417 白いモノ??
本日、小説6巻の発売日です。(*´∀`*)ふへぇ
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╰(*´︶`*)╯♡
「んじゃ、とりあえず……ボア・ランナーの肉は挽肉に。キャベツはみじん切りにしてくれるかな?」
「どのくらい切る?」
「味見分」
「「「じゃあ、いっぱいだ」」」
と皆が楽しそうに言うものだから、相変わらずだなと莉奈は呆れ笑いしていた。
ガッツリ食べたら、それは食事だからね?
「なら、私とリックさんは生地を作ろう」
"タネ"の材料は皆が準備してくれている。
ならば、莉奈はそれを包む生地を作ろうと作業に取り掛かった。
「ん? これ強力粉?」
「うん。強力粉」
莉奈がリック料理長のボウルにも、強力粉を入れれば、何の粉か早速訊いてきたのだ。
「大きめのボウルに強力粉を入れて、そこに熱湯を回しかけスプーンなどでざっくりと混ぜる」
「水でもぬるま湯でもなくて、熱湯?」
「熱湯」
「なんで?」
「……えっと、熱湯だと小麦粉に入ってるグルテン? が『テメェ、俺様に熱湯をかけるとはイイ度胸だコンニャロ』って怒って、生地をモチモチにする?」
「グルテンって、ジジイなの??」
「え、小麦粉が騒ぐの??」
「グルテンを怒らせていいの??」
分かる様な分からない様な莉奈の説明に、皆が苦笑いしていた。
だが、真面目なリック料理長だけは、それをヒントに何か思い付いた様子だった。
「あれ? じゃあ、毎日作っているパンも熱湯で作ると、モチモチするのか?」
「するよ?」
しかも、しっとりするのが熱湯で捏ねる湯種パンである。
いい機会かなと、莉奈は記憶を頼りに他のパン種の説明する事にした。
「その方法は"湯種"って言って、パン生地をしっとりモチモチにする」
「湯種か」
「ちなみに、パン作りにはストレート法、老麺、中種法、ポーリッシュ法、湯種、色んな方法があるんだよ。いつも皆がやっているパン作りは、そのどれかの方法だと思う。しらんけど」
「「「そこまで言って、しらねぇとかある!?」」」
莉奈の適当なのか詳しいのかも分からない説明に、皆は驚愕していた。
毎日作っているパンなんて、莉奈に教わって知った気でいたが、まだまだ序の口だった。
知った気でいた自分達が恥ずかしいと、嘆きの代わりに深いため息が漏れていた。
「ぬるま湯で捏ねるのは何?」
「……」
何と言われても咄嗟に答えが出るほど、莉奈は詳しく知らない。
口に手を当て、作り笑いをしながら首を傾げた。
「マジでしらねぇのかよ」
リック料理長の隣にいたマテウス副料理長は、肩を落とした。
莉奈の事だから、説明が面倒とか言うオチだと思ったのだ。
「だって、私は一般人でパン職人じゃないからね」
と莉奈があっけらかんと言えば「お前が一般人なら、俺達は何よ?」と皆はさらに落ち込むのであった。
そんな皆を見て、なんか可哀そうになった莉奈は、うろ覚えながらも思い出しながら説明してみた。
「まぁ、私の記憶もいい加減でアテにはならないけど……確か、材料をいっぺんに入れて作るのが、ストレート法。老麺は、前日のパン生地を混ぜて作る方法。湯種はコレと同じ様に熱湯で捏ねる方法。ポーリッシュ法は別名液種とか言ったハズだから、皆が良く使う液体酵母から……」
「まった待ったまった!! リナ、メモするから頭からもう一度!!」
次々と説明する莉奈に、リック料理長とマテウス副料理長が、慌ててコックコートから紙とペンを取り出した。
1度に説明されても、頭に入らないのだろう。
だけど、莉奈は粉を捏ねる手を止めて、盛大にため息を吐いた。
「え〜面倒くさ〜い」
「「「リナ〜」」」
相変わらずの莉奈に、皆は苦笑いが漏れる。
莉奈のやる気と面倒くさくなるスイッチの、境界線が分からない。
ーー結果。
ブツブツ言いながらも莉奈はもう一度説明したのだった。
「説明している間に生地がまとまったので、濡れ布巾をボウルにふわっと掛けて、その辺に置いて1時間くらい寝かせとく」
さっきまで熱湯を入れてベタベタしていた強力粉は、莉奈の手で見事に捏ねられてまとまり、表面にはツヤが出ていた。
「小麦粉の生地は基本的に、発酵か寝かせるんだな」
「だね」
それにより、粉っぽさがなくなったりモチモチしたり、しっとりしたりする。勿論、寝かさないモノも中にはあるけど。
「ちなみに分量は少し違うけど、さっきみたいに"白い粉"に塩を足して作った生地を一晩くらい寝かせて水で洗うと、生麩とか焼き麩の材料になる"白い塊"が出来る」
「「「白い塊??」」」
「そう。で、その白い塊を洗った水は捨てないで一晩寝かせると、"白いモノ"が沈殿してくるらしい」
「「「白いモノ」」」
「うん、白いモノ。でね、それを布巾とかで濾して乾燥させると、水餃子の皮とか団子とか作る"白い粉"が出来るんだよ?」
「「「白い粉」」」
何かスイッチが入った莉奈が、一生懸命に色々と説明してくれているのだが、パンの製法でいっぱいいっぱいの皆には、水で洗うとか生麩とか団子とか言われても、それはもはや神の境地だった。
それどころか料理の説明なのに、莉奈はそのすべてを白い何かで漠然と説明してくれるから、ヤバイ物の精製方法にすら聞こえてしまう。
結果的に皆の頭の中には"白い塊"や"白いモノ"、"白い粉"しか情報として残らなかった。
「んじゃ、たくさん説明して疲れた私は、生地を寝かせている間に、昼寝でもーー」
「おーい、挽肉!!」
「キャベツ!!」
ゴミ箱の上で寝ようとしていた莉奈に、皆は慌てて作業が途中だとツッコんでいた。
放っておけば、莉奈は本気で眠ってしまうだろう。
「忘れてなかったんだ」
テヘッと莉奈が笑えば、皆は苦笑いするのであった。




