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(3)魔力を鍛えよう

投稿時間を変えました

 暖かいモノ……とりあえず魔力(仮)と呼ぶことにした……が頭に残っている間だけ()として思考できるので、思考を安定させるために自主練を始めることにした。

 ヘソの下に暖かいモノ溜まっている場所がある。

 毎日の施術でその場所が少しづつ大きく……体積は変わらないが深く……なっている感覚がある。

 丹田、っていうんだっけ? そこに魔力袋(仮)があるのか。

 毎日の施術の後は大体お昼寝の時間になるので、そのタイミング、周囲に人の気配がなくなるのを待ってから自主練を行うことにした。

 だが何度やっても魔力(仮)を動かすこともできないままタイムリミットで意識を失うばかりだ。決して昼寝の誘惑に負けたわけではない……勝率3割ぐらいかな?

 このままでは埒が開かないので、儀式の際の施術者のやり方……もちろん丁寧な方だ……を観察することにした。


     *    *    *


 ヘソに当てられた手から魔力(仮)が丹田の魔力袋(仮)をゆっくりと押し広げながら、身体中を巡り、俺の意識を覚醒させる。

 俺はその魔力(仮)の流れに抵抗するイメージでヘソの下に力を加えた。

 当てられた手に少し動揺が走るが、抵抗が増えた分流し込む魔力(仮)が強まった。

 今度は抵抗を止め、むしろ流れを強くするようにイメージしてみた。

 流れる魔力(仮)は即座に弱められ、身体と魔力袋(仮)には常に一定の圧力で魔力が流されていた。

 乱暴な方とは初めから比べ物にならないが、それを差し引いても、魔力(仮)の操作が素早く、最初以外は動揺もない。

 腕のいい施術者がお手本なのはありがたい。

 そんな風に上から目線で施術者を評価しながら、その魔力(仮)の流れに乗せて自分の魔力(仮)を流す感覚を掴んでいった。

 そんな練習をしばらく繰り返す内に、自分の意志で魔力(仮)を巡らせることができるようになった。

 一度俺の意識が無くなると、施術してもらうまで意識を取り戻すことができないため、意識を取り戻すと気力と体力の続く限り、魔力(仮)を巡らす自主練に当てた。

 施術後はお昼寝タイムなので、この身体は眠りを欲しているし、魔力(仮)の循環には気力も使うため、わずかな時間になってしまうが、少しづつ魔力を巡らせるのに慣れていった。

 特に頭を巡らすと前世?のことをいろいろと思い出していくのが楽しく、時間を忘れて没頭していった。

 仕事仲間のオジサンたち。黒い肌や彫りの深い顔などが多いが、懐かしいと感じるのはやはり極東列島人達だった。

 そこが自分生まれたところという意識はあるし、親のような親しさを感じる年配だったり若かったりする人々の顔を幾人も思い出した。

 しかし不思議なことに()()のことはハッキリしない

 男だった様にも思うし女だった気もする。

 社交的に馬鹿話をしていた記憶もあるし、必要なこと以外、まったく口を開かない寡黙な自分も記憶にある。

 そうやって過去の記憶に浸りながら、魔力(仮)を巡らし、魔力袋(仮)に圧力をかけていた。


 過去に浸るのが楽しい。

 過去を見るのが悲しい。

 自分を思い出せないのがもどかしい。

 自分を思い出すのが怖い。


 内向きに、内向きに、魔力(仮)はドンドン流れを早くし、何度も循環させて圧力を高めながら、新たな魔力(仮)を生み出し、また圧力を高め、魔力袋(仮)を、どんどん大きく(深く)していった。

 頭を巡る魔力(仮)は増大し続け、宇宙の真理や悟りの境地、過去の全てを思い出せそうな気分になった時、


 ポンッ


 魔力袋の底が抜けた。


明日、次話投稿予定

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