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僕はこの世界を救えるのだろうか?  作者: ゾロメ
第三章
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最高の味

「コリン様じゃないか。久しぶりじゃのぉ」

コリンの知り合いはこのおっさんらしい。ん?今コリンに様ってつけなかったか?

「おいおっさん、コリン様ってどういうことだ?」

「普通はつけるわい。コリン様はわしよりも位が上じゃからの」

はえ~おっさんの方が上なのかと思ってた。で、コリンはどん位上なのか聞いてみると。

「天と地の差があるくらいじゃかの?」

「ん、ん~・・・」

普通の人間じゃたどり着けないくらいの位にいるってことはわかった。

「修行に来るからてっきり男かと思っていたが女だったとはびっくりじゃの」

いきなり話題を変えてきたなこのおっさん。

「一人だけ男がいますよ。この中に」

キャロは俺のことを指さした。

「お、お前さん男じゃったのか!はは~男の娘とは、もっと驚いたぞ・・・」

「男の娘じゃなくてたんに魔法を使って女性の姿になってるだけですから」

僕は元の姿に戻った。

「そうだったのか。てっきり全員女でハーレム生活を送れると思っていたのに・・・」

このおっさん変態発言しやがったぞ。

「そうだお前さん、えーっと名前は?」

「雅也です」

「そうか雅也か。雅也君、君には女の姿で修行をしてもらうぞ」

は?

「ちょっと何言ってるか分かりません」

「お前さんには女の姿で修行をしてもらう。普通に生活してるときもな」

イヤに決まってんだろ!

「すまないがおっさん、俺は男の姿のまんまで修行がしたい」

「そういうと思ったわい・・・じゃが残念!今からこの場所は女性のみ修行できる場所になったからの!はっはっはっ!」

このおっさん腹立つな・・・!

「だからな。お前さんには悪いんだが・・・」

俺は奥の手を出した。

「ちょっとおっさん耳かせ」

周りには聞こえないようにと・・・特にマリエには・・・

「ちょっと雅也さん、なにこしょこしょ話してるんですか?私にも聞かせてくださいよ?」

ごめんマリエ・・・これしかないんだ・・・

「分かった。いいじゃろ!」

おっさんいいやつだ。

「大丈夫ですか?鼻血出てますよ?マルメ」

このおっさんの名前はマルメっていうのか。

「お、いかんいかん、これは失敬」

みんなに気づかれてないな・・・よし

「本当になんて言ったのか教えてよ」

いやなこった。

「そんなにしつこいと男から嫌われるぞ」

キャロはそのことを気にしていたらしく部屋の端っこに体育座りしてしまった。

「お前さんら。始めるぞ。修行を」


「まずは部屋掃除からじゃな。じゃ、あとは任せたぞ」

漫画とかでもこういう展開があったな。まずは家事を完璧にし、そこから魔法や能力の基本を覚え、次にその火力を上げ、最後に実戦って流れだな。

「なんでこんなことしなきゃいけないの?修行じゃないの?」

全く、あいつ分かってないな。

「おいキャロ。まずは家事を完璧にできなきゃ次へは進めないぞ」

「なんでそんなことが分かるのよ?」

それはだな。

「たんに俺の勘だ」

「勘かい!」

俺は家事があまり得意ではない。得意とするならば唯一料理だけだ。掃除は雑すぎて逆に汚れてたりしたし、皿洗いは力加減がわからず割ってたし。

「めんどくせ」

つい声に出てしまった。するとそこへおっさんが・・・

「雅也といったの」

「はい」

あ~もうこれ終ったわ~。

「分かるぞその気持ち、掃除というのはめんどくさい。わしもそう思う。でもな・・・」

この話が一時間くらい続いた。


「というわけだってあれ?」

俺は寝落ちしていた。

「寝てしまったか」

おっさんはハリセンで俺の頭を思いっきりはたいた。

「いった!」

「起きたか」

俺は痛さのあまり床の上をころころ転がっていた。

「もうこんな時間か、皆終わっていいぞ。飯の時間じゃ」

痛みが治まり、俺も立ち上がろうとしたのだが、

「雅也、貴様はまだ掃除が終わっていないだろ?」

周りを見てみると俺が転がっていた部分になぜかほこりがあった。

「は!?」

「一人で頑張るのじゃぞ~」

くそぉあのおっさん!許さねぇ!

「頑張ってね雅也」

「がんばってくださいね雅也さん」

くそ~あいつらまで!でもまだコリンが!

「頑張ってください雅也様!応援してますよ!」

コリンまで・・・


ふぅ~やっと終わった。

俺が一息ついて寝っ転がろうとするとそこにはコリンがいた。

「コリンじゃないか。どうしたんだよ?」

「これを雅也様にってマルメから言われたんですよ」

ほほう。

「おにぎりか、懐かしいな」

おにぎりは俺が異世界ここに来る前に母親からもらって以来だ。

「どうぞ、食べてください」

「ありがとコリン、いただきます」

おにぎりを口に入れた瞬間、うまかった。

「うま!やっぱりおにぎりは最高だな!これあのおっさんが握ったんだよな?」

なぜかコリンはシュンとしていた。

「どうしたんだよコリン?」

「い、いえ、なんでもないです・・・では、失礼します・・・」

俺なんか言っちゃいけないこと言っちゃった?


俺がおにぎりを食べ終わり立ち上がろうとするとあのおっさんが出てきた。こいつ俺が立ち上がるとすると邪魔するな。

「全くお主ってやつは、女心が分かっとらんの」

やっぱりコリンに言ってはいけないことを言ってしまったのか。

「コリンに変なこと言っちゃったか?」

「ああ、言ったとも、あのおにぎり、わしが作ったといったんじゃろ?」

「うん」

「あれはな、お前さんのためにコリンが一生懸命に握ったんじゃよ。うまくできなくて何回も何回も作ったんじゃ。それをお前さんはわしが作ったと勘違いしやがって・・・」

これはやらかしたじゃすまない。俺はやってはいけないことをしてしまった。どうすればコリンに元気を取り戻させることができる?謝るか?これは逆効果だ。んじゃどうすればいいんだ・・・!

「俺じゃなんもできないな・・・ちょっとコリンのところ行ってきますね」

「行ってらっしゃーい」


「おいコリン!えーっと、その・・・」

「どうしましたか雅也様?」

やっぱり俺にはなんも言えないな・・・

「俺は頭が悪いからこれしか言えないや・・・おにぎり握ってくれてありがとな!おいしかった!また俺のために握ってくれよ!」

・・・

「はい!喜んで!」

よかった、元気を取り戻してくれただけで俺はうれしかった。






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