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15 忘れてた……あの皇子



「………随分と、お痩せになられましたね」

 昼食を片付けながら、ラナ女官長は憐憫れんびんの情を向けてきた。



 ………いやいやいや?



 確かに、痩せましたけど…憐れむ必要はないんですよ?

 だって、ココに来てから、デブの大敵 "糖" と "脂肪" をほぼ、摂ってないんだもんよ。

 摂ったとしても、そんなに多くないし……。

 何より、ヒマ潰しで運動してたら、そりゃ痩せるでしょうよ。



 ………異世界ダイエット?



 あはは………。初めての経験者だな。



「そんな顔しないでよ。……まっ、健康的になったと思えば……ね?」

 と莉奈は笑った。

 自分の事で嘆いては欲しくない。

「………お辛かったら、辛いとおっしゃって下さい。私共も僭越ながら、何か出来る事があるやもしれません」

 ラナ女官長、マジメだな……。

 出来る事なんてほとんどないだろうに……。



 だって……還せないでしょ?



 莉奈は、グッと言葉を飲み込み笑って見せる。

「んじゃ……とりあえず、敬語はなしの方向で」

 名前に "様" は付けなくなったけど、まだまだ敬語なんだよね。

「……しょ……わか……った。……善処……がんばる……」

「……ぷっ……」

 ごめん、笑っちゃいました。

 だって、頑張ってくれる姿が、有難いし可愛いかったから…。

「……リ~ナ~」

 ラナ女官長は、少しむくれた。

「……ごめんなさい?」

 と莉奈はおどけてみせた。

 徐々にでも、もっと砕けてくれればな……と思う。

 だって、敬語は "壁" があるみたいで、なんかイヤなんだもん。



「ところで、バカ……じゃない……えっと、エキ? エギ?……なんとか皇子は?」

 長いし、言いにくいしで覚えてないが……。

 私を喚んだバカ皇子は、あれからどうしたのか? 今頃になって、気になったのだ。


 シュゼル皇子が、処罰だか処分だかする様な事を、言ってたけど……。

 え?……まさか、処刑はされてはないよね?

 ………仮にも、弟だし。


「……地下牢に、入っておいでです」

「……………は?」

「王宮の何処かにある、地下牢に入っていらっしゃいます」

 無表情にラナ女官長が言った。

「………えっと……自宅謹慎的なじゃなくて?」

「……地下牢です」



 ………マジか。

 地下牢……ですか……。



 莉奈は、愕然とした。

 地下牢がある事にもビックリだが、一応皇子なのに牢屋に入れられている事もビックリだ。



 ………お兄ちゃん達、容赦ないな………。



「………事が事ですので」

 ラナ女官長は、冷ややかに微笑んだ。



 ………あれ? ラナ……怒ってくれてる?



「………えっと……地下牢って、何処にあるの?」

 処罰も大事だけど、エギエディルス皇子達を閉じ込めても、何一つ変わらない。


 それに、自分が原因で彼等に何かあったらあったで、後味が悪い。

「………私は、存じ……知らないけど……シュゼル殿下が御存知でしょう。……御伺いを立てますか?」

 ラナ女官長は、どうするか訊いてきた。



 ……あー……そうなりますか。

 忙しいシュゼル皇子を、煩わらせたくないのだけども……仕方ないか。


「……お願いできる?」

 勝手に、行く訳にはいかないよね。そもそも、場所知らないし。

「……わかりました」

 ラナ女官長は、そう言うと足早に部屋を後にした。





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