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聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました  作者: 神山 りお


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419 刺激的な香り



「じゃあ、包み終わった餃子を焼いていきますか」

 莉奈はとりあえず、フライパンに油を引いて作った餃子を並べ始めた。

 店では熱したフライパンにのせるみたいだけど、並べてから火を付けても構わない。

 餃子の焼き方も並べ方もそれぞれだと思う。なので、莉奈は家で良くやっていた方法にする事にした。

 大勢で食べるなら、フライパンに円を描く様に並べる。コレが1番だよね。

「並べる時はフライパンの油に餃子の底を滑らせる様に並べると、キレイな焼き目が付いていいと思う」

「なるほど。で、丸く並べるんだ」

「皆で食べる時はね」

 家族や気の合う仲間達と、鍋みたいに同じお皿をつっついて食べるのは楽しい。

 ただ、空気の読めない人や身勝手な人がいると、大皿は絶対に奪い合いになる。

 数に限りがあるのに、人の事などお構いなしに食べるからだ。こういう時にこそ、性格が出ると思う。



「焼き方は……羽根つきにしよう」

 羽根つきだと食感も堪らないし、周りがパリパリして美味しい。

 莉奈は小さなボウルに、小麦粉をぬるま湯で溶いて準備していた。

「「「羽根つき?」」」

「ロックバードの羽根?」

「怪鳥の羽根?」

「ヒヨヒヨ鳥の羽根?」

 食べ物に"羽根つき"なんてないものだから、皆は大きく首を傾げていた。

 莉奈はヒヨヒヨ鳥ってなんだろうと、小さく笑いながら作業の手を進めた。




「フライパンに火をつけて、餃子に少し焼き目が付いた頃に、小麦粉を溶いたぬるま湯を餃子が浸る程度に入れる。それから、蓋をして中火か強火で蒸し焼きにする」

 家でやる時は面倒くさいからぬるま湯でやらないし、なんなら火をかける前に全部入れてしまうけど。

 それでも放っておけば、適当に美味しく出来るからだ。

「小麦粉を溶いたぬるま湯?」

「うん。本来ならここで熱湯を注ぐんだけど、焼き上がりにパリッとした羽根みたいな膜を作りたいから、小麦粉を溶いたぬるま湯を入れたの。熱湯で小麦粉を溶かすと小麦粉に火が通って、入れる前にトロッとしちゃうから」

「あぁ、なるほどな。アレ? でも水じゃダメなのかい?」

 リック料理長が熱心に訊いてきた。

 疑問を疑問のままにしないのが、リック料理長とマテウス副料理長である。


「面倒くさいなら水でもイイけど、水だと餃子の皮が皺々になって、食感が悪くなる気がする。そっちで試せば?」

「「「試さないよ」」」

 食感に違いこそあるが、味に支障はないと言ったけど、笑って却下されてしまった。

 大変な思いをして作った物を、食感が悪いと聞いた後に調理したくない様だ。まぁ、ここは家庭ではないから、最高な方法を選ぶ必要はあるよね。



「んじゃ、餃子を焼いている間に、つけダレを用意しよう」

 味付けはしてあるからそのままでも美味しいけど、せっかく醤油がある事だし、つけて食べたい。

「つけダレ?」

「この餃子とか言う物に、何かつけるって事?」

「だね。そのままでも充分美味しいけど」

 餃子につけるタレは好みだけど、とりあえずはポピュラーなつけダレを小皿に用意する事にする。

「まずは、鍋に油を適当に注いで熱しとく」

「え? 油?」

「うん、油」

「温かいドレッシングみたいなモノかい?」

「違うよ。どちらかというと、マー油みたいなモノ」

「なるほど」

 温かいドレッシングだなんて、発想が面白いよね。

 莉奈はリック料理長の言葉に、思わず感心してしまった。



「油が温まるまでの間に、ハバチョロやニンニクを微塵切りにしてボウルに入れておく」

 こちらの唐辛子ハバチョロとニンニクを微塵切りにする。

 山椒を入れたら唐辛子とは違った刺激が堪らないし、ゴマ油でやったりゴマを入れたら風味豊かになる。

 ……が、ないので簡単な作り方にしてみた。

 皆は餃子を焼いているフライパンや、莉奈の作業をチラチラと見ていた。

 時間が経つにつれ、蓋をしているフライパンの隙間から蒸気に紛れイイ匂いがしてくるので、気になって仕方がない様である。



「あ、チリチリしてきたね」

 餃子を焼いているフライパンから、水分が少なくなってチリチリと音がしてきた。

「チリチリしてきたら、蓋を取って油を回しかける」

 莉奈は羽根になる部分の外側から、油を少量回しかけた。

 油を入れると音が変わり、パチパチとしてくる。本当は、ここでゴマ油がベストなんだけど、ないのが残念である。

「リナー。鍋の油が熱くなってきたけど?」

 料理人が手を翳し、鍋で温めていた油の温度を確かめてくれた様だ。

「ん〜、じゃあ、それをそのボウルに注いでくれる?」

 莉奈は餃子で手が空いていないので、教えてくれた料理人に頼んだ。

 ただ、油をボウルに注ぐだけの簡単な作業だ。ふざけなければ、危険もないし大丈夫だろう。

「一気?」

「一気でもいいけど、油がーー」

 跳ねるから気をつけて、と言おうとしたら叫び声が聞こえた。



「んぎゃーーっ!! 目が、目がぁぁぁ〜っ」

「ゴホッゴホッ!!」

「鼻が痛いっ!!」

 何も考えずに一気に入れたみたいだった。

「あ、それ、油を入れると粘膜を刺激するから、気をつけて?」

「「「そういう事は早く言ってくれる!?」」」

 入れる前に言って欲しいと、皆が泣いていた。

 微塵切りにしたニンニクや唐辛子がたくさん入っているから、油が入ると一気に目や鼻が刺激され痛くなるんだった。

 どうなるんだろうと、皆がボウルを中心に輪になって見ていたから、全員が唐辛子の刺激でやられた様だ。





 ーーあはは。面白いよね。





 莉奈は餃子を大皿に移しながら、大笑いするのであった。










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