232 そうじゃないでしょ?
「……これ……は?」
食後のデザート代わりのお菓子を出したら、シュゼル皇子がキラキラと輝いた。
この人、甘味を見ると、瞳の輝きがまったく違う。
「メレンゲクッキーとラング・ド・シャです」
そう。シュゼル皇子がいない時に作ったお菓子である。
アイスクリームにも良く合うと思うから、一緒に出してみた。
「クッキーですか。ん~甘い良い香りがしますね。こちらの赤いのは?」
「右がブラックベリー。左がククベリーのアイスクリームです」
溶けるのが嫌なのか、好きな物から食べたいのか、クッキーよりまずはとアイスクリームにロックオン。
「んん~っ。やっぱりアイスクリームは最高ですね~。ブラックベリーは濃厚で甘酸っぱい、ククベリーはサッパリした甘さ。堪りませんね」
シュゼル皇子は、久々のアイスクリームに至極ご満悦であった。
ちなみに、アイスクリームはきらさない様に、新しいのを常時作って用意してある。
だって、きらしたら怖いし。またフェリクス王を呼びかねないからね。
「クッキーも大変美味しいですね。メレンゲクッキーは口でシュワシュワと溶けて、ラング・ド・シャはサクサクと歯触りが。はぁぁ~っ」
恍惚としていた。アイスクリームにクッキーと色々甘味が食べられて満足らしい。
相変わらずのシュゼル皇子に、エギエディルス皇子と莉奈は顔を見合わせていた。
◇◇◇
一通り食べ終えるとホッとしたのか、紅茶を一口飲みシュゼル皇子がニコリと微笑んだ。
「あぁ。そうだリナ。出張のついでに色々な食材を頂いて来たので、差し上げますね?」
「え? ありがとうございます?」
なんで食材なの? と疑問に思わなくもないが、貰える物なら有り難く貰うけど。
莉奈がそういうが早いか、シュゼル皇子は魔法鞄から次々と食材をテーブルに出していった。
色々あるが【鑑定】しなくとも、パッと見て分かる食材が多かった。
それでも試しに何個か【鑑定】して見たら、色や形、名前こそ微妙に違うが、やはり莉奈の見知っている食材の名ばかりである。
シャインブドウ・ネバナナ・ヨウマンゴー・モールオレンジ……ん?
そこまで視ていて、莉奈は可笑しな事に気付いた。
ほぼ、果物じゃない?
そう、彼が次々と出している "食材" とは、そのほとんどが "果物" である。頂いた……とは言っていたけど、片寄り過ぎな気がする。
「なんで、果物ばっかなんだよ」
同じ事を思ったのか、エギエディルス皇子が呆れていた。他に野菜や魚介類があってもイイはずだ。
「バターやジャムに出来ますからね?」
それはそれは、光り輝く笑顔で答えたシュゼル皇子。ペカリと後光が差して見える。
――うっわ~。全部甘味カラミだ。
確かに、これだけあればジャムなんて、10種類以上は出来る。アイスクリームやシャーベットも、お店顔負けなくらい色々なフレーバーが揃うだろう。
何ならタルト、ケーキ、お菓子の幅が広がったのは確かだ。
だけど、違くない?
「果物より必要なモノがあるだろうよ」
莉奈があえて口にしなかった言葉を、エギエディルス皇子が呆れ果てながら拾った。片寄り過ぎもイイ処だからだろう。
「ん?」
何かあります? とコテンと可愛らしく首を傾げるシュゼル皇子。
――ダメだこりゃ。
莉奈もエギエディルス皇子も、もう何かを言う事を諦めた。
言ってもムダな気しかしない。
誤字脱字の報告、ありがとうございます。
ナゼ、見直した時に気付かないのですしょうかね。
(* ̄∇ ̄*)アハハ




