表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました  作者: 神山 りお


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

347/676

347 手が……



 ローヤルゼリーは他にも使い道がありそうだから、小瓶1つ分は残しておこう。

 どの道ポーションが足りないから、王城中の女性の分は作れない。まぁ、王城で働く人達はどこぞの令嬢や資産家が多いし、給金も高いから自分でどうにかするでしょう。



 莉奈がそんな事を考えていたら「私も試しに1つ、作ってみましょう」と言ってシュゼル皇子も作り始めた。

 試作自体に興味があるのかオールインワンジェルに興味があるのか知らないが、いとも簡単に作っていた。

 タール長官も同様にサクッと作れたから、彼も【調合】の技能スキルを持っているのだろう。

 という事は、調合の技能スキルを持っていれば誰でも作れる……と莉奈は解釈した。

 そして、聞いたところ、ここの研究員にも数名程、調合の技能スキルを持っているとの事。

 だから、作り方を伝授してローヤルゼリーを渡せば、イイかなと思ったのだけどダメだった。

 調合の技能スキルを持っているからといって、絶対完璧に作れる訳ではないらしい。だから、材料を無駄にしたくないからお願いと言われてしまった。

 まぁ、ラナ女官長達の分と一緒に作ればイイかと、莉奈は快諾した。

 その代わり、ポーションとかローヤルゼリーとか、入れる瓶とかは自分達で用意する様に言ったけどね。




 莉奈は、まだ話があるシュゼル皇子とタール長官に別れを告げ、1人銀海宮に戻る事にした。

 その戻る途中にふと、シュゼル皇子達に聞いた事を思い出す。

 個人差はあるが【技能スキル】は進化や変化する事もある……という話を。

 確かめてみようと、魔法鞄マジックバッグからポーションを取り出し【鑑定】を掛けて視た。




 【低級ポーション】

 マナの葉と水、微量の魔力で作られた魔法薬。

 

 〈用途〉

 切り傷、擦り傷などの小さいケガや欠損にかけたり、直接飲用して治す。


 〈その他〉

 飲料水。

 美味しくはない。



「……なるほど」

 莉奈は【鑑定】して視て、大きく頷いた。

 うん。まったく分からない。

 莉奈は、以前の鑑定内容を微塵も覚えていないので、どこがどう変化しているのか、していないのかが分からないのだ。

 実際には、大分変化しているのだが、悲しい事に比べて視れない莉奈には、何も分からないのであった。

 




 ◇◇◇





「「「神様、リナ神様!! 我々にも美容液なるものを!!」」」

 銀海宮に戻って来たら、侍女達が一斉に平伏してきた。

 どうやら、また聞きのまた聞きで話を聞いてから、ずっと莉奈を待っていたらしい。




「その話だけどね……」

 莉奈は、魔法省の研究員にも話した事を説明した。

 材料は自分達で相談して用意する旨を。



「ローヤルゼリーって、どうすればイイのかしら?」

「今って蜂の活動する時期だったっけ?」

「養蜂場!! 養蜂場よ。あそこに頼めば売って貰えるかもしれないわ!!」

「養蜂場はイイけど、どこにあるのよ?」

「知らないわ」

 侍女達は一様に首を傾げて悩み、相談したりしていた。

 どうやら、ポーションは王都に行けば売られているが、ローヤルゼリーは売っていないらしい。



「軍部の人に相談してみれば?」

 莉奈は、そう提案した。

 良く分からないけど、とりあえず蜜を集める蜜蜂系の蜂ならローヤルゼリーがあるのでは? と思う。そして、メチャクチャ怖いけど、蜂の魔物がいるのであれば、ソレも可かもしれない。

「そうね!!」

「軍部の人の方が詳しそうだわ!」

 莉奈が提案すれば、侍女達は手を合わせ喜び、白竜宮へと早歩きで行ったのだった。

 別名、突撃ともいう。

 しかし、スゴいよね。侍女達は余程の事がない限り、本当に走らない。莉奈とは大違いである。





 ◇◇◇




「お前、何を作り出したんだ?」

 いつも通り厨房にお邪魔したら、マテウス副料理長が苦笑いしていた。

「え?」

「王城中の女子が、そわそわしてんだよ」

 と厨房にいる女性達を指で差した。

 仕事中なので作業をしてはいるが、瞳がキラキラ? いやギラギラしている。

 休みだったのなら、騒いでいる人達の中に混ざりたかったに違いない。

「あ〜、なんか肌がツルスベになるモノ?」

「なんだい、ソレ」

 リック料理長が、首を捻っていた。

 お肌がツルスベと言われても、良く分からないのだろう。

「リックさん、手を出して」

「ん? 手を……って怖いんだけど」

 莉奈が両手を前に見せる様に出せと言えば、ビクビク怯えて手を出してこなかった。

 むしろ、半歩下がって両手を背に隠している。

 莉奈が何かやらかすと思っているらしい。

 まったく、失礼極まりない。



「イイから出す!」

「はいぃィィ!!」

 莉奈が強く言えば、リック料理長は飛び跳ねる様に両手を差し出した。

 何もしていないのに、何この怯え方。

 莉奈は口を尖らせながら、魔法鞄マジックバッグから例の美容液を取り出した。

 瓶に移していないからビーカーのままだけど。



 水仕事で荒れているリック料理長の手に、試しに垂らそうと思ったら、莉奈の頭上から震える声がした。

「手……手」

「ん? 手?」

「手が……手が、と、溶けたりしないよな!?」

「はぁァァ〜ッ!? 溶けるわけないでしょ!?」

 莉奈が見上げればリック料理長が、ガタガタと涙目で震えていた。

 ビーカーで出したものだから、溶解液でもかけられると思っている様である。




 なんで、そんな劇薬をかけられると思うのかな!?




 莉奈は憤りを感じつつ、溜飲を下げた。

 顔に塗った時に手にも付いた訳だけど、手のカサカサもなくなっていたから、ハンドクリームとしても使用出来るのではと思ったのだ。

 だから、いつも水仕事で荒れているリック料理長の手も、使ったら綺麗になるのかなと、試そうとしたのだけど……まさかの傷害疑惑。酷いにも程がある。



「手荒れにも効くんだよ」

 もう、怒る気にもなれなかった莉奈は、リック料理長の手首を強引に掴み、オールインワンジェルを大さじ1程度垂らした。



「ソレを、手の全体にこうやって伸ばしてみて」

 莉奈は手本を見せた方が早いなと、自分にも垂らし手の平や手の甲に伸ばして見せた。

 始めこそは少しトロッとしていたけど、伸ばしていくとすぐに肌に馴染んでサラッとなくなるのだ。

 カサついた両手が顔同様に、ツルスベプルルンである。

 万能過ぎるでしょう? このオールインワンジェル。



「っ!!」

 莉奈に言われるがまま、真似をしていたリック料理長が、自分の両手をマジマジと見て驚愕の表情を見せた。

「いっつも、ガサガサだった手がツルッスベだよ!! なんだコレは!?」

 何度も何度も両手を揉んだり触ったりしていた。

 ヒビ割れもしていた自分の指先が、驚くほどにキレイな肌に戻っていたのだ。こんなキレイな指は、何十年振りと言っても過言ではなかった。



「ちょ、ちょっとリック料理長、触らせて下さい!!」

「うっわぁぁっ!? 何この女子みたいなスベスベな手!!」

「いやぁぁァァっ!! あたしの方がザラっザラだし!?」

「料理長の手が、赤ちゃんみたいにもっちりしっとりしてる!?」

「ヤダー肌触りが良過ぎ!!」



 リック料理長は女性に囲まれて、両手をさわさわと触られまくっていた。

 さすがのリック料理長もタジタジだったが、若い女性に手を触られ次第に顔はデレデレに溶けていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ