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聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました  作者: 神山 りお


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674 キラーアント殲滅に希望の光が……



「そんな事は分かっているわよ!! だけどーー」

 町の滅亡を、みすみす見逃す訳にはいかない。

 自分が動いて好転するなら何でもするが、アーシェスにはそこまでの力はなかった。他国の王に縋るのは間違っていると分かっていても、どうにか出来るフェリクス王達を前にして、縋らない訳にはいかなかったのである。



「蟻の巣コロ◯みたいなのが……あれば……イイのにね」

 莉奈のいた世界には、蟻を駆除出来る商品がある。

 蟻に直接掛ける殺虫剤、巣に毒餌を運ばせて、巣の中の蟻も駆除させる物。設置場所や置き方にもよるが、効き目は充分あったハズ。

 キラーアントにも効くモノが、この世界にも似た様な物があればイイのになと、莉奈は眠りに入りながら呟いていた。



「何だ、蟻の巣コロ◯って?」

 フェリクス王達の話す内容が内容だけに、中々眠りにつけなかったエギエディルス皇子が、莉奈の呟きにパッと顔を上げた。

 初めて聞く言葉だが、莉奈の世界には、何か解決方法があるのかもと、察したらしい。

「蟻……死ぬ」

 近くに他の食べ物があると、蟻をさらに呼ぶだけで何の意味がないが、しっかり考えて設置すれば駆除出来る物。それが蟻の巣コロ◯だ。



「あ゛? それがあれば蟻が死ぬのか?」

 そんな物があるのかと、莉奈の呟きを聞いたエギエディルス皇子が目を見張った。

 キラーアントは蟻とは違うが、生態は似ている。

 魔物を倒すのに必要なのは、武器や魔法だが、莉奈が口にしているのは、どうやらそれらではなさそうだ。気になったエギエディルス皇子が追及すれば、莉奈はむにゃむにゃと口を動かす。

「ミツツボアリは……私の……」

「は? お前、イイ加減ミツツボアリは忘れろよ」

 ミツツボアリなんてどうだってイイ。大事な事はそこではないのだ。

 寝ているのにも関わらず、食べ物に執着する莉奈に、エギエディルス皇子は呆れていた。



「ちょ! リナ、今、蟻が死ぬとか何とかってーー」

「リナさん!?」

 寝言の様な莉奈の呟きに反応したのは、エギエディルス皇子だけではない。

 むしろ、町の存続が掛かっているアーシェス兄妹の方が、反応は早かった。今の話を詳しくと、飛び付く様に莉奈の元へ走り寄って来る。

「リナ!」

「リナさん!」

「ミツは……甘い」

「「お願い、蜜の事は忘れて〜っ!!」」

 スヤスヤと眠る莉奈に、アーシェス兄妹は嘆きの声を上げた。

 絶望的な未来から、希望の光が見えたのだ。それがたとえ僅かだとしても、兄妹は縋りたかったのである。




 ーーカン!




「「痛っ!」」

「寝かせてやれ」

 寝息を立て始めた莉奈に迫るアーシェス兄妹の頭に、小石ほどの氷が高速で飛んで来た。

 いくらあの変な魔物の蜜で疲労回復したとしても、精神的な疲れはある。

 強靭な精神メンタルを持つ莉奈が、精神的に疲れているかどうかと言われたら……とにかくせっかく休んでいるのに、わざわざ起こすヤツがいるかと、フェリクス王が飛ばしたらしい。



「だって、国の未来が掛かっているのーーひっ!」

「勝手にそんなモノ、背負わせてんじゃねぇよ」

 今度は鋭い氷の粒がアーシェス目掛けて飛んで来た。

 間一髪で避けた様だが、紙一重の差だったのか、髪が数本スパンと切れているのだから、先程とは違いフェリクス王の本気度が窺えた。

 額に当たったりしたら、無事では済まなかったに違いない。



 危ないじゃないと、アーシェスが怒鳴らなかったのは、アーシェスも内心では莉奈に頼るのは間違いだと分かっていたからだろう。



「え〜と、蟻の巣コロ◯とはザックリ説明すると、蟻に害のある成分をエサに混ぜて、それを持ち帰った蟻を巣ごと駆除するモノですよ」

 町が危機的状況なのだから、藁にも縋りたい気持ちは分かる。

 嘆きの二重奏に目が覚めた莉奈は、ボンヤリと聞こえた事に対し説明した。

 使った事はないし、買った事もない。何なら、成分を調べた事もない。だが、この説明で大体あっているハズ。

 もし、この世界にも似た様な成分があれば、ワンチャンどうにかなるかもしれない。町が危機的状況なのだから、藁にも縋りたい気持ちは分かる。

「「蟻に害のある成分」」

 莉奈の説明を聞いたアーリャとアーシェスは唸っていた。

 蟻に害のある成分と言われたものの、見当すらつかないのだろう。蟻にエサを与える機会など、なかったのかもしれない。



「あ」

 段々目が覚めてきた莉奈は、小さな頃に近所のお婆さんが、蟻の巣を駆除するのに使っていた物を思い出した。

 その"あ"で隣にいたエギエディルス皇子が、怪訝そうな表情をしていた。普段から莉奈の言動が、国を変える事態になる事もあるからだろう。

 好転するか否かは、その時の運次第な気がしたのだ。





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