284 帰城した莉奈は?
ゲオルグ家に別れを告げて王城に帰ったのは、それから1時間ほど経ってからだった。公園を出た後は、何をする訳もなくのんびり2人で街を散策していた。
ただただのんびりと、話をしながら街をブラブラと歩いていた。だけど、それだけなのにスゴく楽しかった。
「今日はすごく楽しかったです。ありがとうございました」
銀海宮の転移の間に送って貰った莉奈は、満面の笑みを浮かべお礼を言った。
忙しい中にわざわざ街を散策してくれた。それが、スゴく嬉しかったし楽しかったのだ。
「受け取れ」
転移の間から出ようとする莉奈に向かって、フェリクス王は何かを投げてよこした。
「え!? わ!」
莉奈は慌てて手を伸ばし、それを受け取った。
「あっ! コレ!」
それを見て思わず、声が出た。
フェリクス王が投げてよこしたのは、竜のキーホルダーだった。莉奈が弟を思い出したあの店に飾ってあった物。
店先で莉奈が何を見ていたのか、気付いていた様である。アーシェスの店からいなくなった時に、買いに行ってくれたのかもしれない。
莉奈はお礼を言おうとし見上げたが、すでにフェリクス王は再び指をパチンと鳴らし、どこかへ瞬間移動していなかったのだった。
莉奈は渡すだけ渡して消えたフェリクス王に唖然としたが、なんだかスゴくフェリクス王らしいなと、自然と笑みが溢れるのであった。
◇◇◇
「あぁ!! リナ、やっと戻って来たわね!!」
転移の間から出ると、ラナ女官長が待ってましたとばかりに声を掛けてきた。
その様子からして、ずっとヤキモキしながら待っていた様だった。
「どうしたのラナ?」
莉奈は一瞬ギョッとした。
扉を開けたら、目の前の廊下でウロウロしているラナ女官長がいたからだ。そんな所で待たれているとは思わなかった。
「どうしたのじゃないのよ!」
「ん?」
「なんでエギエディルス殿下に黙ってリヨンに行ったのよ」
「え?」
「一言声を掛けてから行けなかったの?」
「え、あ、何か急に行く事になったから……えっとゴメンなさい?」
莉奈は思わずたじろいだ。怒っている訳ではなさそうだが、あまりの迫力にビックリしたのだ。
エギエディルス皇子に言う暇はなかった……と言うか、城下町に連れて行ってくれると聞いて浮かれていた。彼に一言言っておくべきだったと、反省する。
「あぁ、ごめんなさい。別にリナを責めている訳じゃないのよ。ただ、エギエディルス殿下が……」
しゅんとしてしまった莉奈を見て、ラナ女官長は詰め寄ってしまった事を謝罪しつつ、言葉尻を濁した。
「エドがどうしたの?」
エギエディルス皇子に何かあったのか、不安になった莉奈。ラナ女官長が、血相を変える様な事でもあったのか。
「……」
そこまで言って押し黙るラナ女官長。
なんだか言いづらいみたいだ。
「ラナ?」
莉奈が問い詰めると、少し辺りを見てからゆっくり言葉を選ぶ様に口を開いた。
ラナ女官長から話を聞いた莉奈は、複雑な表情をした。
話を聞いた限りだと、兄のフェリクス王に出し抜かれて拗ねている感じがする。それだけ、私の事を大事に思ってくれているのか……と思うと、顔がニヤケる。
「リナ、笑い事じゃないのよ?」
堪らずニヤニヤしていたら、ラナ女官長にため息混じりに言われた。
「だって、なんだか可愛いなって」
そんな事で拗ねるなんて、可愛い過ぎて顔がフニャリと緩む。
「……はぁ」
素直に口に出したら、いよいよラナ女官長にため息を吐かれ呆れられたのだった。
作者のひとりごと
慣れないスマホで、大事件。
良く分からない操作をしたらしく、なろうに戻れない事態になり顔面蒼白になりました。
いじっていたら戻れましたが、泣きそうでした。
。゜(゜´Д`゜)゜。
小一時間、焦りまくりました。




