9 トイレと風呂
<魔法とは>
光、闇、火、水、風、土
そして、聖女のみが使えるという、"聖" の7種類の属性がある。
魔法が1つでも使えれば "魔法使い"
2、3属性使えれば "魔導士"
4、5属性なら "魔導師"
そして、6属性使えれば "賢者"
……と、呼ぶらしい。
……一応、私は "魔導師" となる。
うん。使った事ないし、使う事あるか知らんけど、あって良かった……。
ただの、デブじゃなくてよかった~。
魔法省長官=魔法省宮廷魔法師団師団長
タールさんは、厳密に云うとそういう役職名らしい。
言い辛いし長いので、略された総称で呼ばれているそうです。
……ですよね~。
だって、赤巻き紙青巻き紙黄巻き紙みたいなものでしょ? 言い難いよね……。
……うん、何言ってんだろ。
魔法の属性も、新しく使える様になる事もあれば、使えなくなる事もあるとか。
人それぞれの潜在能力にもよるので、一概に鑑定だけでは分からないらしい。
ちなみに、鑑定の技能を持ってる莉奈なら、手のひらを視れば、自分自身も鑑定出来ると教えてくれたので、たまには視てみようかな……と思う。
そういえば、何気なしに
「この国一の魔法使いは、タールさんですか?」
と、訊いたらシュゼル皇子をチラリと見て
「私など、この方の足下にも及びません」
と苦笑いされてしまった。
……と、云う事はシュゼル皇子がこの国一の魔法使い……もとい "賢者"。
"足下にも" って言ったけど、謙虚なのか本気なのか。よく分からないけど踏み込んで訊かない方がいい事もある。それ以上は訊かないでおこう。
そうそう、私を召喚したのはタールさんの部下でもあるらしく、改めて謝罪されました。
この国の高官が、傲慢な人達じゃなくて良かった。じゃなきゃ、今頃どうなってた事か……。
"聖女" じゃない、使えないと判断された時点で、王宮からほっぽり出されたに違いない。
昼食を一緒に摂りながら、魔法やこの国の事を説明してくれるタールさんには、感謝でした。
……で、思った通り。
どうやら食事に関しては、コレが主流らしい。
テレビで観た晩餐のイメージが自分の中で強く、勝手にフルコース的な物が出てくると思ってました。
まぁ、よくよく考えてみれば中世ヨーロッパ調であって、中世ヨーロッパではない。思い込みはやめておこう…と思ったのでした。
驚き!! といえば、トイレだ。
昔のヨーロッパは、窓から小便をするバカ者が普通にいて、それを避けるために傘をさしていたとか、いないとか。
そんな話を、聞いた事があった気がした莉奈は、トイレなんて期待していなかった。
だから、見た瞬間………感動した。
フタはないが、ちゃんと便座だったし、何より "浄化魔法" が付いてて、超清潔。
でも、これが付いてるのは、王宮とか貴族みたいな金持ちだけだそうだ。
んじゃ、一般市民はまさかのボットン?………ではなく、便器の下にスライムがいて消化してもらうらしい……。
……なにそれ……怖い。
スライムと言っても "核" いわゆる心臓はない。
それ専用に培養した物なので、扱いさえちゃんとしていれば問題ないそうだ。
……うん、でもなんかイヤだ。
だから、お金のある人は浄化魔法のトイレを設置するんだそうです。
だよね~。なんか見られてるみたいだし、落ちたらイヤだよね~。
お風呂については、広くてキレイでした。
そして、まさかの天然温泉!! 肌がツルツルですよ、ツルツル!!
だけど、浴槽はなく "ハマム" だった。いわゆる、あっちの世界でいうトコの"蒸し風呂"サウナみたいな感じ。
お湯に浸かるのではなく、台というか大理石のベッドに寝そべって温まる的な……。
せっかくの天然温泉なのに……。浸かりたい。
肉まんの気持ちがよくわかる……。
……浴槽、プリーズ!!