83 採りすぎでは?
「は~~~い!! 俺もオニオングラタンスープが食べたいで~~~す!!」
エギエディルス皇子達に渡した、豪華なスープを食べたいと思った誰かが手を上げた。
「俺も食べたいで~~~す!!」
「私も食べたいで~~~す!!」
一人が言えば、もれなくついでに言ってくる。これもなんだか恒例になりつつある。
君たち、遠慮はドコにいったのかね?
初めの謙虚さはどこへやらである。
「そういうことは、身分を上げてから言って下さい」
莉奈はスルーした。何故に皇子達と同じ物を食べれると思う。
「「「……ひでぇ」」」
撃沈した。
オニオングラタンスープはともかくとして、オニオンスープを含めた昼食を摂ることにした。
スープは、しっかり炒めたたまねぎのコクと旨味が出ていて、良い出来だ。贅沢云うなら胡椒が欲しい。ピリッとした締まりが欲しかった。
「うんま~!!」
「俺、断然こっち!!」
「私はクリームシチューの方が好きかも……」
やっぱり好みがあるらしい。アッチがいいコッチがいいと、意見を言っている。話を聞いているとクリームシチュー派が多いかな。
「後はポタージュだっけ? があるんだよね?」
リックがオニオンスープを飲みながら訊いた。
「そうだね」
さっき冷蔵庫を見たら、アサリとか貝があったから、簡単クラムチャウダーも出来るけど、皆の分まではないだろう。
「じゃがいもをどうするんだ?」
「ん。じゃがいもを……」
と説明しようとして固まった。
入り口にラナ女官長達が仁王立ちしていたからだ。リックも莉奈の表情に気付き、ラナに気付くと同じく固まった。
「なんで……先に食べているのかしら……?」
先に昼食を、食べていたのを見たラナ達は、ご立腹である。
自分達に、ククベリーの採取をさせておきながら、何故待っていてくれないのか……と。
「……忘れてた」
莉奈は、苦笑いだった。本気で忘れていたのだ。なんだったら旦那のリックも、忘れていたに違いない。
「ちょっと~~~!! ひどいわよリナ!!」
モニカが頬を膨らました。
「ごめん、ごめん。みんなの昼食もすぐに用意……」
と立ち上がりながら、莉奈は言いかけて、再び固まった。
ラナ達の手にある、パンパンの袋を見て固まったのだ。リュックサック位の大きさの麻の袋は、弾けんばかりにパンパンだ。それも1人が2袋ずつ持っている。
「それ……ククベリー……?」
分かってはいるけど、一応訊いてみる。
「そうよ? 赤いのと、黒いのと両方採って来たわよ?」
と近くのテーブルにドスンドスンと置いた。数にして24袋。
「…………」
えっ? 庭にあるククベリー……全部採って来たの?
「す、すごいね……ラナ」
リックがなんだか、ビクビクしながら言った。
見た感じだが、軽く見積もっても1袋3キロが24袋。
総重量は70キロはある……。
採って来てとは言ったけど、あまりの量に軽く引くんですけど。