表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/653

81 リンゴのコンポート

 皆々様、お読み頂きありがとうございます。






 たまねぎを必死に炒めているその横で、莉奈はマテウス達のクレープを作っていた。たまねぎの匂いと、クレープの甘い匂いが混じって、なんともいえない匂いがする。

「クレープ……美味しそう」

 食べられない人達は、ぼそりと呟き生唾を飲み込んだ。お腹が減っているから余計なのだろう。皇子を囲っていた人達が、今度は莉奈を囲っていた。

「マテウスさん達が、いいって言ったらクレープだけ、何人かに食べさせてあげよっか?」

 あまりの皆の圧に莉奈は苦笑いし、ついつい言ってしまった。ジャムとバターだけの簡単な物ならいいだろう。

 だけど、アイスクリームはあげない。シュゼル皇子のだからだ。マテウス達にも、味見程度にスプーン1杯分くらいしか、のせていないしね。



 もちろん、エギエディルス皇子には、たっぷりとのせましたが……なにか?



「マジで!?」

「やった~!!」

 まだ、貰える事が確定した訳でもないのに、もう貰えるみたいに歓声が上がった。

「マテウスさ~~ん!! もちろんいいよね?」

 なにがもちろんなのか、勝手に決めつけている感じがプンプンする。マテウス達は、一瞬顔を見合わせ少しイヤな顔をしたものの、見習い達や負けた者達の迫力に負け、仕方なさげに頷いた。




 ◇◇◇




「アイスクリーム、うんま~~!!」

「クレープ? これもジャムと食べると美味し~~い!!」

「ククベリーって、こんなに旨かったっけ?」

「鳥がよく食べてる意味がやっとわかった」

「な~~!!」

 優勝者にクレープを出すと、マテウス達は、それぞれ楽しんでいた。アイスクリームのおかわりも欲しそうではあったが、シュゼル皇子のだとわかっているため、我慢している様である。

「エド。どうだった?」

 一人優雅に食べていたエギエディルス皇子に訊いてみる。好みはあるし、これは気に入ってくれたかな、と。

「うまかった!! クレープとコンポート? すげぇ合う」

 口に合ったのか、キレイに完食し満足気である。

 ちなみに私は、このリンゴのコンポートは好きではない。火を通したリンゴがどうも好きになれないのだ。だから、彼の口に合うかが心配だった。

「そう……よかった」

 エギエディルス皇子は、火を通したリンゴは大丈夫だった様だ。

「シュゼル殿下の分も作ったから持ってく?」

 弟だけ食べたなんて聞いたら、大変な事になりそうだ。

「もってく」

 莉奈から同じ様に盛ったクレープ皿を貰い、魔法鞄(マジックバック)にしまった。

「だけど、あの酸っぱいリンゴがこんなに旨いとはな……。俺、あのリンゴあんま好きじゃなかった」

「アハハ……あんま好きじゃなかったのか……」

 莉奈は苦笑いした。香りはいいのだけど、酸味が強いリンゴだった。日本の果物が、いかに品種改良されて甘いのかがわかる。

「コンポートは平気?」

「全然平気!!」

 可愛く頷いた。気に入った様だ。



 どうしよう……すごく、頭を撫でたい。



 莉奈は、パカパカと開き始めそうな、ソッチの道の心の扉をグッと閉めたのであった。








誤字、脱字報告、ありがとうございます。

ものすっっっごく、助かっております。

みなさまの暖かい力添え、感謝致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ