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聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました  作者: 神山 りお


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342 美容液というか、オールインワンジェル



 黒狼宮は場所により薬草か漢方、お香だったり色々な匂いがする。

 それが、なんか妙に落ち着くし懐かしさも感じる香りだ。アロマテラピー的な感覚なのかもしれない。



「サリー、仕事は?」

 結局、黒狼宮まで付いて来たサリーには呆れる。

 休憩でもなさそうだし、何故付いて来るのだろうか。

「今日は休みなんだよ」

「え? じゃあ、なんでメイド服なんか着てるの?」

「私服を選ぶのが面倒だから」

「えーーっ!?」

 そんな理由だとは、ものスゴいものぐさである。

 面倒くさがりでいい加減な莉奈でさえ、毎日着替えるのに、サリーはさらに上にいた。

 さすがの莉奈も選ぶのが面倒くさいからと、休日まで学校の制服で過ごした事はない。

 莉奈は呆れてイイのか、感心した方がイイのか分からなかった。



「じゃあちょっと、タールさんに挨拶して来るからーー」

「食堂で待ってる」

「いやいや、待たれても」

 もはや、美容液を作って貰うまで、ストーキングする気らしい。

「タダとは、言わないよ」

 そう言って、メイド服のポケットから瓶を取り出した。

「ん、あっ。ポーション?」

 ゲオルグ師団長からやたらポーションを貰うから、瓶を見ただけですぐに分かった。

「リナは、竜と戦うから必要でしょ?」

「戦わないよ!?」

 なんで、竜と戦う話になっているのかな。

 こうやって、話に尾ヒレや背ビレ、なんなら胸ビレまで付いていくのだろう。

 竜の間では、真珠姫と莉奈のやり取りがどう変化して伝わっているのか、考えただけでもゾッとする。




「あっ、そうだ。ローなんとかは、どうやって手に入れたの?」

 もう一つの原料となる、ローヤルゼリーが気になったサリーは莉奈に訊いた。

 もし、自分で手に入れる事が出来るのなら、等価交換ではなく原料を渡して頼む事が出来る。

「蜂の巣」

 警備兵のアンナが、棒で叩いて落としたのは "キラービーもどき" っていう、どこにでも良くいる蜂らしいけど。

「え? 蜂の巣? 蜂の巣から作るの?」

「違う。蜂の巣にあるの」

「?」

 サリーは眉根にシワを寄せていた。

 蜂の巣にあるとは何だと。蜂の巣にあるのはハチミツか蜂の子ではないのか。



「私も良く知らないけど、女王蜂になる幼虫にだけ与えられる栄養素? がローヤルゼリー?」

 そんな話を聞いた様な気がするだけで、詳しい事は全く分からない。

「あぁ、それを食べて育ったからリナは……」

「はぁ?」

 ブクブクと……そんな呟きが聞こえた莉奈は、サリーを睨んだ。

 食べた事などないが、一体どういう意味だ、サリー?

 それは、太っていた原因を指しているのかね?

 マジで失礼なんですけど?





 ◇◇◇





「お久しぶりです」

「話は聞いていますよ。リナ」

 いつも優しい笑顔で迎えてくれるタール長官。

 黒狼宮に来る機会がない莉奈は、魔法省のタール長官に会うのも久々である。

 竜の番が出来たから、白竜宮には良く行く様にはなったけど、黒狼宮には用がないしね。

 ゲオルグ師団長に会いたくないから、タール長官は白竜宮には基本寄り付かないし、会う機会がない。

 まぁ莉奈からしたら、ゲオルグ師団長とタール長官は仲が良い様に見えるのだけどね。

「美容液? でしたね。女性達が色めき立ちそうな提案です」

「ソウデスネ」

 侍女のサリーは取り分が減ると吹聴はしていなさそうだが、すでに色めき立っている人達もいるし、作っている間に広まる事だろう。

 余計な相談だったなと、莉奈は少し後悔していた。



「どうやって作るのですか?」

「ローヤルゼリーを温めた後、少量をポーションに混ぜるだけみたいですね」

 ローヤルゼリーを【鑑定】し、さらに【検索】して視たら、そんな表記が出ていた。

「ポーションを使用するので、魔力は注がなくて大丈夫なのですかね?」

 魔法薬を作る時は魔力を注ぐのだと、タール長官が教えてくれた。

「ポーションを作った事がないので良く分かりませんが、魔法薬扱いになるなら注ぐのでしょうか」

 莉奈は首を傾げていた。

 シュゼル・スペシャルは "面白そう" が先で、何も考えていなかった。それどころか、莉奈は基本的に無意識にやっているので、良く分からないのだ。

「待って下さい。もう一度詳しく視てみますね」




 莉奈は近くにあった客用の低いテーブルに、魔法鞄マジックバッグから蜂の巣を取り出した。

 布に包まれた蜂の巣の白い部分。ローヤルゼリーを改めて【鑑定】して視る。




 【ローヤルゼリー】

 キラービーもどきの、働き蜂の特殊な分泌物。


 〈用途〉

 女王蜂になる幼虫に与える物。

 高タンパク質でビタミンを含み、滋養強壮薬とされる。

 ポーションと混ぜれば、オールインワンジェルとなる。


 〈その他〉

 食用である。

 だが、美味しくはない。




 莉奈は、そこから "オールインワンジェル" を【検索】する。




 【オールインワンジェル】

 ミツバチやキラービーなどのミツバチ科、主に働き蜂の分泌液〈ローヤルゼリー〉とポーションを特別な配合で精製した物。



 〈用途〉

 化粧水、乳液、美容液のすべての役割を一つにしたジェル。

 使用すると、肌がしっとりモチモチに。

 シミやソバカスも、何回か使用する事でなくなる。



 〈その他〉

 食用ではない。

 シワには効かない。




 最後に "配合" を【検索】と。




 【配合】

 溶かしたローヤルゼリー1、ポーション100。




「魔力は必要なさそうですね」

「なるほど、ポーション自体に魔力が含まれているので、それ以上は必要ないと」

 タール長官の持つ【鑑定】だけでは、まだ現物がないため、オールインワンジェルの作り方も、ソレが特別な配合で出来る事も分からないらしい。

 莉奈が視たモノをそのまま伝えれば、タール長官が大きく頷いていた。

 そういえば、シュゼル・スペシャルを作った時も、軽く調べたら "特別な配合" と表記されていた。

 魔力が必要な時には、何と付くのだろう?



「タールさん。コレはポーションと違って、何故"特別な配合" って表記されるのでしょう?」

 莉奈と同様に鑑定の技能スキルを持つタール長官に、疑問を投げてみた。

「調合に鋭敏な感覚が必要なモノに付く事が多いので、【調合】の技能スキルを持っていないと難しいと言う事です。そして、おそらくですが、リナあなたは【調合】を持っているのだと思います」

「え?」

 何【調合】の技能スキルって。

 莉奈は持っていると言われて、固まってしまった。



「薬や魔法薬も、料理のように基本的には経験や感覚が、優れていれば、ある程度は計らずとも作れますが……"特別な配合" と表記されたモノは、【調合】の技能スキル持ちか玄人にしか作れません」

「なるほど」

 だから、シュゼル・スペシャルを作れたと。

 要するに、難しい配合のモノも【調合】の技能スキルがあると、熟練者みたいに感覚で分かると言う事かな?


 

「調合室で試しに一つ作ってみれば、分かると思いますよ?」

「はい」

 頑張りますと莉奈は頷いた。

 ちなみにタール長官は? と訊いたら【調合】を持っているとの事だった。

 








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