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聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました  作者: 神山 りお


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469 カラフル過ぎるのも



「「「美味しい!!」」」

「ジャガイモで作っただけなのに、モチモチ〜!!」

「食感が面白くて、堪らないわね!」

「バター醤油旨っ!!」

 初めての食感に、皆は楽しそうに食べていた。

 お餅みたいにとは言わないが、片栗粉とジャガイモを捏ねると似たような食感になるのだ。そこに少し焦げたバター醤油、これが絡むと堪らなく美味しい。

「俺、ジャガイモってあんまり好きじゃなかったけど、リナの作るジャガイモ料理はスゴい好きだな」

「分かる!! スープのジャガイモと違ってパリッとしたり、モチモチしたり楽しいよね?」

 楽しんで貰えて何よりである。

 莉奈はエギエディルス皇子用に、残っていたいももち生地にピザ用に配合してあった、モッツァレラとチェダーチーズなどを入れて丸め始めた。

 エギエディルス皇子はチーズが好きだったから、チーズを入れた方が楽しんで貰えそうだ。




「「チーズ!!」」

「そうか、チーズか!!」

「確かにジャガイモとチーズは合うよな」

「チーズ入りも作って、腹を空かせた警備兵用に用意しておこう」

「あんなにあったジャガイモが、コレで一気に減るな」

 料理人達は莉奈がチーズを入れていると、さらに活気づいていももちを大量に作り始めていた。

 勿論、自分達の味見用も作っているのだろう。

 だが、コレでジャガイモの在庫はかなり減ると想像する。



「いももちはサツマイモがあれば、サツマイモ。後はカボチャで作っても美味しいよ?」

 そういえば、この世界にサツマイモは見た事がないなと、莉奈は思った。

 同じ名前の芋はさすがにないと思うけど、似たような芋ならありそうだ。

「リナの言うサツマイモはないけど、"紅イモ"なら仕入れてあったな」

「紅イモ?」

「皮が赤紫色で、中がオレンジとか紫色の芋」

 コレだよと、リック料理長が食料庫から少し持って来てくれた。

 リック料理長の持って来てくれた"紅イモ"は、莉奈の知るサツマイモにそっくりだった。

 ジャガイモみたいに丸くない、細長い形状の芋。



「……カラフルだね?」

 試しに割って見たら全然ポピュラーではなかった。中身がオレンジはともかく赤、青や紫色と多種多様であった。

 莉奈の知っている色ではない。皮も赤紫だけでなく青紫もあり、なんだか目に痛い。というか、青系は見慣れないせいか、少しキモイかもしれない。

「火を通すとより鮮やかな色になるぞ?」

「そうだろうね」

 茹でようか? と言ってくれたリック料理長に、莉奈は丁重にお断りした。

 なんかもう、作る気力がなくなったし。

 生の状態で充分カラフルなのに、火を通すとさらに鮮やかになるとか、きっとカラフルないももちが出来る事だろう。

 そんな会話で莉奈はフと、思い出した。

 紫色のサツマイモで作った大学芋は、味はともかく「なんか気持ち悪い」って、弟には不評だったなと。




「でもスイートポテトにすれば、オレンジとか紫色とか、華やかで可愛ーー」

 可愛くて美味しいと、弟にはそっちは好評だった。

 同じ芋で作ったのに、大学芋と何が違ったんだろうか?

 莉奈はそれを思い出し呟いていたのだが……呟きは拾われるのが、この国のセオリーであった。

「「「"スイートポテト"って?」」」

 キラキラした瞳をした皆が、莉奈を一斉に見ていた。

 この貪欲さが食の幅を広げていくんだろうけど、教える方は面倒……じゃない、大変なんだよね。

 もう作る気力を失った莉奈に、何かを教える気力も沸かなかった。




「ポム・スフレが作れるようになったら、教えてあげるよ」

「「「えぇーーーーっ!?」」」

 料理人達は驚愕し、すぐに絶望感が漂っていた。

 現時点で成功率の低いポム・スフレを作れる気がしないからである。

「アレもコレもより、まずは今教えた事を完璧にしたまえ」

 莉奈はわざとらしく、偉そうに言ってみれば「頑張ります」と皆の口から小さな声が漏れるのであった。




「ちなみにリックさん。なんでこの芋を仕入れたの?」

 何か作るつもりだったのかなと、莉奈は紅イモを手にリック料理長に訊いた。

「ポタージュスープでも作ろうかなと」

 人参、パプリカ、ほうれん草など、色々と試しているリック料理長。

 意外と他の野菜でも美味しく出来るから、各地で採れた野菜を色々仕入れて試作している様だった。

「紫色とか青色のポタージュスープは、エド飲まないんじゃないかな?」

 アクセントで入れるくらいならまだしも、全体的に青系はちょっと。

 だって、エギエディルス皇子はカラフルな人参にも渋い顔をするんだから、紫色のポタージュスープもダメなのでは。

「そこはさすがに、無難な黄色かオレンジ色にするつもりだったよ」

 青や紫色系は自分で試すだけで、王族には出す予定はないと、リック料理長がそう笑っていた。




「エド。紫色がダメなら、黒ゴマ団子もダメなのかな?」

 アレも、見慣れない人から見たら、黒くて気持ち悪いと抵抗があるかもしれない。

「「「黒ゴマ団子?」」」

「……」

 ダメだ。今日は特に口から余計な事が漏れまくる。

 これ以上ここにいたら、無意識にポロポロと食べ物の話が漏れてしまう。

 莉奈はそう悟り、皆から不気味だと引かれても、無言無表情でチーズ入りのいももちを作るのであった。
















本書、7巻をおうちに迎えて下さった皆様、ありがとうございます。

 ╰(*´︶`*)╯♡


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