表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました  作者: 神山 りお


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

177/676

177 ジャンケンしよう!



「良し……出来た」

 オーブンから取り出すと、上にのったチーズはこんがりと焼けていて、ふわりと良い香りが充満する。ガーリックバターの良い香りだ。食欲がそそられる。



 ――――ゴクッ。



 匂いに負けた人の、生唾を飲む音がする。



「これ、一口ずつなら皆で食べれるんじゃない?」

 とりあえず皆の分として10皿分作ってみた。

 今は食事の時間帯ではないから、食堂にはあまり人がいない。皆で分ければ少しずつは口に出来るハズ。

 独り占めしようとするから争いが起きる訳で。

 なんならベーコン抜きなら、全員分は作れるのだから分ければいい。

「足りない」

「減る」

「ガッツリ食いたい」

 あ~そういう感じ。

 要は譲る気はない――と。

 マジでどうかしてるよキミタチ。

 莉奈は呆れかえっていた。

「ジャンケンだな」

 誰かが呟いた。足りなければジャンケンをすればいい……と結論付けた様だ。ジャンケンで済むなら、平和といえば平和だ。


 ―――というか、ちょっとした娯楽ジャンケンのご褒美感覚で楽しんでいるのかもしれない。

 食いしん坊なだけかもしれないけど……。



「 "ジャンケン" とは何ですか?」

 小窓からシュゼル皇子が顔をひょっこりと出していた。

 出来たなんて呟いたものだから、待ちきれずに見に来ていたらしい。

「え?」

「ジャンケンとは?」

「え……あっと、ジャンケンというのは――」

 突然顔を出すのは心臓に悪いので止めて頂きたいな……と苦笑いしつつ、莉奈はジャンケンについて簡単に説明した。



「なるほど……面白そうですね?」

 シュゼル皇子がほのほのと微笑んだ。

 ジャンケン文化のないこの国に、運だけで解決する方法は面白いと感じた様だ。隣で聞いていた弟も、なんだか楽しそうである。


「これで、ジャンケンは分かりましたよね?」

 と確認しつつ、莉奈は面白い事を思い付いた。

「ええ、分かりました」

 莉奈が何かを思い付いた事など、知らないシュゼル皇子はニコリと微笑んだ。


「では本日の特別(スペシャル)ゲスト、殿下お2人、それとイベールさんも参加して頂きジャンケン大会を開きたいと思います!!」

 莉奈は手を高々と掲げ、満面の笑みで提案した。

 本心かはさておき……王族だから、身分が高いからという理由で貰えるから、下じもの人達が不服を申し立てる訳だ。

 なら1度くらい、下っ端に混じって、同じ土俵に乗ってもらえばイイ。…………面白そうだし。



「「「え……えぇ――――っ!?」」」

 料理人達は、莉奈の提案に驚愕し叫びを上げた。

 畏れ多くて顔が強張っている。

「お……おい……リナ」

 リック料理長が青ざめながら、莉奈の肩を叩いた。

 莉奈の提案が恐ろしすぎるのだ。いくらなんでも宰相様達をジャンケンに参加させ、間違って勝ってしまったら怖すぎる。どうしたらいいのか分からない。

「でも、3皿分増えるから……確率が上がるよ?」

 ここに何人いるかは知らないが、6分の1から4分の1くらいの確率にはなりそうだ。


「「「…………」」」

 確率が上がる……という魅惑的な言葉を受け、皆はゴクリと言葉を飲み込み押し黙った。

 王族とジャンケンで決める=恐ろしい=だが取り分が増える。

 畏れ多いが取り分が増える。

 頭の中はそんな方程式が、グルグルと回っているのかもしれない。



「リ……リナが……そう言うのなら……」

「……ねぇ?」

「ま……まぁ……庶民に混じって参加するのも……」

「1度くらいは……リナが言ってるし」

 誰かがボソリと言えば、提案したのは自分達ではないとアピールをしながらも、皆が莉奈やシュゼル皇子達をチラチラ見つつ追随する。

 万が一何かを言われたとしても「莉奈が提案したから」とでも言って、逃げるつもりでいるに違いない。


「確かに面白そうですねぇ。ジャンケンで決めるのは」

 不敬過ぎる莉奈の提案も、何だか楽しいのか、シュゼル皇子はほのほのと言った。

 相手と褒美があってこそのジャンケンだと、今の説明で理解した様である。

 しかし……これが甘味だとしたら、そうは言わなかったのかもしれない。だが甘味ではないので、そこまで執着はしないのだろう。

「え――――っ」

 だがそれにブーイングを上げたのは、弟のエギエディルス皇子だ。

 面白い面白くないではなく、自分は美味しい方を確実に食べたいのだ。莉奈の余計な提案にも不服ものだが、兄が了承してしまった……不納得でしかない。



「ジャンケンに勝てばイイんだよ。エド」

 莉奈はバシンと、エギエディルス皇子の肩を叩いた。この人数なら多くても2回くらい勝てば多分食べられるハズ。

「痛ぇっ! 簡単に言うなよ」

 眉間にシワを寄せて、ものスゴい渋い顔をしている。

 ジャンケンに勝てる気がしないのかもしれない。



 ――――気持ちで負けたら終わりだよエド。



 莉奈はお爺ちゃんの様に、顔にシワを寄せているエギエディルス皇子に笑うのであった。







 



 ブックマーク、評価ありがとうございます。

 ガンバるぞっ o(`^´*) と意欲がわきます。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ