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聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました  作者: 神山 りお


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364 色って大事だよね?



「え〜と、ポップコーンはトウモロコシから作るお菓子?」

「「「お菓子!!」」」

 お菓子と言うと、すぐに食い付くのが皆だよね。

「コレから作れるのか!?」

 見習いの料理人が、食料庫から葉に包まれたトウモロコシを取り出した。

 新鮮なのか、ずいぶんと立派な黄金色の髭まで付いている。

「わっ、葉付きのトウモロコシだ。トウモロコシ茶とヒゲ茶が作れるじゃん」

 莉奈はトウモロコシの実より、その立派な髭に飛び付いていた。

 市販のトウモロコシは、髭も葉も剥き取られて、食品ラップや袋に入って売られていたりする事が多い。

 葉付きの物も売ってはいるけど、こんな立派な黄金色の髭が付いているのは珍しい。



「え? トウモロコシからもお茶が出来るの!?」

「出来るよ……って、デカいなこのトウモロコシ」

 良く見たら、このトウモロコシは大根と変わらないくらい、長くて太い物だった。

 試しに持ってみたら、ズッシリとしていてものスゴく重量感がある。

「うっわ、気持ち悪っ!! 何コレ? 粒がスゴくカラフルだし」

 これはも大きいのかなと思って葉を剥いたら、粒が大きいとか小さい以前にはものスゴくカラフルだった。

 一粒一粒は大きく、親指の第一関節くらいあるし、実の色が黄色じゃないのだ。赤、青、白、紫と多色である。それも、一粒ずつ違うので、面白いを通り越して気持ち悪かった。

 莉奈の知っているトウモロコシとは全然違う。



「あれ? 初めて見たの? これ"ググラスジェムコーン" っていうトウモロコシだよ?」

「こっちは"宝石ジュエルズコーン"っていうトウモロコシ」

「うっわ、どっちも気持ち悪っ!!」

 そう言って、両方とも葉を剥いてくれたけど、どちらも黄色ではない。むしろ、黄色を探す方が難しく、一粒一粒ランダムの様だ。

 コッチの世界のトウモロコシは、葉っぱは同じ黄緑色だったが、中身は黄色でも白でもないらしい。

 確か、アッチの世界でも、虹色トウモロコシって呼ばれている品種があった様な覚えがあるけど、こんな感じなのかな?

 トウモロコシは黄色か白だって頭が記憶しているから、ちょっとしたプチパニックなんだけど。



「黄色の実のトウモロコシはないの?」

 コレ茹でたらどうなるんだろう? と莉奈は眉根を寄せながら訊いた。

 カラフル過ぎて気持ちが悪いので、莉奈は普通のトウモロコシが見たかった。

「あるよ?」

「あるんだ。良かっ……細っ!!」

 出してくれたトウモロコシは、"ヤンヤングコーン" といって、アスパラガスみたいに細かった。

 葉っぱを剥いたらさらにヒョロヒョロで、手に持つと芯も柔らかいのかユラユラと揺れる。ヤングコーンのヒョロ長いバージョンみたいだ。




 ーーそうだった。




 ココは異世界だった。




 今まで大きさや形が少し違うだけで、同じような食材が多かったから、余り気にしなかったけど、それはたまたまだったのかもしれない。





「あ、そうだった。ポップコーンを作るのは、トウモロコシなら何でも良いって訳じゃないよ。"爆裂種" っていう種類じゃないと出来ない」

「え? "爆裂種"? 良く分からないけど、コレじゃ無理って事?」

「だね。だってコレ、触っても分かるけど皮が柔らかいもん。爆裂種は皮が硬いのが特徴だから、たぶんあまり食べられていないんじゃない?」

 それこそ、飼料とかに使われてるんじゃないのかな? と想像してみる。

 あまり、茹でたりして食べているイメージがない。

 ポップコーンにしか使われていない気がするけど、詳しくは知らない。



「品種が違うって事か」

 莉奈の説明でなんとなく分かったのか、玄米を煎るリック料理長が顎を撫でていた。

「ちなみに、そのポップコーンってどうやって作るんだ?」

 作れないとしても興味があるリック料理長は、莉奈に訊いた。

「実を乾燥させて炒る」

「あのトウモロコシでやると?」

「焦げて終わる」

 爆裂種だから、破裂してポップコーンになるのだ。 

 普通のトウモロコシだと、ずっと炒っても破裂しないから、ただ真っ黒に焦げるだけ。




「ポップコーンは塩バターで味付けするのが一般的だけど、キャラメルに絡めるとスゴい美味しい」

 百均でイエローポップっていう爆裂種のタネが売っていた時は、ものスゴい衝撃だったけど。百均って何でもあるよね。

「マジか!!」

「このトウモロコシじゃ、どうしても無理なの!?」

 莉奈が美味しいと言うのだから、美味しいのだろうと、皆は思ったのだが材料がない。

 だから、このトウモロコシではダメなのか、訊いたのだ。

「やってみれば?」

 絶対に無理だと思うけど。

「「「リナがそう言う時は、絶対ムリな時だ」」」

 皆は、良く分かったのか、ガックリと肩を落としていた。

 莉奈が無理だと言うのなら、食材の無駄にしかならない。諦めようと、すごすごと仕事に戻って行ったのだった。

 
















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