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昔の女  作者: ももここ
13/14

変わらぬ二人

# ヤスコ


どうしてた?


今どうしてるの?


時の流れなんて感じない


昨日別れて今夜また会ったような


穏やかな感覚が俺にはあった


初めてあった時の


あのぴったりくる感じは


変わらない


多分ヤスコも…


相変わらず大きな瞳を


いかにも嬉しそうに


面白そうに


俺に向けて来る


ヤスコはしばらく俺を


目で楽しんでから


小さな口元に


微笑みを浮かべて


スッキリとした顔で言った


8年前に離婚したの


私は 今 一人です


俺の一番聞きたかった言葉を


最初に言った


そうか


俺は心から笑った



# 変わらぬ目


まるで違和感がない


親しみやすさや優しさは


昔と変わらない


忘れていた小さな癖も


そのままだ


昔の男


私が一番好きだった人


昔と同じように


穴が開くくらい


じっと見る


こちらが見ているうちは


見られている事を


感じないから


恥ずかしくない


じっと見る


可愛い人


こんなに年齢が高い人を


可愛いと思えるのだから


年を取るって不思議


私が一人というと


男の可愛い目が


いかにも楽しそうに


面白そうに笑った



#寂しい


別れてからは


男の人が嫌いになったし


生活の事で


それどころじゃなかった


この頃やっと少し落ち着いて


寂しくなったの


ヤスコは淡々と近況を言った


自然の感情だな


俺は素直にヤスコに言った


全く同感だ


ヤスコにも真っ直ぐ伝わったようだ


# 暖かい目


別れた事 その後の事 寂しい事を


言うと


昔と同じ優しい目で


当たり前のことだと


言ってくれた


久しぶりに見る


男の優しい目だった


本当に久しぶりだった


もう随分長い間


8年どころではない


もっともっと長い長い間


見たことのない優しい目


向けられたことのない目だった


# 多分本当のこと


テーブルの料理は冷えていた


食べる暇がない


口を開いていない時は


お互いを確かめ合うように


正面から


見つめ合っている


私…私…笑うかもしれないけど


今まで生きてきて


そして40年も前に別れたのに


多分 あなたが 一番好き


ヤスコは


俺の肩や首筋あたりを見ながら


こう言った


細い肩も 頬の丸みも


昔と変わらない


と俺には見える


テーブルを飛び越えて


この場で


ヤスコを抱きしめたかった



# 変わらぬ二人


うれしいなあ


あの頃と変わらない口調で


同じ言葉を言っている


あの頃


とても好きです


と言った時


運転をしながら


横顔で笑っていた


こちらを素早くちらっと見て


私の右手を取り


しっかりとつないだ


今日のあなたの手は


変わらず暖かいだろうか





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