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聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました  作者: 神山 りお


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321/665

321 返事は?



 まぁ、そんな穏やかな時間など、あっという間に終わる訳だけど。




 ーードシーーン。




 ほらね?




「リナ!! アホの許可を貰って来ましたよ!!」

 上機嫌の真珠姫がパタパタと、飛び跳ねる様に宿舎に戻って来た。

「アホって」

「許可を貰えば、改装してくれるのでしたよね!?」

「まぁ、後は材料ーー」

「後は頼みましたよ!!」

「材料ーー」

 莉奈の話など聞いていない真珠姫。

 では、散歩に行って来ますと一言残すと、スキップでもする様に空へ翔けて行った。



「…………」

 材料があればね? と言いたかったのに言わせる暇など与えてくれなかった。



「リナも……大変だね」

 それを見ていたアメリアが、不憫そうに小さく言った。

 自分の番の事でも精一杯なのに、他の番の世話までやっているのだ。それもシュゼル皇子の番。

 自分だったら、気を遣い過ぎてどうにかなりそうだと、アメリアは思った。

「そう思うなら助けてよ。竜って本当に自由過ぎる」

 ワガママとか、勝手とも云うけれど。

「それがまた、可愛いよね」

「いや、可愛くない」

「え〜?」

 アメリアは可愛くて仕方がないみたいだけど、莉奈はいつもヘロヘロである。



「そういえば、アメリアは自分の番に名前付けてあげたの?」

 雌の竜は現在、部屋の改装から名付けまで色々とブームだった。

「それがさぁ、黄色の竜だから "たんぽぽ" にしようとしたんだけど……」

「したんだけど?」

「鼻で笑われた」

 アメリアは苦笑いしているけど、却下されたという事らしい。

 どこがダメだったんだろうと、ため息を吐いていた。

 "たんぽぽ" か、と莉奈は呟いた。

 別に悪くはないけど、竜にたんぽぽちゃんと呼ぶのはギャップが凄すぎる。私的な好みだけど。


 

「黄色の鱗でも、少しオレンジ色に近いんだから【琥珀こはくの月】とか、色々あると……え? 何」

 色々とあるんじゃない? と思ったら、アメリアがキラッと瞳を光らせて莉奈を見た。

「それイイ」

「へ?」

「リナ、それイイ! 天才。あの子が帰って来たら訊いてみる」

「え、あ、そう?」

 適当に言ったのだが、アメリアは気に入った様子だった。

 まぁ、最終的に決めるのは竜だし、まっいっか。



 そんなこんなで、アメリアが手伝ってくれたおかげで、碧空の君の部屋には真新しい藁を敷く事が出来た。

 ご飯も置いといて、これで良いでしょう。




 さて、次は真珠姫の部屋のリノベーションだ。




 ーーと気合いを入れかけた時、出入り口に佇む人物に気が付いた。




「陛下がお呼びです」

「え? なんで?」

 氷の執事長イベールが静かに立っていたのだ。

 いつからか、なんて知らないけど無表情で怖い。大体何故、国王陛下が私なんかお呼びなのか。

 やらかした覚えは……多分ない?

「あなたの返事は "ハイ" か "諾" の2つしか許されていません」

「…………」

 え? それって、選択肢ないよね?

 国王陛下が呼んでいるのだから"否" は当然許されないと云う事なんだろうけど。

 分かってはいるけど、ココはどうすればイイの? と、莉奈は真珠姫の部屋とイベールを交互に見て、致し方がないと諦めた。真珠姫より、国王陛下の方が優先だよね。

「行きますよ」

「うわっ!? ちょ、ちょっと扱いが雑なんですけど!?」

 イベールはリナが返事をするのを待たず、首根っこを掴んだ。

「あ〜ぁ」

 もうヤダー。

 抵抗も虚しく莉奈の悲鳴がこだまする。

 行くと言っているにも関わらず、イベールは強引に莉奈をズルズルと引き摺り連れて行くのであった。



「リナは本当に大変だな」

 捕まえた獲物の様に、ズルズルと引き摺られて行く莉奈を見て憐むアメリアだった。










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