表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/35

27話 大手通信会社社員、コーチダルケ大森林から帰れない

 アムに助けてもらった後、フルフルさんと合流するためにコーチダルケ大森林を進む。

 かなり遠くまで来ていたみたいで、合流するのに30分以上かかった。

 川を渡れなくてかなり迂回したからね。


**


「あ、フルフルだー」


「ああ、おつかれ」


「おわあ!」


 って、この子はまたスッポンポンじゃないの!!


「ふ、フルフルさん! 服は!?」


「焦げた」


「こ、焦げたって……」


 スッポンポンのフルフルさんは、焚火をしながら何か食っている。


「着るもの無いんですか?」


「無い」


 目のやり場に困る……。何か服の代用は出来ないものか?

 葉っぱとかで服を……そんな器用じゃないな。

 アンチマジックウィドーの糸……はなんか気持ち悪そうだな。仕方ない。


「こ、これ着てください!」


 僕は上着を脱いで渡すことにした。


「……いいのか?」


「そのままだと、目のやり場がありません」


「――ありがと」


 いそいそ着替えたフルフルさん。ちびっこなのでいい感じに隠すべき場所が隠れている。

 そして服をクンクン匂うフルフルさん。


「いい匂いだな」


「ちゃんと洗濯してますから」


「そうか」


 そんなに汗かいてないはず。男は清潔さが大事。

 とにかく僕の目のやり場を獲得することが出来た。


「ふ~ん、フルフル随分派手にやったんだね~」


 アムは何かを見上げている。


「こ、これって!」


「少々ムキになって、やり過ぎてしまった」


 アンチマジックウィドーと思われる黒焦げな何かがそこにいた。

 アンチマジックウィドーを中心地に爆発したように、周囲まで焼き焦げている。

 どういう方法でこうなったか見当もつかなかった。


「ぷぷ、楽しかった?」


「ん? まあ……な」


「よかったねー。あ、食べてるのウィドーの肉??」


「ああ、中々美味いぞ。魔力も回復させないといけないしな」


「確かに~、アタシも食べよっと。デンも食べる?」


「え……蜘蛛はチョット」


 ゲテモノは苦手です。


「そうか? 美味いのに」


「美味しいよ~」


「うう……勘弁してください」


 その後、糸に引っかかっていた鹿の肉をいただきました。南無阿弥陀仏。



**


「さて! 採取したら帰りましょうか!」


 日が陰る前にアンチマジックウィドーの糸を回収して帰ろう。

 焼け焦げて採取できない糸もあるけど、それでも収納空間一杯のアンチマジックウィドーの糸は採取出来るだろうし!


「デン」


 フルフルさんは申し訳なさそうに頭を掻いた。

 おねしょしちゃった子供みたいに見えるなあ。


「なんでしょう?」


「すまんが、帰りは二人で帰ってくれ。我はもう少しここに残る」


「そうなんですか??」


「うむ、魔力が足りぬ」


「あれ? 魔石がありますよね?」


「もう使った。だが足りぬ。魔力をこんなに使うとは思ってなかった」


「あら……」


 あ、でも魔石はまだ残ってる! リュックに詰めたはずだ!


「だったら、僕の持ってる魔石で……」


「あ、ゴメン。もう使っちゃった。てへ」


「え??」


 アムは指を折りながら考えている。


「え~っとお。川を越えるのに音化して、『()ラード』ぶっ放しちゃったから」


「やはりか……。我も雷化して戦ったからすっからかんだ」


 えっと……。なんか嫌な予感が。


「ねえ……アム。街に戻れるよね?」


「もっちろん! ――2日後には……」


「ふ、2日!!? み、店はどうするんだよ!?」


「ん~? 臨時休業?」


「良いではないか2日ぐらい」


 そ、そんな簡単に。


「ま、魔力回復する方法は無いの??」


「あるよ! モンスター倒して、魔石から魔力を」


「それだ!」


 フルフルさんがかぶりを振った。


「デン……、誰がモンスターを倒すんだ?」


「え……? それは……2人が」


「こんなすっからかんの状態でか? 主も中々鬼畜じゃのう」


「それにアタシ達、燃費良くないからな~……」


「そうじゃな。倒すのに使った魔力と得れる魔力はどっこいどっこいじゃろ。

 ここは……デンに倒してもらうしかないのう」


「……2日後にしましょう」



 泣く泣く2日待って、ソロモンシティに帰る事にした。

 書き置きも無しに2日も休んだもんだから、お客さんに迷惑かけないか心配だなあ。


 とにかく……アンチマジックウィドーの糸がたくさん手に入った!

 やったねー!(ヤケクソ!)






**デンとフルフルの会話**


 アムが眠った。

 大森林の中で野宿してるんだけど、警戒は二人に任すことにした。

 僕じゃ警戒なんてできないからね。


 僕は寝る前に、少しフルフルさんとお話しすることに。



「しかし……今日は大変でしたね」


「あれほどの巨大化したアンチマジックウィドーがいるとは幸運だったな」


 幸運か……。なかなかのバトルジャンキーだな。


「やっぱりあれって強かったんですか?」


「――そうでもない。我と相性が極端に悪かっただけだ」


「相性??」


「うむ、我は遠距離からの雷撃と、超接近して戦うのが得意だ。

 人間で言うヒットアンドアウェーとかいう戦い方も得意じゃな」


「なるほど」


「じゃがアンチマジックウィドーは、遠距離魔法に対しては極端に強い。

 更にあの巨躯では超接近しても一撃では仕留められぬ。なかなか手詰まりだったのう」


「なるほどな~」


 相性って要素はいいよね。正統派の強者を相性の良いハメ手で倒すとか燃える。

 強者の牙城を1つ1つ、「それはもう対策済みだ!」みたいなのもいいね。


「もしも、あいつを倒すなら剣士が良い。糸を切断出来るレベルの剣士なら苦労はせんだろう。

 それにアム一人でも倒せるだろう」


「アムがですか?」


「ああ、アムの魔法は特殊だからな。魔法属性、物理属性どちらにも属さない。

 耐魔法系の敵も苦にしないだろう」


「へ~~、やっぱアムって強いんだな~」


 僕の膝で寝ているアムは、普通の女の子にしか……まあ角が生えてるけど。


「ん~、でも前に、『アタシは武闘派じゃないからそんなに強くない』って言ってた気が」


「ククク、好戦的な魔族はたくさんいるが、アムに勝てる奴が何人いるか。

 ただ、燃費は悪い。そして魔力の総量も並みだ。継続戦闘に向いていないのは確かだ」


「なるほど。短期集中タイプですね」


「――そうだな。だが……」


 フルフルさんが何かを言いかけた時――


「むにゃ~、良く寝た~」


 お、アムが起きたみたいだ。


「おはよう」


「おっは! フルフルもオツカレ!」


「ああ」


 アムは元気いっぱいだね。


「後は任せて~、2人とも寝てていいよ」


「それじゃ~寝ようかな」


「我はもう少し起きている」


「そうですか、じゃあお先に」


「膝枕しよっか?」


「い、いいよ! おやすみ!」


 さてさて……今日は疲れたな~。楽しかったけどさ。




**



「アム……起きてたな?」


「ん~? 途中からね」


「そうか」


「そ」


「――そろそろじゃないのか?」


「ん~?」


「父上が……」


「ん~、なんとかなるっしょ」


「なんとかなるか」


「なんとかなるなる! えへへ」


「わかった、さて、寝るか」


「オヤスミ~」


「ああ」



 アムはフルフルに手を振る。



「なんとか……ネ」



 コーチダルケ大森林の夜は更けていく。

 満天の星空の下、アムはぽつりと呟くのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宜しかったら、『ブックマーク』、『感想』、『評価』をいただけると励みになります。

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ