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聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました  作者: 神山 りお


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285 緋空宮



 エギエディルス皇子の自室は【緋空宮(ひくうきゅう)】にある。

 何気に行くのは初めてだったりする。ワクワクするけど、ドキドキもする。ご機嫌斜めらしいと、ラナ女官長から聞いていたからだ。

 そんな事になるのならエギエディルス皇子も誘えば良かったと、少し後悔していた。

 たらればな事を考えながら莉奈は、魔導具(ペンダント)をクリッと回して赤色に合わせると、緋空宮に飛んだ。



 自室は最上階にあるだろうと想像した莉奈は、最上階の5階に飛んだのだった。転移の間から出ると、ちょうど近くに警護にあたる近衛隊の人がいたので、エギエディルス皇子の自室の場所を訊くと、突き当たりの部屋だと教えてくれた。

 



 基本的に、莉奈のいる碧月宮もこの緋空宮も、外装や内装に変わりはないみたいだ。

 装飾品もパッと見た感じは、特に違いはなさそうである。

 突き当たりの部屋だけ、扉の装飾が違った。宝石や金銀を使用した派手さではないが、豪華な彫刻が施されている。

 ここが自室ですよ……って外見だけで丸わかりだ。




 ーーコンコン。




「エドいる〜?」

 莉奈は重厚な扉をノックした。

「……」

 返事はない。

 おかしいなと莉奈はもう一度、扉をノックした。

 だが、数秒待っても何の返事も音もなかった。




 ーー居留守だ。




 絶対に居留守だと、莉奈は直感した。

 だってさっき会った近衛隊の人は、部屋の場所を聞いた時、エギエディルス皇子は留守とは言わなかった。だからいるハズ。

 瞬間移動(テレポート)を使えるから、どこかに行った可能性もあるが、絶対に居留守の様な気がしたのだ。



 とりあえず試しに、莉奈はドアノブを掴み押してみた。

 施錠されてなかったのか、音もなく扉が開いた。護衛がいるから鍵は掛けていないらしい。

 だとしても、少し不用心だと莉奈は思った。



「エド、いるんでしょ?」

 皇子の部屋に許可もなく、勝手に入るなんて普通だったらありえないのだろうけど、返事がないのだから仕方がない。

 返事を待たずに入ってキョロキョロとしていた。

「お前……何、勝手に入ってるんだよ」

 不機嫌丸出しなエギエディルス皇子が、奥の部屋から出て来た。

「入りたかったから?」

 不貞腐れたエギエディルス皇子が可愛いなと、口が綻ぶのを抑えつつ莉奈は言った。

「我が物顔だな」

 エギエディルス皇子は盛大にため息を吐いた。



「エドの部屋は、何かカッコいいね」

 不躾にキョロキョロと見渡した莉奈は、素直な感想を言った。

 私の部屋は基本的に、女性向けの可愛らしい部屋になっている。シュゼル皇子が私のためにと用意してくれた調度品もそのまま。

 勝手に変えていいとは言われているが、ほとんど変えていない。シュゼル皇子の好意を無下にするみたいでなんか嫌だったのだ。

 ただ、ベッドの天蓋だけは、どうも性に合わなくて外させて貰ったけれど。



 ピンクや白が多い莉奈の部屋とは違ってエギエディルス皇子の部屋は、青や白が基調の落ち着いた部屋だった。

 必要最低限の物しか置いてないのか、広い客間がさらに広く感じる。

「どうせフェル兄の部屋の方が、カッコイイと思っているクセに」

 褒めたのにますます拗ねて、プイっと顔を背けた。

「陛下の部屋なんか行った事なんてないし」

「え?」

「用もないのに行く訳ないでしょう? あっ、こっちも見てイイ?」

 莉奈は先程、エギエディルス皇子が出て来た扉を指差した。

「マジで兄上の部屋に行った事はないのかよ」

「ないよ?」

 用があったとしてもイヤだよ。

 エギエディルス皇子は何故か、行った事があると思っているみたいだけど。

「ふぅん」

 と頷きつつエギエディルス皇子の口は綻んでいた。

 魔導具(ペンダント)も貰ったし、莉奈の事だからてっきり行き来しているのかと思っていたのだ。

 


「あっ、勉……書斎だ」

 莉奈は勉強部屋と言いかけて、咄嗟に止めた。

 背伸びしたい年頃のエギエディルス皇子に、勉強部屋なんて言い方したら気に障りそうだ。

「許可も出してねぇのに、勝手に開けんなよ」

 そう言いつつも、書斎と言われた事には満更でもなさそうだ。



「うっわ、スッゴイ本の量」

「話を聞けや」

 エギエディルス皇子の話も右から左に、莉奈は好き勝手に見渡した。

 入って目の前、反対側の壁一面は天井まである本棚だった。

 その本棚には難しそうな本が、ギッシリ詰まっている。後は、勉強用の机と椅子の他に、寛げるソファと小さなテーブルがあるくらいだ。

 壁には、風景画が一つだけ飾ってある。額縁からして高そうだ。

「エド、そこで勉強してるんだ」

「あぁ」

「なんかカッコイイね?」

 どこかの社長室にありそうな、ブラウンのアンティークな机で勉強するのは、素直にカッコイイと思ったのだ。

「ふ、普通だよ!!」

 エギエディルス皇子は恥ずかしそうに、顔を逸らした。

 そんな事だけで、莉奈にカッコイイと言われるとは思わなかったのだ。さっきからカッコイイと何度も言われ、エギエディルス皇子の機嫌は徐々に直ってきた様であった。






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