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救出劇①

やっとこさ一話更新出来ました。ネット止まったり風引いたり社畜だったりと遅くなってしまってすいません。

「まさか人巻き込んじゃってないよな……」

「流石にこれじゃ見分けがつかないですね……」


 クルに手を貸してブレスを強化したのは良いんだが、どうにも強すぎたようである。

 確かにあの数の魔物を一掃するにはちょうどいい手段だったとは思った。だけど想像以上に威力があり過ぎて、もはやどれがどの魔物だったかの区別すら付かなくなってしまっている。

 恐らくあの中に人が混ざっている事はないとは思いたいが、それすらも分からない惨状が目の前に広がっていた。


「クルゥ?」

「ああ、別にお前が悪いわけじゃないから気にするな」


 命令したのは俺だし、手を貸したのも俺だ。別にクルが悪いわけじゃない。

 というかドラゴンだし、人を巻き込んだからって元々罪悪感を感じる事もないだろうが……


 クルの背に乗ったまま、俺は地上を見渡す。

 どうやら王都の門は固く閉ざされているようで、魔物のが入り込むのを防いでいたようだ。

 だったら人が外に出ている可能性は限りなく低いだろう。ちょっとだけ安心した。


 けれど籠城戦を決め込むにしても、ある程度は魔物を減らしておかないと増える一方だと思うんだが……大丈夫なのかホント。

 俺は少し国の中心である王都の戦力が心配になった。


 逆に門が破壊されていないという事は、まだ魔物が入り込んではいないという事だろう。クルのように空を飛ぶ事の出来る魔物がいたかは定かではないが、この辺にはそんな魔物はいなかったと思う。

 仮にいたとしても大物は見かけた覚えもないし、それくらいなら冒険者や騎士達で対処出来るはずだと思う。


「クル、このままあの城まで飛んで行けるか?」

「くるっ!!」

「師匠、ミアさんは良いんですか?」

「ああ、この様子なら魔物が街で暴れている事もなさそうだし、仮にまた大群が来るにしても見た感じ近くにはいないみたいだしな。だったらレナの心配事を先に片付けてしまった方がいいだろ?」


 この調子なら王城も大丈夫だとは思うが、あの兵士は魔族って言ってたからな。

 消し炭にした中に魔族がいたかは分からないが、確かこの前の魔族も空を飛んでたし、直接城まで飛んで行った可能性も高い。

 俺はそう判断して、クルを王城へと向かわせた。


 程無くして城へと着いた俺達はクルの背から飛び降り、城の入り口へと向かう。レナは流石に俺が抱えたが、いちいち強くしがみついてくるので思わず体勢を崩しそうになった。

 罰としてとりあえずハリセンで叩いておく。


「クル、お前は小さくなってついて来てくれ」

「くるっ!!」


 クルは言われるがままにその巨体を小さくし、俺の肩に乗った。可愛い。


「いいなぁ……師匠いいなぁ……」

「ほら、アホな事言ってないで行くぞ」


 もはや目的を忘れているのではないかと思わなくもない。


 それにしてもドラゴンの姿で王城へ近付いたというのに、全く騒ぐような声が聞こえてこない。

 どうやら周りには人がいないようだが、城の門番すらもいないというのは違和感を感じる。

 あまり良くない予感を胸に、俺達は城の門をくぐった。


 それと同時に、今まで感じた事のないような大きな魔力の存在を感じた。


「レナ、急ぐぞ」

「あ、はい!! 待ってください師匠!!」


 襲撃者の目的がゲイルなのか、それとも別の何かなのかは分からないが、どうやら魔力の発信源は謁見の間にいるようだ。

 レナに声をかけ、俺達は謁見の間を目指す。


 それにしても王都に着いてから全く人の姿が見えない。一体どういう事なんだろうか……

 兵士も侍女も見かけないというのは流石に違和感を通り越して異様である。


 仮に殺されていたとしても、死体くらいはありそうなものだが……

 などと我ながら不謹慎な事を考えながら長い廊下を走り抜け、階段を駆け上がる。

 そして見覚えのある一際大きな扉を蹴り破り、いつでも戦闘に入れるように中の様子を窺った。


「おや、人間は全て眠らせたと思いましたが……」

「アンタが親玉か?」


 視界に入ったのはどう見ても人間にしか見えない男だった。

 この間の魔族の様に肌が黒いという事もない。


 男の気配も異様な物ではあったが、それよりもその傍らに控えている奴に目が移る。

 目深にローブを羽織っており、その様相を窺い知る事は出来ないが、異様さで言えば目の前の男よりも上だった。


「あ、貴方は……何故ここに」


 と、右側から声をかけられる。

 ふと見やればアリシアが倒れた状態で、それでも驚いた表情で俺の方を見ていた。

 身体の様子を見てみるが、どうやら大した怪我もないようだ。


「レナに頼まれて来た。あいつももうすぐ来る」

「レナリスが? 何故貴方に?」


 いや、今はそんな事を言っている場合じゃないと思うんだが。

 よくよく周囲を見渡してみれば、クラスメイト達も地面に倒れていた。あ、ゲイルもいるな。倒れてるけど。

 あれ? マルシアもクラウスもいる。一体どういう集まりなんだろうこれ?


「ソータくん……」


 どうやらマルシアも無事らしい。一体どういう事だ?

 俺が到着するまでの間、少なくとも襲撃されてから数日は経過していると思う。

 にもかかわらず、特に死傷者がいるわけでもなく、みんな地面に倒れているだけだ。


「マルシアも無事か。ところでこれってどういう状況?」


 怪しい奴等がいる以上、何かは起こってはいるのだろうが、それがなんなのかがさっぱり分からない。だから聞いてみる事にした。


「ふん、今更一人や二人増えたところで状況は変わらんよ」

「だからその状況が分からないから聞いてるんだけど?」


 何だコイツ。やたら上から目線だし、状況ったって来たばっかりでこっちはさっぱり分からないんだっての。


「不遜なヤツめ。まあ良い。貴様も眠るがいい」


 男が俺に向かって手を向けた。

 男の手から何か黒い波のような物が放たれ、俺に向かって飛んでくるのが見えた。魔法だろうか?

 なんとなく嫌な気配がしたので、俺は特に変換もしていない魔力の波を飛ばし、黒い波にぶつけて相殺させておいた。


「は?」

「いきなり気持ち悪いもん飛ばしてくるなよ」


 魔法を相殺されたのが予想外だったのか、男が間の抜けた声を出す。


「アレを消したというのか? 人間如きが」

「如きって言われても別に大したもんじゃなかったし、魔法なら魔力ぶつければ消すなり減衰させるなり出来るだろ」

「魔力を……ぶつけるだと?」


 いや、だって魔法も元を辿れば魔力だろ? あくまで魔力を属性に変換、というか属性を付与して放つくらいの工程が違うくらいで。

 更に言えば魔素には属性なんてないんだし。魔力の素となる魔素の段階まで分解してしまえば良いだけだ。


「貴様は一体何者だ」

「むしろそれはこっちが聞きたい。アンタ誰だよ」


 人に名前を尋ねるにはまず自分から名乗れって親に習わなかったんだろうか。


「どこまでも失礼なヤツめ……良いだろう。私の名はルガムだ。もっとも、貴様はこの名前を覚えておく事は出来んだろうがな」


 覚えるつもりもないですけど。


「師匠!! アリシア様達は!?」


 と、狙ったかのようにレナが飛び込んできた。


「そこにいるよ」

「ど、どこですか!?」

「お前の足元」

「え? ア、アリシア様!!」


 どうやら慌てていて見えてなかったらしい。あと半歩ズレてたら踏んでたぞ。


「レナリス……来てくれたのですね」

「アリシア様、ご無事ですか?」

「見た感じ怪我もないし、多分無事だと思うよ。多分」


 ちゃんと見てないから分からないけど、喋れてるし意思疎通も出来るようだからそれほど危険もないだろう。

 その分ルガムだっけか。コイツ等の目的がますます分からなくなってくるけど。


「レナリス……何故この男を連れて来たのですか?」

「アリシア様……黙っていて申し訳ありません。この方は……」

「--お喋りはそこまでだ」


 ルガムの気配が一変し、こちらに向かって殺意を向けてくる。


「せっかく大事な生贄だからと傷を付けずに衰弱するのを待っていたが、貴様だけは生かしておく事は出来ないようだ」

「生贄? 一体何をするつもりだ?」


 ようやく目的を聞く事が出来そうだ。せっかくなので質問しておく事にする。


「決まっているだろう、邪神様--アルドゥム様を目覚めさせるためだ」

そして月曜日さんこんにちは

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