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聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました  作者: 神山 りお


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440 ポンポコって……。



 ーーその後。




 期限の夕刻まで、竜達は休む事なく稀少価値のある魔物や素材探しに明け暮れていた。


 竜達はいつの間にか、シュゼル皇子や莉奈がいた事に驚く姿はあったけど、まぁいいかとすぐに素材探しに向かって行った。



 莉奈は鑑定するモノが多くなるから、"頼むから探しに行くな"と言いたいところだが、自業自得だなと途中から諦めたのである。

 エギエディルス皇子は竜が何かを持って来るたび、今度は何だ? と嬉々としていたが、それを処理するイベールや近衛師団兵の皆には疲労が見えていた。

 皆も、初めはエギエディルス皇子の様なワクワク感があった。

 しかし、それも初めだけ。次々と持って来る魔物と素材に、次第にゲンナリしていた。

 ひっきりなしに竜が持って来るので、鑑定作業も解体作業も一向に終わりが見えないからだ。



 期限の夕刻になればなったで、竜達は今度は誰が1番なのだと、莉奈にしきりに聞きたがる。

 内心、もうどうでもイイと思うけれど、さすがにそうは言えず何が1番稀少かシュゼル皇子に教えを乞うた。

 だが、竜達が持って来た魔物や植物、鉱物はどれもこれも稀少なモノらしく、簡単に順位など付けられなかった。




 ーー結果。




 無理に順位を付ける事は出来ず、今回に限り素材等を採取、討伐して来た竜達に美容液を塗る事になったのである。

 美容液の材料については、軍部の人達が工面してくれるとの事で落ち着いたのであった。




 ーーそれから、丸3日。




 鑑定作業は続いた。

 いや、解体はまだ続いているのだから、3日で済んで良かったと言えるだろう。




 莉奈やシュゼル皇子が鑑定や検索をした魔物や素材を、解体場に運び部位ごとに切り分け、武具になる素材は白竜宮。

 薬などになる素材は黒狼宮へと、随時運ばれている。

 【鑑定】で食用可と出た肉や身などは、ほとんどが莉奈の魔法鞄マジックバッグへと詰め込められた。

 厨房に置いてある莉奈の食肉専用の魔法鞄マジックバッグは、もはや色々な魔物の肉や魚等でパンパンだ。



 だが、鑑定と筆記作業が終わると次は美容液だ。

 莉奈は、休む間もなく竜達に催促され美容液を製造し、竜達に塗りまくったのである。

 そのすべてが終わった時には、さすがの莉奈もフラフラだった。

 部屋に戻って来ると、そのままベッドへダイブし、泥の様に寝たのであった。



 




 ◇◇◇





 疲労から回復した莉奈が部屋から出た時には、すでに聖木は銀海宮の中庭に移植されていた。

 無理矢理引っこ抜かれたため、傷もさることながら萎れていて、いつ枯れてもおかしくない状態らしい。

 そして……あの聖木はどの竜が引っこ抜いて持って来たのか判明した。

 部屋を欲しがり片翼を挙げた、あの竜である。



「私のポンポコちゃんがぁ〜」

 宿舎の一角でそう嘆くのは、近衛師団兵であり莉奈の碧月宮へきげつきゅうを警護してくれているアンナだった。

 どうやら、最近 つがいになったアンナの竜が、あの能天気そうな竜だった。聖木を見つけたその竜は、何も考えずにぶっこ抜いて来たらしい。

 フェリクス王が、どこから抜いたと訊いても分からず、アンナ同様ヘラッとしていたそうな。

 そしてアンナの竜のポンポコちゃんは、半ギレしたフェリクス王により、1週間の謹慎処分となったそうな。

 おそらく、真珠姫がいつぞやかに消えた暗闇に、有無を言わせず引き摺り込まれたのだろう。

 しかし、竜に"ポンポコ"って。アンナの名称ネーミングセンスを疑う。

 そんなアンナを横目に、碧空の君の部屋の掃除に向かった莉奈の目の前に、ふらりと竜が現れた。



「お主のせいで、我もとんだとばっちりを受けたぞ?」

 そう言って、笑っていたのは王竜だった。

 ポンポコが聖木を引っこ抜いてしまったのは、王竜の監督不行届だとフェリクス王に叱責を受けたとか。

 「我は関係ないのに理不尽過ぎだ」と、王竜は抗議したらしい。

「あ〜すみません?」

「お主、反省の色がなさ過ぎるとは思わんか?」

 莉奈の適当な謝罪に、王竜は目を丸くさせていた。

 元凶とも言えるおおもとの莉奈から、そんな返答が返ってくるとは想定外である。

「え? だって、そこまでは知りませんよ」

「……」

 竜や王族を巻き込み、あそこまで大事になったのに、当の本人はあっけらかんとしていた。

 普通なら、猛省したり落ち込んだりしてもよさそうだ。

 なのに、ケロッとしている。こいつの精神メンタルが強靭過ぎて、王竜は空いた口が塞がらなかった。

「大体、王も参加したんでしょう?」

 王竜も、シレッと交じっていたらしい……との噂を耳にした。

 静観するつもりでいた王竜は、皆が楽しそうに集めるモノを見てウズッとしたらしく、我が1番に決まっていると誇示したくて最終的に参加したのではないかと、莉奈は推測する。

 参加までして何か狩り獲ってきた王竜に、とやかく言われる筋合いはないと莉奈は思う。

「"リヴァイアサン"を獲って来たの、王ですよね?」

「……むっ」

 しかも、神龍とか海の神とか呼ばれている魔物である。

 あれだけバカらしいと見ていた王竜が、1番とんでもないモノを獲って来たではないか。それで、全部莉奈のせいだとどの口が言うのか。

 莉奈が呆れた様に言えば、なんだバレていたのかと悪戯っ子の様に王竜は笑っていた。



 さすが王竜と言いたいところだが、結局参加していたのかよと、莉奈は呆れ笑いしか出ない。

 変なところで負けず嫌いな竜である。

「目障りだったからな」

「……」

 普段海中にいる魔物の何が目障りなモノか。

 竜は地空、リヴァイアサンは海。縄張りも違えば、接点なんて何もないでしょうよ。

 どうせ面白くなって、交ざってみたに違いない。







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