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妖怪物語(仮)  作者: mello
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妖怪

妖怪…人知では解明できない奇怪な現象または異様な物体。

つまり『人間』ではない生物又は、非日常の現象

それは、人とは関わりの無い遠い世界、もしくはすぐ傍に居る世界


『人』が『人』として生きる時、『人』を中心に考える

当然だ

『人』こそが世界の覇者だからだ


しかし、『人』以外の者が考えた時、世界の中心は『人』ではない


物の怪だ


そして、俺、倉敷夕夏は『人』ではない

人を喰う、食人鬼だ


ドナー隊のような必要に迫られて人を喰う訳ではない

信仰から人を喰うのだ


倉敷家は1943年、第二次世界大戦時、優秀な将を数多く輩出する名家として存在した

しかし、戦時の人不足で悩ましい問題に突き当たった

そこで、藁にも縋る思いで、西洋のある文献を手にした

その文献は食人による人体強化が書かれた狂気の文献だった

倉敷家は、その時ボンクラで少年だった、倉敷惣之助、17歳に食人を強いた

勿論、食材は対戦中のアメリカ兵だった

黒人の肉を喰らい続けた惣之助少年は、ひ弱だった肉体がそれこそまさしくアメリカの黒人兵の様に筋肉隆々、頑強でそれでいて、しなやかな肉体に育った

さっそく、戦果を挙げて帰って来た


その戦果、惣之助の所属する部隊、第14小隊は所謂、『訳あり』の人物を抱える部隊であった

連続殺人犯、巨額脱税人、姥捨て山立案者 etc 総勢12名

3名が掠り傷を負っただけで、戦死者ゼロ

しかし、打ち取った御首の数、160


当然、倉敷家は大喜び

惣之助を手厚く迎え入れるつもりだった

しかし、大戦は敗戦に終わる

惣之助も自宅へ帰る

その6日後、倉敷家は惣之助を除き、死亡した

惣之助が殺した事は明白だった

しかし、戦後のうやむやに流れ、捕まることは無かった


戦時、国へ多大な尽力をした倉敷家は優遇され、生活のあらゆる面で有利に立てた

一度一人を残してほぼ壊滅した倉敷家は見事、名家として復活した

倉敷家は家系図を改変し、惣之助を初代とし、新たに作成した

新たな『食人』家系図として




と、散々怖い物言いをしたが、初代はとうに死に二代目も俺が産まれる前に死んでしまっている

今は、三代目の大爺様、四代目のお爺様、五代目のお父様、六代目の俺

というわけだが

俺の父親、五代目から食人をしたことはない


しかし、食人を断食している苦しみを一番近くで見ていた俺は、

俺もこの苦しみを生涯抱えるのだなと、

小学生の間に思い知った


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