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聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました  作者: 神山 りお


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189 何故なのか?



 柵ごしに竜を見ていると、真珠姫達と入れ替わる様に、暗黒……漆黒の竜こと王竜がふわりと降りて来た。

 そのせいでやっと直した髪が、ボサボサになった。

 優雅にゆっくり降りて来るとはいえ、竜の翼が起こす風が半端ない。ヘリコプターの起こす風と、どちらが強いのだろうか?



「竜喰らいがおるわ」

 王竜は降りて早々に、莉奈を見つけ鼻で笑ってくれた。

「……」

 殴っていいかな? "竜喰らい" って、ものスッゴく失礼じゃない?

 アメリアが数歩下がったけど、王竜の威光に対して下がったんだよね? 私にではないよね?



「口端にゴミが付いてますよ?」

 王竜の口端をチラリと見て、莉奈はココだと指を指しながら言った。

「むっ……ここか?」

 右手で器用に口端を、ガシガシと払う仕草を見せた。

「ウソですけど……ね?」

 莉奈はそっぽを向いた。口端にゴミなど何も付いてはいない。ただの嫌がらせ。竜喰らいの仕返しともいう。

「…………」

 引っ掛かった王竜は一瞬時を止めた後、莉奈に顔を近付け眉間にシワを寄せた。

 からかわれたのだ。どういうつもりだ……と言いたいのだろう。


「「……」」

 エギエディルス皇子は、目を見張り口を開けていた。

 それを間近で見ていたアメリアは、瞠目したまま固まっていた。怯えを通り越して愕然としていたのだ。

 竜をからかう者など、この世にはいない。まして、この眼前の竜は王だ。畏れ多くてあり得ない。アメリアは状況がやっと理解出来ると、次第に足がガクガクとし始めていたのだった。



「相も変わらず、イイ度胸をしておるな、竜喰らいよ」

 口端を上げ、実に楽しそうに返した。まさか、己をからかう人間が現れるとは、思わなかったのだ。

「竜なんか食べませんよ。固そうだし」

 大体なんで "竜喰らい" なんて呼ぶかな?

 親が付けた莉奈という名前があるのに、ナゼ勝手にそんな異名を付けるのかな? 冒険者じゃあるまいし……。

 莉奈はブツブツ文句を垂らしていた。



 ――ぶっ……アハハハハ!!



 何が楽しいのか、王竜は口を開けて笑っていた。

 固そう、と感想を言った莉奈が愉快だった様である。

 その笑い声と風が起こす振動で、何事だと近衛師団兵が窓から覗いたり、宮から出て来ていた。



「面白い娘だ」

 ナゼだかしらないが、王竜は至極ご満悦の様だった。

 今日は脇にフェリクス王もいないのに、自分に怯えないだけでなく、からかってみせた莉奈が面白くて仕方がない様子であった。

「……」

 エギエディルス皇子は、もう何も言うのをヤメた。莉奈は誰に対しても莉奈だったからだ。

 


「竜の王として、1つ問いたい事があるのですが?」

 ナゼか場も和んだ事だし莉奈は意を決して、アメリアが知りたかった最大の疑問をぶつけてみる事にした。

「なんだ?」

 王竜は気分が良さそうだった。

「何故、女性は番に選ばれないのですか?」

 一個人としても気になる事だった。

 もし、一部の人間と同じく男尊女卑だったとしたら、失望ものだと思った。

 アメリアや、近くにいた近衛師団兵の息を飲む音がする。

 ひょっとしたら、禁忌の質問なのかもしれなかった。


「竜騎士になりたいのか?」

 王竜は不敵に笑う。

 竜騎士になりたい女性は皆、1度は気になり訊いてくる質問である。莉奈がそれを訊いてくるのだから、そうだろうと推測したのだ。

「別に?」

 だから、莉奈がシレッとそう返せば王竜は驚き目を瞬かせた。

「なら、何故それを問う?」

 竜騎士になりたい訳ではないのなら、関係のない話だ。好奇心だけで訊いている訳でもなさそうだ。王竜は首を傾げる。

「女性は番を持てないと耳にしたから」

 純粋にただそれだけ。竜騎士になどなりたいとは、これっぽっちも考えてもいない。


「知りたいか」

「知りたいです」

 莉奈は王竜の目を真っ直ぐ見て答えた。

 訳があるのなら知りたい。好奇心だけでなく、これから竜騎士になりたいと思う女性のためにも……。


「……」

 王竜は、莉奈の目を同じ様に真っ直ぐ捉えしばらく見た後――。



 重い重いその口を開き始めたのであった。




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