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聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました  作者: 神山 りお


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435 砂糖は高いが気にしない。ヨシ、菓子パンを作ろう



 莉奈はお茶漬けを作り出した皆を見ながら、冷やしたカスタードクリームを持つと、新しく出来たパン工房に向かった。

 とはいえ、隣りである。この厨房からも、数mの通路を通れば直接行けるのだ。

 パン工房にした隣りの部屋との間には、食料庫や酒倉があったため、壁を打ち抜いて一つの部屋には出来なかった。

 だが、その2つが当たらない窓側と通路側の両サイドに、厨房と繋がる通路を作ってくれたので行き来出来る様になっていた。

 もちろん、1回廊下に出てからも隣りには行ける。

 パンのオーブンだけじゃなくて、ピザ窯も作ってくれたからピザはもちろん、窯焼きのパンも出来るから充実している。



「あ、騒がしいと思ったら、やっぱりリナだ。何を作ったの?」

 隣りの騒がしさが、こちらにも伝わっていたみたいだ。

 新しく作られたこの調理場は、パン工房として一日中誰かしらがパンを捏ねている。

 パンは主食だから、いくらあっても困らないからね。

 それに余ったら魔法鞄マジックバッグに入れて保存出来るから、作り過ぎても無駄にはならない。実に便利な鞄である。

「お茶漬け」

「「「お茶漬け!?」」」

「後で、皆も食べられるよ」

 糠漬けモドキはもうないけど、その代用にするピクルスの方が酸味が強いから、案外古漬けみたいでお茶漬けには合うと思う。

 莉奈も説明しながら、後で少し貰おうかなと思ったのだった。



「後は、パンに入れる甘いクリームを作ってきた」

「パンに入れるクリーム?」

「うん。それで、柔らかめのバゲットの生地が欲しい」

「柔らかめのパン生地」

「甘いクリームで何を作るの?」

 莉奈がパン生地を欲しがったら、何に使うのか興味深々に訊いてきた。

 最近、莉奈がパンを作る事が少ないから、余計に気になるみたいだった。

「ほほほっ」

 莉奈は意味深な笑みを浮かべながら、パン生地を貰った。

 初めから答えを教えたらつまらないから、考える余地を与えてみる。

「え〜っ!? 気になるし〜」

 莉奈の思わせ振りな態度に、皆はもう釘付けである。



「ところで、まだ砂糖は安くならないのかな?」

「ならないよ。需要が増えた所で生産量が急に増える訳じゃないからな。オマケにカクテルまで流行り始めたから、むしろ高騰しっぱなしだよ」

 付いて来たリック料理長が苦笑いしながら、説明してくれた。

 原料のサトウキビが急に成長する訳ではないし、そもそも畑を増やせるモノじゃないし、人手も必要だ。なので、相変わらず高嶺の花"砂糖サマ"の様だ。

「砂糖っていえば"ラム酒"って、砂糖を作る時に出るサトウキビの廃糖蜜からも造れるんだってね。全然知らなかった」

「あぁ、モラセスな。砂糖代わりに使う事もあるよ。だけど酒造りには絞り汁も使う別の酒もあるし、砂糖はますます高くなるばかりだよ」

 甘いお菓子は王族や貴族など一部の金持ちしか口に出来ないと、ため息を吐いていたリック料理長だった。

 以前の莉奈は、ラム酒の詳しい造り方を知らなかったから、安直に原料を砂糖に回せばイイと思っていたけど、残りカスからなら逆に無駄がない。

 なんなら、それ自体も砂糖代わりに使っているとか。

 それを聞いた時に莉奈は、上手く利用されているんだなと感心したものだった。

 まぁ、リック料理長が言う通り、絞り汁をまるっと使ったお酒も中にはある訳で……それを砂糖には回さないだろう。

 シュゼル皇子が特別支給品として各宮に配らなくなったら、砂糖を使う事は出来なくなると皆は苦笑いを漏らしていた。




 甘味のシュゼル様々である。




「で、そのカスタードクリームをどうするんだ?」

「パン生地で包んで焼く」

「カスタードクリームを中に入れるのか!!」

 リック料理長は莉奈がパン生地をなんて言うから、薄々そうかなと思っていた。だが、実際言われるとやはり驚いてしまったのである。

「菓子パン。カスタードクリームを入れた"クリームパン"とジャムを入れた"ジャムパン"を作ろうと思う」

「「「"クリームパン"!!」」」

「「「"ジャムパン"!!」」」

 パン工房がにわかに騒めいた。

 菓子パンといえば、フレンチトーストくらいしかなかったので、中に甘いクリームやジャムを入れた菓子パンは初めてだった。

 試すにしても砂糖が高いので、失敗した時の代償が高く勇気がいる。なので中々、簡単には手が出せないでいたのだ。



「柔らかめのパンになるパン生地に、好みのジャムやカスタードクリームを包んで焼けば出来上がる」

 莉奈は、リック料理長達に手伝ってもらいながら、ジャムとカスタードクリームをパン生地で包む。

 カスタードクリームはそんなにないけど、ジャムと分ければ試食くらいの数にはなるだろう。

「アイスクリームは入れないの?」

 ヒョッコリ現れたリリアンが、莉奈の背中を高速連打していた。

「お前……」

「パンはオーブンで焼くだろうが!!」

「「「溶けるだろう!!」」」

 莉奈が何かを言う前に、皆が反応していた。

 美味しいか美味しくない以前に、長時間焼くパン生地にアイスクリームはダメだよね。高温でサッと揚げる天ぷらはアリだけど。

 話をしながら、シュゼル皇子がチラッと頭を過った莉奈だった。








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