263 (‐_‐)
口直しに、濃いめの紅茶を飲むフェリクス王に苦笑いしつつ
「リナとですか?」
とゲオルグが、チラリと莉奈を見て訊いた。
同席しているのだから、一緒に行くのだと察したのだ。
「剣を見てもらうついでにな」
ソファの脇に立て掛けてある長剣に触れた。これとは別に、魔法鞄に入っている刀を見てもらいに行こうとしていたのだ。
もちろん、王城にもメンテナンスや修復する場所はある。
だが、特別製の武器や防具を修復出来る程の業師、技師がいない。必然的に街に下りるしかないのだ。
「なるほど」
ゲオルグは頷きながら、莉奈を再びチラリと。
「ん? 何ですか?」
さっきから、ゲオルグがチラチラと見るからだ。
デカイ身体に似合わず、妙なところでモジモジするのが彼だ。
「リナ、妻と子供によろしく伝えてくれ」
「……? リヨンに住んでいるんですか?」
伝えるはイイけど、ドコに住んでいるのかが分からない。
というか、聞いたところで初めての街だ。地図を貰ったとしても、たどり着ける気がしない。
「住んでいる……というか、これから行くのが私の屋敷だからな」
「へ?」
城下町に行くのと、ゲオルグ師団長の屋敷に行くのと、何故繋がるのだろうか?
「転移の魔法陣があるのが、コイツの屋敷なんだよ」
眉を寄せながら器用に首を傾げる莉奈に、フェリクス王が説明してくれた。
王城なら、魔法陣もなく簡単に飛べるのだが外は別。シュゼル皇子が設置した魔法陣を使用しないと安定しないのだ。
だからといって、その辺に設置という訳にはいかない。外部の人間や魔物が、魔法陣に何もしない保障がないからだ。
もろもろ考慮した上で、安全な場所に設置する事になった。
では何故、ゲオルグ師団長の屋敷なのか。
一昨年、彼に子供が生まれたので、シュゼル皇子がいつでも会える様にと設置してくれたらしい。ついでに、たまに自分達も使用させろ……という話だった。
屋敷と一概にいっても、離れに造り配慮をしてある。だから、王達もヒッソリと使用出来るという訳だ。ゲオルグも生まれたばかりの子供に会える、利害が一致したのであった。
これが使えるおかげで、ゲオルグは週1、2日程度、屋敷に帰っている様だった。
「あ~なるほど。ん? そういえば、ゲオルグさんの奥さんとお子さんの名前は?」
よくよく考えてみたら、ラナ女官長達にも訊いてなかった。
奥さんの結婚前の行動にインパクトが強すぎたからね。
「妻がジュリアで娘がロッテ……フフッ」
ニコニコと言ったゲオルグは、目尻が垂れまくっていた。
愛情が溢れに溢れまくっている。
「キッモ」
その不気味な笑顔に、ローレン補佐官が顔を逸らしボソッと洩らしていた。
普段を知っているローレンからしたら、ニコニコではなくニヤニヤして見えて気持ちが悪かったらしい。
「マ――――ック」
「失礼致しました?」
その呟きがゲオルグに聞こえ、ローレン補佐官は表向きだけの謝罪を口にする。
「何か、届けて欲しいモノとかありますか?」
行くついでだし、何か手渡して欲しいモノがあるかな……と訊いてみた。
その瞬間、ゲオルグがニカッと笑い、両手を思いっきり広げてこう言った。
「私のこの、溢れんばかりの "愛" を!!」
「「「……」」」
莉奈も王もローレンも、この世界に顔文字があったのなら、目が一の字になっていたに違いない。
お読み頂き、ありがとうございます。
タイトルに悩み……顔文字が入る事に気づきました。(笑)
これからのタイトルは、すべて顔文字にしようかしら?
( ̄~ ̄;)う~ん




