41 酒が進むよカリカリチーズ
寒い=コタツ=眠気 戦いです。
全然、執筆できてません。
あ~どうしたら。
「ありがとう、リナ!!」
「どう致しまして」
莉奈は軽く御辞儀して見せる。こんなに素直で可愛い皇子になら、なんでもしたくなっちゃうな。
「……以上ですか?」
二人の和やかなやり取りをイベールが冷静にぶった切る。どうやらコッチで、エギエディルス皇子のチーズオムレツを作っている間に、他に出す料理は魔法鞄にしまった様だ。
「う~ん、ちょっとだけ待ってもらえます?フェリクス陛下にもう一品作っちゃいますから」
出来立てのチーズオムレツをイベールに渡しつつ、莉奈は冷蔵庫からチーズを出した。今度はソフトタイプではなく、ハードタイプだ。それを適当に切って、何もひいてないまっさらな小さなフライパンに乗せて加熱する。
「今度は何してるの?」
ラナ女官長が、興味深気に訊いてきた。ただ、チーズを焼いているだけなのだから不思議なのだろう。
「フェリクス陛下の酒の肴」
簡単だから、すでに食べた事もあるかもしれないが、あっても困らないだろう。
「……チーズ焼いているだけだろ?……って、焦げるぞ?」
話してる間もプツプツとしていたチーズがキツネ色に変わる。
「あはは……大丈夫。ん、出来た出来た」
それをヘラで、なるべく割れない様に取る。
「なんだ、ソレ?チーズ焼いただけだし……」
「焼いただけだけど、美味しいよ?……ほいっ」
焼きたてカリカリのチーズを、少し割りエギエディルス皇子にあげる。ちょっと塩辛いのだが、酒の肴にはこの塩気がいいらしい。
まぁ、父親が言ってただけで、お酒となんて食べた事はないけど。
「……ん、ちょっとしょっぱいけど、パリパリして旨い」
「でしょ?……リックさん、お酒は?」
と、酒呑みを探してみる。
「……呑む方……ですね」
と、喉を鳴らしたリック。きっとこのチーズで酒を想像したのだろう。こういう言い方をする人って、たぶんかなり呑む方だ。
「なら、ハイ味見。イベール様はお酒は?」
勝手な想像だが、この人もかなり呑みそうだ。呑むか聞きながらチーズの欠片を渡してみる。
「……"様" は結構です。頂きます」
やはり呑むのか、焼いたチーズを受け取った。
「…………っ」
ピクリと、ほんの一瞬イベールが反応した。
「……さ……酒……ワインが呑みたい……」
リック料理長は、率直な意見を口にした。生唾が出てそうだ。
やっぱり、酒呑みには堪らないらしい。
…………ゴクリ。
他にも酒呑みがいるのか、食いしん坊か、生唾を飲む音がした。
イベールがいる手前、怖くて騒がないだけで実際くれくれと言いたいに違いない。
「よし、このくらいあればいいでしょ」
味見~食わせろ~と、念のこもった異様な視線に耐えながら、莉奈は5枚程カリカリチーズを作った。
まぁ、初見だろうし……まずはこのくらいから。
「じゃあ、エド。シュゼル殿下達によろしく」
睨む様に見るイベールに、カリカリチーズを渡しながら言った。
「シュゼ兄によろしくはいいけど……チーズオムレツ、シュゼ兄にはないのかよ?」
自分とフェリクス王のは作って貰ったが、次兄のシュゼル皇子の分がない事に気付いたらしい。
「ないよ?」
「なんで?」
「他の料理もあるし。それに、初めから全部あげちゃったら、それしか興味なくなるでしょ?」
「…………。」
「イベールさんも、ソレ、私の作ったデザートは最後に出して下さいね?……エドは美味しそうに食べて、デザートチラつかせてとりあえず食事をさせる。わかった?」
子供みたいに、欲しい物、食べたい物だけなんてダメだ。エサをチラつかせて幾分か先に食べさせないと。
「わかった」
莉奈の言いたい事がわかったのか、若干苦笑いしている。
なんで、食事させるだけなのに、こんなに苦労するのか呆れているのかもしれない。
これで、少しは食べる事に興味をもってくれればな……と思う莉奈であった。