冒険者登録には戦闘スキルが必要です
ちょっと長くなったので分けます。で投稿時間をちょっと早めます。
「あ……」
ステータス、という言葉を聞いてミアが表情を曇らせるのが分かった。
「いいよ、≪ステータスオープン≫」
そしてお約束の残念タイムです。
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名前:浅倉蒼汰
年齢:16歳
性別:男
種族:人族
スキル:<料理Lv4><洗濯Lv1><掃除Lv2><荷物持ちLv6>
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「おおー、これは……なんというか……」
「やはり駄目……でしょうか」
暗い声でミアがメイに聞いた。
「うーん、正直言って駄目としか言いようがないですねー。とは言え、他ならぬミアさんの紹介ですし、私だけの判断じゃなんともなんで、ちょっと上に聞いてきますねー」
「良いんですか!?」
「あ、でもあんまり期待しないでくださいねー」
そう言い残してメイさんは小走りで奥の方へと消えて行った。
「やっぱりスキルって重要視されてるんだな」
「ええ……戦闘スキルがなくても冒険者として活動している人はいますが、やはり依頼の内容によっては危険が伴う以上、戦う事の出来る証明になりますし……」
「って事はやっぱりミアも戦闘スキルを持ってるんだな」
「あ、はい。それほど大したものではありませんが、剣術スキルを持ってます」
やはりミアもスキル持ちだったらしい。まあ二年も冒険者をやっていると言っていたし、少し考えれば分かる事だが。
「おい見たか? 戦闘スキルを持ってないガキがいるぜ」
「おう見たぞ。最近多いんだよな、スキルもないクセに冒険者になりたがる奴がよ」
聞えよがしに男達の声が響く。間違いなく俺の事を言っているんだろう。
戦闘スキルが無い事を馬鹿にしているのか、はたまた危険だから威嚇して諦めさせようという親切心か。
……流石にそれは好意的に捉え過ぎか。
「ソータさん、何を言われても無視してください」
ミアが俺の制服の袖を掴む。関わるな、という事だろう。だが二人組のおっさん達はなおも続ける。
「ハッ!! 女に庇われてるぜ!!」
「俺アイツの事知ってるぞ。確か獣人だったよな」
「マジかよ!? これだから獣人は非常識で嫌なんだよ!!」
「オイおっさん達」
流石に今のはカチンと来た。と思うより先に身体が動いていた。
俺は大声で喚くおっさん達の背後に回り、ラノとルノを突き付ける。
「あん……? テメェ!! いつの間に後ろに!?」
「今の取り消せ」
ミアが驚いた目でこっちを見ている。恐らく俺がいつ移動したか分かっていなかったんだろう。
そりゃそうだ。メル母さん直伝の隠形術は伊達じゃないからな。
「ふざけんな!! なんで俺達が!!」
「アンタらみたいな馬鹿でも、背後を取られる事の意味が分からないわけじゃないだろ?」
脅しの意味も含めて、喚いた男に突き付けたラノを少し押し込む。
「ぐっ……分かったよ。スキルの件は取り消してやる」
「そっちじゃない。ミアの事を馬鹿にした事だ」
何を勘違いしているのか、俺はスキルなんてどうでもいい。それよりもミアの事を獣人だというだけで馬鹿にした事の方が許せなかった。
「ちっ……なんで獣人なんかに」
「じゃあ死ねばいい」
男に向けて殺気を飛ばし、ラノを首筋に当てた。
「ひっ……!? すまねえ、俺が悪かった!! だからソイツを引っ込めてくれ」
男の情けない悲鳴と謝罪を受け取り、ラノとルノを懐にしまう。正直こんなおっさんの血をつけたくなかったので、あくまで脅す事しかするつもりはなかったが。
血迷ったおっさんが後ろから襲い掛かって来る可能性も考えて、殺気は残しつつミアの方に戻る。
「ソータさん!!」
と、ミアが戻った俺の肩を掴んでガクガクと揺さぶった。やめてそれちょっと酔いそう。
「なんでそんな無茶するんですか!!」
「いやだってムカついたから」
「だからって危険過ぎます!! 戦闘スキルもないのに!!」
ミアもか。ずっと気になっていたが戦闘スキル戦闘スキルって、いくらなんでもスキルを神格化しすぎじゃないのか?
「いや、別に戦うのにスキルなんてあってもなくても一緒だろ? 戦って相手より強けりゃ勝つし、弱けりゃ負けるだけだし」
と、俺がそう発言した後、周囲のざわめきがピタリと止まった。
次は0時に予約登録しておきます。




