30 モニカさ~ん?
寒い日は、温まる物がいいですよね。
今が夏だったら、ひょっとしたら違う料理になっていたかも……。
これを読んで、ほっこりしてもらえたら幸いです。
「……何をしてるんですか?」
料理長が、不思議そうに訊いた。
莉奈が、スープを取り終えた骨や野菜を捨てた後、もう一つの寸胴鍋にスープを取り分けていたからだ。
「ん? あー……どうせなら、半分はクリームシチューにでもしようかと」
カレーでもイイのだか、残念な事にそこまでのスパイスがない。
トマトがあればトマト煮にも出来る。
でも、パンに合うのはクリームシチューかな……と。
「クリームシチュー……?」
耳にした事もないのだろう、料理長どころか皆の頭にハテナが見える。
「まぁ、ミルクスープみたいな物かな…?」
と近そうな物で表現した。個人的には全然違うと思うけど。
牛乳を入れる点では似てなくもない。
「えーーー!?」
何故かモニカのブーイングが聞こえた。
思わずチラリと見てみれば
「私、ミルクスープ嫌いなのに~」
と口を尖らせていた。
……しらんがな!
モニカのために、作ってないし……。
……って食べる気満々かよ!!
ブーイングのモニカはさておき、莉奈は2つに分けた鍋の中に、皮を剥いたジャガイモ、人参、玉ねぎを切って各々に入れる。
塩は最後に入れるとして、これで片方は、ポトフが完成した。
本当は、鶏肉とかソーセージを入れたい処だが、なんかみんな食べる気満々だし……贅沢品は入れないでおく。
「それは?」
と訊きたそうにしているリック料理長達を無視して、とりあえず莉奈はホワイトソースを中鍋で作っていた。
聞き始めたら、キリがなさそうなので内心謝りつつサクサク作る。リック料理長なんか真剣過ぎて怖いくらいだった。邪魔しない様にしつつ、目に焼き付けている様だ。
小麦粉も、薄力粉しか無かったらどうしようかと思ったが、さっき見たら中力粉があったのでとりあえずパンは作れる。
せっかく "天然酵母" の算段がついたのに、薄力粉しか無かったらパンがどう出来た事か。作れない事もないだろうけど、作った事がない……失敗したくはないし、ひと安心である。
「……牛乳……入れちゃうんだ……」
バターで炒めた小麦粉に、牛乳を入れ始めるとモニカが泣きそうな声を出す。
そこまでか!! そこまで牛乳嫌いか!!
「あのね? コッチのスープ、無理して食べなきゃ、いいんじゃないかな? モニカさん」
莉奈は、ため息混じりに言った。
そもそも、ナゼ両方食べる気でいるかな?
この20人近い人数に対してのこの量、どう考えても片方ずつじゃないかな……と莉奈は思っている。
「…………」
返答なしか~~~い!!