男女もいるだろうけどね


やっぱり長年の情が夫婦の


築いた関係だろう


一般的に


男は介護にしろ看取られる事にしろ


自分がされる事を考えるだろうけど


いざ 妻を介護する、


看取る事に直面したら


まず 思わず 「うっ…」と


己の息を止めるだろう


俺がそうだ


妻は身体が弱い方でもなく


儚げでもない


人の寿命はわからないものだ


好きで好きで始まった結婚では


ないから…


けど 俺の思い上がりかもしれないが


不憫だな…と思う時がある


漱石の 可哀想たぁ……


惚れてるって……やつかなぁ


それは男女の始めの時か(笑)


だけど


俺の親の事も親戚の事も


よくやってくれた


俺の仕事も何も不平不満を


言わない


もちろん金には苦労させてないけどね


いい女だったかもなぁ


そして 先に逝った


俺は泣いた

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