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誘い出す
# 知らない土地
俺は恐る恐る飛行機に乗った
馴染みのない土地の空港に
降り立ったのは夕暮れ近くだった
空はいつもの空とは全く別物で
鼻をかすめる微風も
この土地特有のものに感じた
これからヤスコに会うと思うと
まるで時間もさかのぼって
ここに立っている気がする
昔 仕事中 今夜逢えるかとヤスコに
電話したら
用意が無い…と言う
何の用意だ⁈…と笑った記憶がある
今日もこれから電話する
ヤスコのいるこの地の空港から
今夜 逢えるだろうか…
# 電話
ヤスコの声は明るく
話し方も変わらず
面影が一気に迫ってきた
俺の声を懐かしく思ってくれた
半信半疑だったが
毎日 電話が来るのを
楽しみに明日を待っていたという
素直さも変わらない
あの頃のままだ
不安な気持ちにも増して
愛しさが募り
俺は約束の場所へと急いだ
見知らぬ頭上の空が茜に輝き出し
俺の胸を駆り立てた




