82 玉ねぎたっぷり、琥珀のオニオンスープ
82話までお読み頂きありがとうございます!
途中で放り出さないで、ここまでお読み頂き感謝しかありません。
作者は活字を読むのが面倒くさい……。
(ノ≧∀≦)ノ~◇ぽいっ
「た……たまねぎ……茶色くなってきたけど……どう?」
1時間過ぎたくらいで、炒めていたチームがヘロヘロになりながら訊いてきた。1時間以上もずっと炒めていればそうなるだろう。
「ん、いい感じ。もう火を止めていいよ」
誰一人焦がさず、キレイな飴色たまねぎになった。
「「「……やった~~~!!」」」
達成感からか、解放感からか炒めていた人達は、両手をあげハイタッチしていた。
「ずいぶんと……かさが減ったね」
リック料理長が、炒め終えたたまねぎを見て、ほぅとため息をついた。半分以下になったのだ。ここまでくる工程を見ていただけに、その苦労が分かるのだろう。
「ねぇ~? ここまでやるのは大変だよね」
自分は電子レンジでチンしてからやるので、ここまでは時間をかけた事はないけど、大変な作業だ。
「その大変な作業をやらせて、これをどうするんだ?」
他人事の様に言ってくれた莉奈に、マテウスが苦笑しながら訊いてきた。
「半分は、鶏コンソメに入れてオニオンスープに。もう半分はポタージュにするから、マテウスさん達はじゃがいもの皮剥いて」
次の指示をした。とりあえず、この炒めたたまねぎを、鶏コンソメに入れて、味を整えればオニオンスープは完成だ。
「は~~い!! オニオンスープの味見がしたいで~~す」
誰とは言わず声が上がった。
「ハイハイ、んじゃ味見も兼ねて、先にお昼にしようか」
もういい時間である。
「「「やった~~~!!」」」
見習い達は特にうれしいのか、声を上げた。
ちょうどその時、氷の執事長ことイベールが来たので、フェリクス王の食事も用意する。
「リナ……何してるんだ?」
出来立てのオニオンスープを、イベールに渡すと思っていたリックは、莉奈がただよそうだけでなく、何かをやり始めたので声を掛けた。
「ん? エド達には、ただのオニオンスープじゃつまらないから、オニオングラタンスープにしてあげようかと……」
パン酵母は出来てはいるのだが、そんな暇はなくて作れていない。だから、パンはあいかわらず固いままだし、これなら柔らかくなり美味しく食べられる。
「オニオングラタンスープってなんだ?」
エギエディルス皇子が、興味深そうに訊いてきた。またなんか作ってくれるのかと、わくわくしている感じだ。
「見てればわかるよ」
その方が早いと、莉奈はサクサク作っていく。
まずは、例の固いパンを一口大に切って器に入れる。その上に、今出来たオニオンスープを注ぐ。パンの上にチーズをたっぷりと乗せオーブンへ。チーズが焼ければ完成だ。
「スープにパンを浸して焼くのか?」
「そう、パンにスープが染みて美味しいよ?」
「マジか!!」
エギエディルス皇子の口癖が出て、莉奈は思わず笑った。
「ものスゴく熱いから、ヤケドに気をつけて食べなよ?」
「……わかった!!」
エギエディルス皇子は、とても嬉しそうに笑った。
「イベールさんのも作ったので、後でどうぞ」
まさか、一緒には食べないだろうけど。賄賂として渡す。
「……ありがとうございます」
と礼を言ったイベール。氷の表情がわずかにだが揺らいだ。
よし!! 食いついた!!
莉奈は、イベールが時折見せる僅かな表情に、グッと拳を握る。
ここで、感情のままガッツポーズなんてしたら、2度と見せてくれない可能性がある。注意しないといけない。
「じゃあな。リナ」
昼食やシュゼル皇子のデザートをしまうと、エギエディルス皇子は、可愛らしく手を振って厨房を後にした。
可愛いな~~~。
莉奈達は、その笑顔に癒されるのであった。




