37 ハチミツかけた~い!!
美味しいものは、"糖"と"脂肪"で出来ているのです。
知ってる~!!でも、たべた~い。
ドーナツを食べながら執筆する作者なのでした。
「まぁ、欲をいうなら……パン以外を焼くオーブンも欲しいんだけど」
パンはパン専用にしておかないと、オーブンに匂いがつくしね。
「パン以外って、何を焼くんで……だ?」
敬語とタメ口がごっちゃなリックが訊いてきた。そういう所もラナに似ていて、思わず笑う。
「肉とか魚、なんだったらお菓子とか」
「肉とかって……フライパンではダメなのか?」
焼くといえば、フライパンか鍋なのか疑問の声が上がる。
「ダメじゃないけど、いっぺんに焼けるし便利だよ?……ローストチキンとか、タンドリーチキンなんか簡単に作れるし……魚なら、皮がパリッとして美味しくなると思うけど?」
別にフライパンでも出来るけど、ある程度放っといてもいいのがオーブンの良いとこだ。じっくり焼きたい時なんか特に便利。
「……なるほど。なら、ここにあるオーブンを使っていいよ?あんまり使ってないし」
とリックは、コンロの下に備え付けてある、オーブンを使っていいと言ってくれた。パンは違う所にある大きいオーブンを、普段は使って焼くので、これはほとんど使用していないそうだ。
「ありがとう!!」
莉奈は、お礼を言った。これならコレから焼き菓子とかも作れそうだ。
「さて……と。そろそろ、パンを焼こうかな」
厚めに切ったパンなら、一時間以上漬けた方がいいのだけど。割りと薄めに切ってくれたし、何よりたっぷり用意したプリン液が全くなくなっていた。どれだけ吸ったのよってぐらい、固いパンが吸い上げた様である。
「後は、バターで焼くだけだから……リックさん手伝って?」
「えっ!?……わ、私が……ですか?」
焦がさない様に焼くだけで、難しい事はないからと頼んだのだが、突然の事にひどく緊張している。
「ぷっ……。難しくないよ? 焦がさない様に焼くだけだし」
あまりの驚きに、莉奈は思わず笑ってしまった。本人にしたら全部やってくれると、思ってたのかもしれない。
「……が……頑張ってみます」
とリックが気合いをいれた。
莉奈は、さらに笑った。だって "みます" って……頑張るじゃないんだ。
ーーージュワ。
バターをひいたフライパンに、プリン液を染み込ませたパンを焼き始めると、厨房いっぱいに甘い香りが広がった。ハナを擽る甘い香りに、また一人また一人……とノドが鳴る。
なんだったら、若干名のヨダレを啜る音もした。
「だれか~お皿ちょーだい!!」
もうすぐ両面が焼き上がる頃合いだ。
「……どうぞ!!」
誰とはいわないが、声を上げるか上げないか、絶妙なタイミングでお皿が差し出された。お礼を言い、焼き上がったフレンチトーストを皿に盛る。
「よし、上出来」
キツネ色よりちょい薄め、キレイに焼けた。
くそ~アイスクリームのせた~い!!
ハチミツ、メイプルシロップかけた~い!!
だから、太る……のは知ってた!!
でも、たっぷりのせた~い!!