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聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました  作者: 神山 りお


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310 イチからハンバーグ作り



 スポンジ生地が焼けるまでは時間が掛かるし、待つ間にエギエディルス皇子が、以前食べてみたいと言っていたハンバーグを作ろうと思う。

 絶対に喜んでくれるに違いない。



「ハンバーグは主に牛肉、玉ネギ、卵、パン粉を混ぜて作るんだけど、玉ネギはみじん切りにして炒めておく」

「なら、私が玉ネギを炒めておくよ。どの程度まで炒めればイイ?」

 そう説明すると、リック料理長が玉ネギを用意してくれた。

「しんなりするくらいで、お願いします」

 莉奈がリック料理長の好意に甘えると、手際良く玉ネギを微塵切りにして、炒め始めた。

 本当は飴色にしたい所だけど、しんなりくらいにする。なんなら、シャキシャキ食感が好きなら生でもイイ。

 ハンバーグのレシピなんて山程あるし、作る人の好みややり易い方法で作れば良いと思う。



「じゃあ、俺、パン粉を作っとく。生パン粉? 乾燥?」

「乾燥。で、牛乳に浸しといて」

 生パン粉でも乾燥パン粉でも、牛乳に浸してふやかしておいた方がイイ。乾燥パン粉にしたのに理由はない。単に堅いパンの方が多く残っていたから。

「え? なんで牛乳に浸すの?」

「牛乳に浸したパン粉を入れると、肉の臭みは取れるしハンバーグがジューシーに仕上がるよ」

「へぇ」

 莉奈がそう言えば、皆は感心した様に頷いていた。

 探せばいくらでも他にも方法はあるのかもしれないけど、プロではないのでそこまで詳しくは知らない。

 家で作る時は、ここにナツメグを入れるんだけど、さっき訊いたら「ない」って言われた。アレ入れると一気にお店の味になるから、入れたかったな。

 まっ、仕方ない。



 さて、肝心の挽き肉だけど……ないのでソコから作る。

 一流料理人もビックリだよ。なにせ本当の意味で一からだもん。牛の魔物倒して解体して、包丁で叩いて挽き肉を作るとか。何このありえない工程。




 ーートンとんトンとん。




 莉奈は2つの包丁を使って、ブラッドバッファローのモモ肉を叩いていた。

 挽き肉を作るためだ。ミンチ用のミンサーなんかないからね。お店の挽き肉程細かいミンチにはしないけど、なるべく近くまで叩く予定。

 しかし、この叩いて切る工程、なんか地味だけど面白い。

 ちなみに、少しだけサーロインの肉も混ぜてみた。



「それ、何してるんだい?」

 玉ネギを炒めていたリック料理長が、不思議そうに見ていた。

 筋切り程度に叩く事はやっても、ここまで叩いて切る工程は初めてみたいだ。

「挽き肉を作ってる」

「挽き肉?」

「え〜と。細かくすり潰したり、切ったりした肉の事?」

「へぇ〜」

 莉奈の大雑把な説明で、リック料理長はなんとなく理解出来た様だ。

「あっ、大きいボウルか鍋に氷を入れておいてくれるかな?」

「いいけど、氷なんて何に使うんだ?」

 疑問は疑問として口にしながら、魔法の使える料理人が大きいボウルに、氷をこんもり出してくれた。

「ハンバーグのタネを混ぜる時に使うの」

「え? 氷を入れちゃうの?」

「違う違う。氷で冷やしながら混ぜるんだよ」

 混ぜる時と言ったら、氷まで一緒に混ぜると思ったみたいだ。なので莉奈は苦笑いしながら否定した。

「冷やしながら?」

 莉奈が否定をすれば、さらに違う疑問が浮かんだみたいだった。

「えっと、挽き肉を混ぜる時に手の体温でダレない様にする?」

「どういう事?」

「捏ねる時に温まると、肉の美味しいエキスが出ちゃうんだよ」

 確かだから、ハンバーグのタネを捏ねる時には冷やしながらやるのが良いとかなんとか。

 でも、シューマイを作る時は逆に、手のひらを使って良く捏ねた方が良いって聞いた事がある。なんでだろ?

「「「へぇ〜」」」

 料理人達は、各々手を動かしながら、莉奈の説明を感心した様に聞いていたのであった。



「さて、挽き肉が出来たので、まずはそれをボウルに入れて氷の上に載せて指先だけで先に2、3分捏ねる」

「指先だけで先に挽き肉を捏ねるのかい?」

「うん、挽き肉は繋ぎの役目もあるから、塩を入れて軽く粘りが出るまで捏ねとく。指先だけで捏ねるのは、手の体温が少しでも移らない様にするためかな?」

「なるほど」

 玉ネギを炒め終えたリック料理長が、隣に移動して熱心に訊いてきた。

 莉奈が知る限りの事を説明する。合っているか確かめ様はないけど、この説明で大丈夫なハズ。



「軽く捏ねたらボウルに卵、牛乳に浸しておいたパン粉は絞って、炒めた玉ネギは粗熱をとってから入れる。そんで、塩胡椒。さらに指先だけでクルクル混ぜる様に捏ねる」

 莉奈はハンバーグのタネをクルクルと回し捏ねながら、皆に説明する。

 氷で冷やしているから、すべてが超がつく程冷たい。痛みすら感じるが気合いで頑張るしかない。

「捏ね過ぎると旨みが出て美味しくないし、玉ネギが粗すぎると焼く時に肉が割れて肉汁が逃げちゃうから注意が必要」

「「ふむふむ」」

 莉奈の説明をリック料理長とマテウス副料理長が、頷きながら真剣に聞いていた。

 この2人は、聞いただけですぐ理解するし、次からはもう作れるんだよね。スゴい集中力と記憶力だと思う。

 まぁ、たまに他の事に気を取られてポカするけど。それもご愛嬌で可愛いかな?



「捏ねてまとまったら、何等分かに分けて成形するよ」

 そう言って莉奈はハンバーグのタネを1人分取り、軽く丸めて右手と左手を使ってキャッチボールをする。

 いわゆる、ハンバーグの空気抜き。

「何してるんだ?」

 マテウス副料理長が不思議そうに訊いてきた。

「空気を抜くためのキャッチボール?」

 と莉奈が何となく言ってみたら

「へい! リナ、カモン!!」

 マテウス副料理長が腰を落として、手を広げた。

「やんないよ!?」

 キャッチボールだからってハンバーグのタネを投げる訳がない。マテウス副料理長もやらないと分かっていたのか、莉奈がツッコミを入れれば、皆も楽しそうに笑うのだった。






昨夜寝ぼけた作者は、ログアウトを押していたらしく、早朝に気付き暫く戻れず焦ったのでした。 

 _:(´ཀ`」 ∠):コワイ 自分がコワイ。



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