表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました  作者: 神山 りお


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

611/665

611 ウルッシュバードVS……?

予約投稿するのを忘れていました。( ・∇・)テヘヘ



「エド、帰ったらからあげまつりだよ!」

 莉奈がそう嬉々として言うまつりは、当然何かをまつる"祀り"じゃなくて、おまつり騒ぎの"祭り"なのだろうなと、エギエディルス皇子は半目になっていた。

 こうなると、もはや祭られるウルッシュバードにすら、同情心が湧いてくる。



「来るぞ!」

 すぐそこまで、距離を詰めて来たウルッシュバードに、より一層の警戒をするランデル達。

 その声に、莉奈のせいで一瞬、戦う気力が削げそうだったエギエディルス皇子も、すぐに頭を切り替え剣を構えた。

 そろそろ襲い掛かって来る。

 そう思い、フェリクス王以外の者達は、各々武器を手に集中した。

 ……が、真っ直ぐ突進して来るハズのウルッシュバードが、いつまで経っても襲ってこない。それどころか、何故か50メートル先で急に左右二手に分かれているではないか。



 おそらく、莉奈達という獲物を取り囲み、混乱させたり一斉に襲い掛かるつもりに違いない。そうランデル達は判断し、再び警戒した。

 たとえ囲まれたとしても、ウルッシュバードなどランデル達の敵ではないが、油断は大敵だ。



 そう思いつつ構えていたのだが……ウルッシュバードは莉奈達を囲もうとする気配すら、まったくなかった。

 二手に分かれた群れは、そのまま囲む事なくYの字を描く様に進み、莉奈達を完全にスルーである。それはまるで、莉奈達を障害物だとばかりに避けている様に見えた。



「「「……え、どういう事??」」」

 こんな事は初めてで理解が出来ず、ランデル達は互いに顔を見合わせていた。

 かなりの数に気構えていたランデル達は、自分達を避けて走り去って行くウルッシュバードの姿に、ハテナマークしか浮かばない。

 体力を消耗させず、どう戦うかとか考えていただけに、完璧に拍子抜けである。

 一応、土煙りに紛れて襲って来るかもと、しばらく気を張ってはいたが……ウルッシュバードの姿はドンドン遠くへと、小さくなっているではないか。



 ……一体、何が起きているのだ?



 ランデル達や、アーシェス、ローレン補佐官の頭の中にはずっとハテナマークが浮かんでいた。

 そんな中、ただ1人、その様子を見て理解を示す。

「鳥ってやっぱ、臆病なのな」

 エギエディルス皇子だけが、小さくなるウルッシュバードの群れを見ながら、何か納得し剣をしまっていたのだ。

 その言葉に、ランデル達は顔を見合わせていた。

 ウルッシュバードを臆病者だと感じた事はない。ましてや、1羽や10羽ならともかく、あの数だ。たとえ臆病だったとしても、あそこまで来たら襲って来るだろう。



 だが、何故かエギエディルス皇子は、鳥系は臆病者が多いと思っている口調だ。

 どうしてそう思うのだろうか?

 ーーとランデル達が、今度は違う意味でハテナマークが浮かぶ中、莉奈は1人……皆とは違う所に視線を向けていた。




 ウルッシュバードが臆病かだなんて、莉奈は知らない。

 知らないが……決して、臆病という理由だけではない気がする。ウルッシュバードは、危険察知能力が高いだけ。

 だからこそ、こちらに向かっている途中で"魔王様"の存在に気付き、緊急回避したのではないかと推測する。

 だって、エギエディルス皇子は以前、ロックバードに対しこう言っていたではないか。



 『フェル兄を見て逃げるんだぜ?』と。



 それが、鳥系の魔物……いや、魔物全般に通用する言葉だとしたら?

 ロックバードが逃げ出すのだから、同じ様なウルッシュバードも逃げるのは、至極当たり前ではなかろうか?

 強いて違うといえば、地を爆走して逃げるか、飛んで逃げるかの違いぐらいだ。




 "コレガ魔王ノ力"




 莉奈は、フェリクス王の真の力を目の当たりにした事よりも、ウルッシュバードが逃げた事にガッカリした。

「あ〜ぁ、魔王のせいでからあげが〜」




 ーーバシン。



 

 心の声が完全に漏れた莉奈の頭に、フェリクス王の鋭い平手が落ちてきた。

 莉奈の言う"魔王"が誰かなんて、今さら説明しなくても、本人ですら分かるらしい。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ